「横浜市で地震に強い区・弱い区はどこ?」——防災科学技術研究所のJ-SHIS(地震ハザードステーション、2024年版)が公表している「今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率」を、横浜市18区の区役所付近の250mメッシュ値で比べると、最も高い戸塚区の74.1%から最も低い緑区の25.3%まで、同じ市内で2.9倍の差があります。
この記事では横浜市18区の確率を一覧にし、戸塚区・金沢区など南部の低地・埋立地が70%を超える一方で北部の緑区・都筑区・青葉区が25〜38%にとどまる理由(丘陵・台地と谷戸・埋立地の地盤の違い)、横浜で想定される首都直下地震・関東地震・三浦半島断層群、区の数字の読み方を気象予報士がまとめます。

横浜市は全国の政令市の中でもトップクラスの確率です。首都直下M7クラスの30年確率70%に加え、相模トラフの巨大地震の想定震源域に近いからです。市内の差を生むのは「丘の上か、谷戸(やと)や埋立地か」。同じ区でも、駅前の低地と住宅地の台地では確率が2倍近く違うことがあります。
横浜市18区 今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率ランキング
確率が高い順に並べています。「全国偏差値」は当サイトが集計した全国1,894市区町村(政令市は区単位)の30年確率(6弱以上)の分布に対する偏差値(平均28.1%)です。
| 順位 | 区 | 6弱以上 | 6強以上 | 全国偏差値 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 戸塚区 | 74.1% | 25.8% | 68.1 |
| 2 | 金沢区 | 72.4% | 25.4% | 67.4 |
| 3 | 港南区 | 70.2% | 22.2% | 66.6 |
| 4 | 鶴見区 | 67.3% | 18.6% | 65.4 |
| 5 | 保土ケ谷区 | 66.6% | 18.9% | 65.1 |
| 6 | 南区 | 65.4% | 18.1% | 64.7 |
| 7 | 中区 | 65% | 17.7% | 64.5 |
| 8 | 磯子区 | 62.7% | 16.9% | 63.6 |
| 9 | 泉区 | 62.1% | 16.8% | 63.4 |
| 10 | 瀬谷区 | 58.8% | 14.6% | 62.1 |
| 11 | 港北区 | 57.5% | 13.2% | 61.6 |
| 12 | 栄区 | 57.3% | 14.8% | 61.5 |
| 13 | 神奈川区 | 55.1% | 12.2% | 60.6 |
| 14 | 西区 | 41.3% | 6.8% | 55.2 |
| 15 | 旭区 | 39.3% | 6.2% | 54.4 |
| 16 | 青葉区 | 37.8% | 5.8% | 53.8 |
| 17 | 都筑区 | 25.7% | 2.7% | 49.1 |
| 18 | 緑区 | 25.3% | 2.6% | 48.9 |
横浜市18区の平均は55.8%で、神奈川県の県庁所在地メッシュ値43.4%(都道府県ランキングでは56位)、全国の市区町村平均28.1%と比べると市の平均は県の代表値(県庁付近)を10ポイント以上上回り、全国平均のほぼ2倍です。上位の戸塚区・金沢区・港南区・鶴見区・保土ケ谷区・南区・中区と、下位の都筑区・緑区では、同じ市でも「別の街」といえるほど数字が違います。
【ツール】都道府県の地震指標を切り替えて順位を確認
下のツールでは、30年以内に震度6弱以上となる確率・有感地震の回数・表層地盤増幅率・震度6弱以上を観測した市区町村数・地震保険料・台風接近数を切り替えて、47都道府県の順位と偏差値を確認できます(神奈川県を黄色で強調表示)。
なぜ区によって確率がこれほど違うのか
川沿いの低地・埋立地の区は高い。戸塚区74.1%(柏尾川沿い)・金沢区72.4%(平潟湾周辺の埋立地・低地)・港南区70.2%・鶴見区67.3%(鶴見川低地と臨海埋立地)・保土ケ谷区66.6%(帷子川沿い)・南区65.4%・中区65.0%(関内・みなとみらいの埋立地)・磯子区62.7%(臨海埋立地)は、いずれも区役所付近が河川沿いの沖積低地や埋立地にあります。横浜の市街地は丘陵に刻まれた谷戸(やと)の低地に発達したため、区役所や駅の多くが軟らかい地盤の上にあるのです。
丘陵・台地の区は低い。緑区25.3%・都筑区25.7%・青葉区37.8%・旭区39.3%は、多摩丘陵・下末吉台地の上に開発された住宅地で、市内では最も低いグループです。港北ニュータウンや田園都市線沿線の台地は硬い関東ローム層と洪積層で、揺れの増幅が小さくなります。
中間の区は台地の縁。神奈川区55.1%・港北区57.5%・栄区57.3%・瀬谷区58.8%・泉区62.1%・西区41.3%は台地と低地が入り組んだ地域で、区役所の位置によって値が変わります。
臨海部は液状化にも注意。中区・鶴見区・神奈川区・金沢区・磯子区の臨海埋立地は、1923年の関東地震でも液状化や地盤の沈下が起きた地域です。液状化しやすい地域とはもあわせてご覧ください。
停電・断水に備えるなら
台風や地震で最初に困るのは電気と水です。気象庁の警報が出てから買いに走っても店頭にはありません。平時にそろえておくものを3つだけ挙げると、ポータブル電源・水と非常食・非常持ち出しセットです。
横浜市で想定される地震
首都直下地震(南関東のM7クラス):30年以内の発生確率は70%程度。国の想定する「都心南部直下地震(M7.3)」では横浜市の東部・南部で震度6強、内陸部で震度6弱とされています。
相模トラフの巨大地震(関東地震):1923年の大正関東地震(M7.9)では横浜市内のほぼ全域が震度6〜7相当の揺れとなり、火災もあわせて2万人以上が犠牲になりました。横浜市の被害想定では、より大きな元禄型関東地震(M8.1)で市内の大部分が震度6強以上、低地や埋立地で震度7とされています。相模トラフ沿いのM8クラスの30年確率は0〜6%です。
三浦半島断層群:市の南側、三浦半島を走る衣笠・北武断層帯はM6.7程度、30年以内の発生確率6〜11%と全国の活断層の中でも最も高いグループで、金沢区・栄区・戸塚区など南部の区はこの断層に近い位置にあります。
横浜市全体の地震リスク(データベースより)
| 指標 | 値 | 備考 |
|---|---|---|
| 年平均有感地震回数 | 30.9回 | 1919年以降の気象庁震度データベース(役所付近の観測点) |
| 総観測回数 | 871回 | 同上 |
| 過去最大震度 | 5弱 | 市役所付近の観測点の値(1923年関東地震当時の観測は含みません) |
| 30年確率(6弱以上) | 67.3% | 市役所付近メッシュ |
| 30年確率(5強以上) | 97.7% | 同上 |
| 表層地盤増幅率 | 1.77 | 1.6以上で「揺れやすい」とされる |
| 役所付近の地形分類 | 三角州・海岸低地 | 国土地理院 地形分類 |
横浜市は年平均の有感地震回数が全国の市の中でも多いうえ、30年確率も表層地盤増幅率も高い「三拍子そろった」都市です。神奈川県の地震保険料が全国最高グループなのは、この確率の高さを反映しています(地震保険料ランキング)。
区の確率をどう読むか——3つの注意点
- 「区役所付近の250mメッシュ」の値です。同じ区でも台地の上と川沿いの低地では確率が大きく変わります。自宅の値はJ-SHISの地図で住所検索して確認してください。
- 確率は「揺れる確率」であって「被害を受ける確率」ではありません。被害は建物の耐震性・家具固定・液状化しやすい地盤かどうかで決まります。
- 低い区も安全ではありません。「30年以内に○%」の意味の記事で解説しているように、確率が低く見える地域でも直下型地震は起こりえます。
備えのチェックリスト
- 自宅の建築年を確認(1981年6月以降=新耐震、2000年6月以降=現行基準)
- 市のハザードマップで揺れやすさ・液状化・津波の3つを重ねて確認(ハザードマップの見方)
- 家具固定・寝室の安全確保・備蓄(最低3日分、できれば1週間分)
- 火災保険と地震保険の加入状況を確認(神奈川県は等地3等地(イ構造・保険金額1,000万円あたり年27,500円)で全国最高グループ)
都道府県で見る神奈川の地震リスク|確率・地盤・回数・観測市町村数
横浜市の区ごとの比較に加えて、神奈川県全体が47都道府県の中でどの位置にあるかを確認します。区の表は見出しをクリックすると並べ替えられます。
30年以内に震度6弱以上となる確率の高さ:神奈川は16位
| 順位 | 都道府県 | 30年以内に震度6弱以上の確率 | 偏差値 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 高知県 | 77.7% | 69.9 |
| 2位 | 徳島県 | 77.5% | 69.8 |
| 3位 | 香川県 | 73.6% | 68.2 |
| 4位 | 和歌山県 | 73.1% | 68.0 |
| 5位 | 静岡県 | 72.8% | 67.9 |
| 6位 | 千葉県 | 71.2% | 67.3 |
| 7位 | 埼玉県 | 62.4% | 63.7 |
| 8位 | 岐阜県 | 61.9% | 63.5 |
| 9位 | 大分県 | 57.4% | 61.6 |
| 10位 | 三重県 | 48.9% | 58.2 |
| 16位 | 神奈川県 | 43.4% | 55.9 |
神奈川県は16位(43.4%、偏差値55.9)。1位は高知県(77.7%)、47位は北海道(2.3%)、全国平均は28.8%です。比較:東京13位・千葉6位・静岡5位・大阪19位。詳しくは今後30年以内に震度6弱以上の地震が起きる確率ランキングをご覧ください。
表層地盤増幅率の大きさ(県内平均):神奈川は15位
| 順位 | 都道府県 | 表層地盤増幅率 | 偏差値 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 石川県 | 1.60倍 | 68.6 |
| 2位 | 千葉県 | 1.55倍 | 65.2 |
| 3位 | 茨城県 | 1.54倍 | 64.5 |
| 4位 | 埼玉県 | 1.54倍 | 64.5 |
| 5位 | 新潟県 | 1.53倍 | 63.8 |
| 6位 | 山口県 | 1.51倍 | 62.4 |
| 7位 | 香川県 | 1.50倍 | 61.8 |
| 8位 | 佐賀県 | 1.50倍 | 61.8 |
| 9位 | 富山県 | 1.45倍 | 58.4 |
| 10位 | 福井県 | 1.45倍 | 58.4 |
| 15位 | 神奈川県 | 1.40倍 | 55.0 |
神奈川県は15位(1.40倍、偏差値55.0)。1位は石川県(1.60倍)、47位は長野県(0.97倍)、全国平均は1.33倍です。比較:東京23位・千葉2位・静岡26位・大阪17位。詳しくは揺れやすい地盤ランキングをご覧ください。
有感地震の年間回数の多さ:神奈川は17位
| 順位 | 都道府県 | 有感地震の年間回数 | 偏差値 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 長野県 | 650回 | 107.1 |
| 2位 | 東京都 | 286回 | 71.4 |
| 3位 | 茨城県 | 182回 | 61.2 |
| 4位 | 北海道 | 153回 | 58.3 |
| 5位 | 福島県 | 139回 | 57.0 |
| 6位 | 岩手県 | 132回 | 56.3 |
| 7位 | 宮城県 | 118回 | 54.9 |
| 8位 | 鹿児島県 | 114回 | 54.5 |
| 9位 | 栃木県 | 114回 | 54.5 |
| 10位 | 千葉県 | 95回 | 52.6 |
| 17位 | 神奈川県 | 50回 | 48.3 |
神奈川県は17位(50回、偏差値48.3)。1位は長野県(650回)、47位は佐賀県(8回)、全国平均は68回です。比較:東京2位・千葉10位・静岡12位・大阪42位。詳しくは地震が多い都道府県・市町村ランキングをご覧ください。
震度6弱以上を観測した市区町村数の多さ:神奈川は25位
| 順位 | 都道府県 | 震度6弱以上を観測した市区町村数 | 偏差値 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 福島県 | 34 | 85.9 |
| 2位 | 茨城県 | 30 | 81.0 |
| 3位 | 宮城県 | 27 | 77.3 |
| 4位 | 熊本県 | 23 | 72.3 |
| 5位 | 北海道 | 16 | 63.7 |
| 6位 | 新潟県 | 11 | 57.5 |
| 7位 | 岩手県 | 10 | 56.3 |
| 8位 | 栃木県 | 10 | 56.3 |
| 9位 | 鳥取県 | 10 | 56.3 |
| 10位 | 石川県 | 7 | 52.6 |
| 25位 | 神奈川県 | 1 | 45.2 |
神奈川県は25位(1、偏差値45.2)。1位は福島県(34)、47位は沖縄県(0)、全国平均は5です。比較:東京12位・千葉16位・静岡11位・大阪15位。詳しくは震度6強以上を観測した市町村一覧をご覧ください。
神奈川県内の市区町村で見る地震リスク|確率・地盤・回数トップ10
神奈川県の33市区町村について、当サイトの地震リスクデータベースから「30年以内に震度6弱以上となる確率」「表層地盤増幅率」「年平均の有感地震回数」の上位10を並べました。市区町村名をクリックすると詳細ページ(過去の最大震度・年代別回数・地形分類)が開きます。
30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率が高い市区町村
| 順位 | 市区町村 | 30年確率(6弱以上) |
|---|---|---|
| 1 | 海老名市 | 77.8% |
| 2 | 小田原市 | 75.8% |
| 3 | 伊勢原市 | 74.0% |
| 4 | 逗子市 | 70.5% |
| 5 | 厚木市 | 69.4% |
| 6 | 大井町 | 69.1% |
| 7 | 川崎市 | 68.4% |
| 8 | 横浜市 | 67.3% |
| 9 | 茅ヶ崎市 | 66.6% |
| 10 | 寒川町 | 66.0% |
地盤が揺れやすい(表層地盤増幅率が大きい)市区町村
| 順位 | 市区町村 | 表層地盤増幅率 |
|---|---|---|
| 1 | 海老名市 | 2.05倍 |
| 2 | 伊勢原市 | 1.89倍 |
| 3 | 小田原市 | 1.82倍 |
| 4 | 厚木市 | 1.80倍 |
| 5 | 川崎市 | 1.79倍 |
| 6 | 横浜市 | 1.77倍 |
| 7 | 逗子市 | 1.76倍 |
| 8 | 茅ヶ崎市 | 1.68倍 |
| 9 | 寒川町 | 1.67倍 |
| 10 | 大井町 | 1.65倍 |
有感地震の回数が多い市区町村
| 順位 | 市区町村 | 年平均有感地震回数 |
|---|---|---|
| 1 | 川崎市 | 37.7回 |
| 2 | 茅ヶ崎市 | 36.1回 |
| 3 | 三浦市 | 34.7回 |
| 4 | 相模原市 | 34.0回 |
| 5 | 横須賀市 | 31.4回 |
| 6 | 横浜市 | 30.9回 |
| 7 | 秦野市 | 27.1回 |
| 8 | 清川村 | 26.2回 |
| 9 | 中井町 | 25.4回 |
| 10 | 綾瀬市 | 24.9回 |
過去に震度6弱以上を観測したことがあるのは1市区町村(横須賀市=6弱)。全国の一覧は震度6強以上を観測したことがある市町村一覧をご覧ください。
水害・台風の備えは保険の見直しから
地震保険は火災保険とセットでしか入れません。風水害・雪害は火災保険の補償範囲なので、ハザードマップで自宅のリスクを確認したら、補償内容が合っているか一度確認しておくと安心です。
よくある質問
Q. 横浜市で最も安全な区は?
緑区・都筑区・青葉区・旭区は多摩丘陵・下末吉台地の上で、確率は25〜40%と市内最低グループです。谷戸の低地や埋立地の区とは3倍近い差があります。
Q. 関東地震が来たら横浜は?
元禄型関東地震(M8.1)の横浜市想定では、市内の大部分が震度6強以上、低地や埋立地で震度7。1923年の大正関東地震では横浜市内で2万人以上が犠牲になりました。
Q. 三浦半島断層群はいつ動く?
衣笠・北武断層帯の30年確率は6〜11%で、全国の活断層で最も高いグループです。金沢区・栄区・戸塚区など南部の区は断層に近い位置にあります。
Q. 川崎市・相模原市の区は?
川崎市7区、相模原市3区など県内33市町村の値は神奈川県の地震リスク一覧で確認できます。
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出典:気象庁 震度データベース(1919年1月〜)、防災科学技術研究所 J-SHIS 地震ハザードステーション(2024年版、役所付近の250mメッシュ値)区別の確率は防災科学技術研究所 J-SHIS 地震ハザードステーション(2024年版・平均ケース・全地震)の各区役所付近250mメッシュ値です。地形・断層の解説は国土地理院 地形分類、地震調査研究推進本部の長期評価によります。。当サイトは独自の地震予測を行っていません。偏差値・順位は当サイトの地震リスクデータベース(1,756市区町村)から集計しています。
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