「世界でいちばん曇りが多い国はどこ?」——世界ランキングシリーズ.
晴れが多い国ランキングの姉妹編です。同じ「平均雲量」=空を雲が覆う割合を、今回は多い順=曇りが多い順に並べ替えました。
データはEU・コペルニクス気候変動サービス(ECMWF)の公的な再解析データ「ERA5」による国連加盟193か国の首都の平均雲量(2022〜2024年平均)。データを取得できたのは193か国、今回は193か国すべてでデータを取得できました。偏差値も「曇りの度合い」として計算し直しました。
「曇りの国といえばイギリスやアイスランドでしょ?」と思ったあなた。実は世界の曇り王者は、まったく別の顔ぶれなんです。もちろん「年平均」と「1月〜12月の各月」の切り替え付きでどうぞ。

僕の簡単なプロフィールです。
- 気象予報士
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世界の曇りが多い国ランキング【地域別・月別/年平均】
ボタンで「地域」と「期間(年平均・各月)」を絞り込めます。値は各国の首都1地点の平均雲量(%)で、数値が高い国ほど曇り。偏差値は曇りが多いほど高くなる向きです。
調査方法について:値はECMWF(欧州中期予報センター)/EUコペルニクス計画の再解析データERA5から、各国首都の地点について2022〜2024年の日平均雲量を集計したものです(Open-Meteo APIを使用して取得)。雲量は「空全体を雲が覆う割合」を0〜100%で表した気象観測の基本要素で、WMOの国際基準に基づき世界中で観測・解析されています。国全体の平均ではなく首都1地点の値である点にご注意ください。
曇りが多い国TOP10を考察|王者はイギリスではなく「赤道の熱帯雨林」
世界一曇りが多いのはマレーシア(Kuala Lumpur・年平均雲量90.7%)。2位ブルネイ(90.4%)、3位パラオ(87.4%)と続きます。
TOP10を独占したのは、マレーシア・シンガポール・ガボン・コロンビアといった赤道直下の熱帯雨林の国々。強い日射で毎日のように積乱雲がわき上がり、一年中「空の9割が雲」という世界です。降水量・湿度ランキングの上位国と顔ぶれがほぼ重なるのも納得ですね。
一方、「曇りの国」の代名詞だったヨーロッパ勢はというと、アイスランドが18位(77.2%)で高緯度勢のトップ。イギリスは意外にも57位です。偏西風の曇りは「冬に集中する曇り」、熱帯の曇りは「一年中続く曇り」——月別ボタンで12月・1月に切り替えると、ヨーロッパ勢が一気に上位へ駆け上がる様子が確認できます。
逆に「曇りと無縁」の国は?
ランキングの反対側、いちばん曇りが少ないのはエジプト(年平均雲量18.4%)をはじめとする中東・北アフリカの砂漠国。亜熱帯高圧帯の下降気流が雲を消してしまうためで、詳しくは姉妹記事の晴れが多い国ランキングで考察しています。
なぜ曇るのか?気象予報士的に解説
- 熱帯収束帯(上昇気流):赤道帯は太陽エネルギーで毎日雲が発達。曇りの国の最大の生産地です。
- 偏西風と低気圧:中高緯度は低気圧と前線の通り道。特に冬のヨーロッパは日照が乏しく、どんより空が続きます。
- 寒流と海霧・層雲:冷たい海の上では下層の雲や霧が発生しやすく、沿岸国の雲量を押し上げます。
- モンスーンと梅雨前線:季節風がぶつかる時期は雲量が急増。日本の梅雨はその代表です。
つまり曇りの世界地図は「上昇気流の地図」。赤道で上がった空気が緯度20〜30度で下りる——このハドレー循環のリズムが、曇りの国と晴れの国をワンセットで生み出しています。
日本の曇りは世界で見ると?|梅雨の6月は世界トップクラス
日本(東京)は年平均雲量60.3%で、曇りが多い順では世界92位・偏差値51.8。世界の中では「やや曇りがち」の位置です。
ただし月別で見ると日本の本気がわかります。梅雨の6月は雲量79.4%で、世界43位まで急上昇。熱帯雨林の国々に混じって堂々の上位です。逆に12月は雲量36%前後まで下がり、世界有数の晴れ地域に早変わり——「梅雨は熱帯並みの曇り、冬は砂漠並みの晴れ」という振れ幅こそ日本の空の個性です。
データの注意点|再解析データと「首都1地点」の値
本ランキングの値は、観測所の生データではなく、世界中の観測を物理モデルで統合したERA5再解析データの首都地点の値です。雲量は「曇り」の有力な指標ですが、日照時間とは定義が異なります(薄い雲でも日照が記録されることがあります)。国全体ではなく首都1地点の値のため、国土が広い国では首都の値が国を代表しない点にもご注意ください。
日本国内の雲量・日照時間の統計は、気象庁の「過去の気象データ検索」で地点ごとに確認できます。
まとめ|曇りの世界地図は「上昇気流」が描く
今回の内容についてまとめました。
- 世界一曇りが多いのはマレーシア(年平均雲量90.7%)。TOP10は赤道の熱帯雨林国が独占
- 「曇りの国」の代名詞ヨーロッパ勢は実は中位。アイスランド18位・イギリス57位。ただし冬だけは別格
- 熱帯の曇りは一年中、偏西風の曇りは冬に集中——同じ曇りでもリズムが違う
- 日本(東京)は92位。ただし梅雨の6月は世界43位の曇り大国に変身
- 値はERA5再解析(公的データ)による首都1地点・2022〜2024年平均の雲量
気象世界ランキングシリーズの他のランキングもあわせてどうぞ。
引用・出典(公的データ・一次情報)
- ERA5再解析データ(ECMWF/EUコペルニクス気候変動サービス):本ランキングの雲量データの原典
- Open-Meteo Historical Weather API:ERA5データの取得に使用(オープンデータAPI)
- 気象庁「過去の気象データ検索」:日本国内の雲量・日照時間統計
- WMO(世界気象機関):雲量観測の国際基準と世界観測網
※値は各国首都1地点・2022〜2024年の平均雲量(ERA5)を高い順に並べたものです。今回は193か国すべてでデータを取得できたため、「データなし」の国はありません。


