「世界でいちばん雪が降る国はどこ?」——世界ランキングシリーズ、今回は冬の主役、降雪量です。
降雪量には国別の統一された公的統計が存在しないため、EU・コペルニクス気候変動サービス(ECMWF)の公的な再解析データ「ERA5」から、国連加盟193か国の首都の降雪量(2022〜2024年平均)を調査し、データを取得できた193か国をランキングにしました。今回は193か国すべてでデータを取得できました。
今回も「年合計」と「1月〜12月の各月」の切り替え付き。月別に切り替えると、北半球と南半球で雪のシーズンが真逆になる様子まで見えて、なかなか壮観ですよ。

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世界の降雪量ランキング【地域別・月別/年合計】
ボタンで「地域」と「期間(年合計・各月)」を絞り込めます。値は各国の首都1地点の降雪量(雪の深さ換算・cm)です。雪がまったく降らない国は0cmで同順位に並びます。
調査方法について:値はECMWF(欧州中期予報センター)/EUコペルニクス計画の再解析データERA5から、各国首都の地点について2022〜2024年の日別降雪量を集計し、3年平均したものです(Open-Meteo APIを使用して取得)。再解析データとは、世界中の観測データを物理モデルで統合した「地球全体の気象データベース」で、WMOや各国気象機関の観測値がベースになっています。国全体の平均ではなく首都1地点の値である点にご注意ください。
降雪量が多い国TOP10を考察|「寒くて、湿った空気が入る」首都たち
世界一雪が降る首都を持つのはリヒテンシュタイン(Vaduz・年合計333.8cm)。2位アイスランド(235.2cm)、3位フィンランド(171.8cm)と続きます。
上位に並ぶのは、アルプスのリヒテンシュタインやヒマラヤのブータンといった山の国、そして北欧・カナダ・東欧など、「しっかり寒い」うえに水蒸気の通り道になっている首都です。ポイントは寒さだけでは雪は積もらないこと。シベリアの奥地のように寒すぎて乾いた場所より、0℃前後の気温と湿った空気がぶつかる場所にこそ、雪雲は発達します。
月別に切り替えると、北半球の首都は12〜2月、南半球の首都は6〜8月にピークが来る「シーズン逆転」がはっきり分かります。7月のランキングで上位に来る国を眺めるのも一興です。
【別項目】各国の「国内ナンバーワン地点」降雪量ランキング
「首都どうしの対決だと、日本の本当の実力が出ていないのでは?」——そのとおりです。そこで別項目として、各国の”雪どころ”代表地点で再対決するランキングを作りました。日本は東京から青森市に選手交代です。
地点の選び方:雪の多さで知られる代表地点を59か国分選定しました(例:日本=青森市、カナダ=ケベック市、アメリカ=シラキュース、ネパール=ナムチェバザール、フランス=シャモニーなど)。代表地点を選定していない国は首都の値をそのまま使い、表では「(首都)」と表記しています。データは首都ランキングと同じERA5再解析(2022〜2024年平均)で、首都の値より大きい方を採用。各国内の全地点を調べ尽くした統計ではなく「国内ナンバーワン候補地点」である点にご注意ください。
トップはネパールのNamche Bazaar(年合計1259.5cm)。2位ジョージアのMestia(789.1cm)、3位タジキスタンのKhorog(600.2cm)と、ヒマラヤ・コーカサス・中央アジアの高地やアルプスの山岳リゾートが一気に上位へなだれ込みます。首都対決とはまるで別の景色ですね。
そして注目の日本・青森市は361.2cmで世界9位。上位の顔ぶれが標高数千mの山岳地帯や山あいの町ばかりの中で、人口約27万人の平地の都市がこの順位に食い込むのは世界的に見ても異常事態です。なおERA5は約30km四方の平均値のため、局地的な豪雪は実測より小さめに出ます。気象庁の実測では青森市の年降雪量は約6m——ERA5の値でこの順位ということは、実力はさらに上ということです。
約半数の国は「降雪0cm」!雪と無縁の世界
一方でランキングの下側には、年間降雪量0cmの国が118か国もずらりと並びます。熱帯の島国、赤道直下のアフリカ、東南アジア——世界の国のかなりの割合は、首都で雪を見ることが一度もない国です。
「雪が降る」こと自体、地球全体で見ればけっこう特別な気象現象。日本で毎年当たり前に雪景色が見られるのは、世界的にはなかなか贅沢なことなんです。
なぜ差が出るのか?気象予報士的に解説
- 気温0℃前後が最強:寒すぎる空気は水蒸気を含めず、暖かすぎれば雨になります。「ほどよく寒い」場所が最も雪を積もらせます。
- 水蒸気の供給:五大湖や日本海のような「暖かい水面+寒気」の組み合わせは、世界屈指の豪雪製造機です。
- 大陸の東岸・風上斜面:低気圧の通り道や山の風上側では、湿った空気が持ち上げられて雪雲が発達します。
- 標高:同じ緯度でも標高が高いほど雪は増えます。中央アジアの高地の首都が上位に入るのはこのためです。
降雪は「寒さ×水蒸気×持ち上げ」の掛け算。気温ランキングや降水量ランキングとはまた違う顔ぶれが上位に来るのが、雪の面白いところです。
日本の降雪量は?|東京は45位でも「世界一の豪雪都市」は日本にある
日本(東京)は年合計20.1cmで世界45位・偏差値50.5。「あれ、意外と少ない?」と思うかもしれませんが、これは首都・東京の値だからです。
気象庁の平年値では、青森市の年降雪量は約6m(600cm超)、札幌市も約4.8m。人口100万人以上の大都市に限れば、札幌は世界でも突出した豪雪都市で、「世界一雪が積もる大都市は日本にある」とよく言われます。日本海側の豪雪は、暖かい対馬海流の上を寒気が渡ることで雪雲が湧き続ける、世界的にも珍しい仕組み。首都の値だけでは、日本の雪国ぶりはまったく測れないのです。
データの注意点|再解析データと「首都1地点」の値
本ランキングの値は、観測所の生データではなく、世界中の観測を物理モデルで統合したERA5再解析データの首都地点の値です。降雪量は「雪の深さ換算(cm)」で、実際の積雪の深さ(積もって圧縮された雪の高さ)とは異なります。また国全体ではなく首都1地点の値のため、山岳部や豪雪地帯を持つ国(日本・アメリカ・イタリアなど)では、国の実力より小さく出る点にご注意ください。
日本国内の降雪量・積雪の平年値は、気象庁の「過去の気象データ検索」で地点ごとに確認できます。
まとめ|雪の世界地図は「寒さ×水蒸気」で決まる
今回の内容についてまとめました。
- 世界一雪が降る首都はリヒテンシュタイン(年合計333.8cm)。寒冷で湿った空気が入る首都が上位に
- 年間0cmの国が118か国。世界的に見れば「雪が降る国」は少数派
- 雪は寒さ×水蒸気×持ち上げの掛け算。寒すぎる場所より「0℃前後で湿った場所」に積もる
- 日本(東京)は20.1cmで45位。ただし青森・札幌クラスの豪雪都市を持つ国は世界でも別格
- 値はERA5再解析(公的データ)による首都1地点・2022〜2024年平均
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引用・出典(公的データ・一次情報)
- ERA5再解析データ(ECMWF/EUコペルニクス気候変動サービス):本ランキングの降雪量データの原典
- Open-Meteo Historical Weather API:ERA5データの取得に使用(オープンデータAPI)
- 気象庁「過去の気象データ検索」:青森・札幌など日本国内の降雪量平年値
- WMO(世界気象機関):再解析の基礎となる世界観測網の国際基準
※値は各国首都1地点・2022〜2024年の平均降雪量(ERA5・雪の深さ換算cm)です。今回は193か国すべてでデータを取得できたため、「データなし」の国はありません。


