「北九州市で地震に強い区・弱い区はどこ?」——防災科学技術研究所のJ-SHIS(地震ハザードステーション、2024年版)が公表している「今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率」を、北九州市7区の区役所付近の250mメッシュ値で比べると、最も高い小倉北区の8.7%から最も低い八幡東区の1.4%まで、同じ市内で6.2倍の差があります。
この記事では北九州市7区の確率を一覧にし、区によって数字が違う理由(地盤と活断層の位置)、北九州市で想定される地震、福岡県全体の中での位置づけ、そして区の数字の読み方を気象予報士がまとめます。

北九州市は7区すべてが1〜9%と、全国の政令市で最も低いグループです。小倉北区8.7%・八幡西区7.8%は市内では高めですが、それでも全国平均(28.1%)の3分の1以下。海溝型地震の震源から遠く、活断層の確率も低いためです。ただし「低い=揺れない」ではありません。
北九州市7区 今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率ランキング
確率が高い順に並べています。「全国偏差値」は当サイトが集計した全国1,894市区町村(政令市は区単位)の30年確率(6弱以上)の分布に対する偏差値(平均28.1%)です。
| 順位 | 区 | 6弱以上 | 6強以上 | 全国偏差値 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 小倉北区 | 8.7% | 1.4% | 42.4 |
| 2 | 八幡西区 | 7.8% | 1.5% | 42.0 |
| 3 | 若松区 | 4.7% | 0.8% | 40.8 |
| 4 | 戸畑区 | 1.8% | 0.3% | 39.7 |
| 5 | 小倉南区 | 1.7% | 0.2% | 39.6 |
| 6 | 門司区 | 1.4% | 0.2% | 39.5 |
| 7 | 八幡東区 | 1.4% | 0.2% | 39.5 |
北九州市7区の平均は3.9%。福岡県の代表値(県庁所在地付近のメッシュ)は6.3%で都道府県ランキングでは40位、全国の市区町村平均は28.1%です。平均より高い小倉北区・八幡西区・若松区と、低い戸畑区・小倉南区・門司区・八幡東区では、同じ市でも数字の意味が変わります。
【ツール】都道府県の地震指標を切り替えて順位を確認
下のツールでは、30年以内に震度6弱以上となる確率・有感地震の回数・表層地盤増幅率・震度6弱以上を観測した市区町村数・地震保険料を切り替えて、47都道府県の順位と偏差値を確認できます(福岡県を強調表示)。区の表は見出しをクリックすると並べ替えられます。
なぜ区によって確率がこれほど違うのか
海溝型地震から遠く、全体に低い。門司区1.4%・八幡東区1.4%・小倉南区1.7%・戸畑区1.8%は1〜2%と全国最低クラスです。北九州市は南海トラフの想定震源域から遠く、日本海側・太平洋側の海溝型地震の影響もほとんど受けないため、確率を押し上げる要因が市内の活断層に限られます。
小倉北区・八幡西区は低地と断層で高め。小倉北区8.7%は紫川の沖積低地と埋立地の上で、小倉東断層に近い区です。八幡西区7.8%は遠賀川低地に近く、福智山断層帯の影響を受けます。市内では相対的に高い2区ですが、全国平均の3分の1以下です。
若松区・門司区は埋立地の液状化に注意。若松区4.7%・門司区1.4%の臨海部は近代の埋立地で、確率は低くても地震時の液状化の想定区域です。「確率が低い=地盤が良い」ではない点に注意してください。
停電・断水に備えるなら
台風や地震で最初に困るのは電気と水です。気象庁の警報が出てから買いに走っても店頭にはありません。平時にそろえておくものを3つだけ挙げると、ポータブル電源・水と非常食・非常持ち出しセットです。
北九州市で想定される地震
福智山断層帯:市の南西、直方市から北九州市八幡西区にかけて延びる活断層帯で、M7.2程度の地震が想定されています。30年以内の発生確率は0.4〜3%と、市周辺の活断層では最も高い評価です。発生すれば八幡西区・八幡東区で震度6強〜7が想定されています。
小倉東断層:小倉北区・小倉南区を南北に走る活断層で、M7.1程度の地震が想定されています。30年以内の発生確率は低いグループですが、市の中心部の直下にあり、市の被害想定で最大の被害を出す地震のひとつです。
過去の地震:2005年福岡県西方沖地震(M7.0)では北九州市で震度4〜5弱を観測しました。2016年熊本地震では震度3〜4でした。市内で震度6以上を観測した記録はなく、「揺れの経験が少ない都市」です。
北九州市全体の地震リスク(データベースより)
| 指標 | 値 | 備考 |
|---|---|---|
| 年平均有感地震回数 | 4.8回 | 1919年以降の気象庁震度データベース(役所付近の観測点) |
| 総観測回数 | 135回 | 同上 |
| 過去最大震度 | 4 | 市役所付近の観測点の値。2005年福岡県西方沖地震で震度5弱 |
| 30年確率(6弱以上) | 1.4% | 市役所付近メッシュ |
| 30年確率(5強以上) | 8.1% | 同上 |
| 表層地盤増幅率 | 0.93 | 1.6以上で「揺れやすい」とされる |
| 役所付近の地形分類 | 丘陵 | 国土地理院 地形分類 |
北九州市の年平均有感地震回数は4.8回(福岡県は都道府県で39位)、表層地盤増幅率は0.93です。30年確率は全国平均を下回りますが、地震が少ない市町村ランキングと「地震が少ない県は本当に安全か」で解説しているように、回数の少なさと揺れの大きさは別の指標です。
区の確率をどう読むか——3つの注意点
- 「区役所付近の250mメッシュ」の値です。同じ区でも台地の上と川沿いの低地では確率が大きく変わります。自宅の値はJ-SHISの地図で住所検索して確認してください。
- 確率は「揺れる確率」であって「被害を受ける確率」ではありません。被害は建物の耐震性・家具固定・液状化しやすい地盤かどうかで決まります。
- 低い区も安全ではありません。「30年以内に○%」の意味の記事で解説しているように、確率が低く見える地域でも直下型地震は起こりえます。
備えのチェックリスト
- 自宅の建築年を確認(1981年6月以降=新耐震、2000年6月以降=現行基準)
- 市のハザードマップで揺れやすさ・液状化・津波の3つを重ねて確認(ハザードマップの見方)
- 家具固定・寝室の安全確保・備蓄(最低3日分、できれば1週間分)
- 火災保険と地震保険の加入状況を確認(福岡県のイ構造・保険金額1,000万円あたりの年額は7,300円、47都道府県で42番目に高い)
都道府県で見る福岡の地震リスク|確率・地盤・回数・観測市町村数
北九州市の区ごとの比較に加えて、福岡県全体が47都道府県の中でどの位置にあるかを確認します。
30年以内に震度6弱以上となる確率の高さ:福岡は40位
| 順位 | 都道府県 | 30年以内に震度6弱以上の確率 | 偏差値 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 高知県 | 77.7% | 69.9 |
| 2位 | 徳島県 | 77.5% | 69.8 |
| 3位 | 香川県 | 73.6% | 68.2 |
| 4位 | 和歌山県 | 73.1% | 68.0 |
| 5位 | 静岡県 | 72.8% | 67.9 |
| 6位 | 千葉県 | 71.2% | 67.3 |
| 7位 | 埼玉県 | 62.4% | 63.7 |
| 8位 | 岐阜県 | 61.9% | 63.5 |
| 9位 | 大分県 | 57.4% | 61.6 |
| 10位 | 三重県 | 48.9% | 58.2 |
| 40位 | 福岡県 | 6.3% | 40.8 |
福岡県は40位(6.3%、偏差値40.8)。1位は高知県(77.7%)、全国平均は28.8%です。全47都道府県の順位は30年以内に震度6弱以上の確率ランキングで確認できます。
表層地盤増幅率の大きさ(県内平均):福岡は13位
| 順位 | 都道府県 | 表層地盤増幅率 | 偏差値 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 石川県 | 1.60倍 | 68.6 |
| 2位 | 千葉県 | 1.55倍 | 65.2 |
| 3位 | 茨城県 | 1.54倍 | 64.5 |
| 4位 | 埼玉県 | 1.54倍 | 64.5 |
| 5位 | 新潟県 | 1.53倍 | 63.8 |
| 6位 | 山口県 | 1.51倍 | 62.4 |
| 7位 | 香川県 | 1.50倍 | 61.8 |
| 8位 | 佐賀県 | 1.50倍 | 61.8 |
| 9位 | 富山県 | 1.45倍 | 58.4 |
| 10位 | 福井県 | 1.45倍 | 58.4 |
| 13位 | 福岡県 | 1.42倍 | 56.3 |
福岡県は13位(1.42倍、偏差値56.3)。1位は石川県(1.60倍)、全国平均は1.33倍です。全47都道府県の順位は表層地盤増幅率ランキングで確認できます。
有感地震の年間回数の多さ:福岡は39位
| 順位 | 都道府県 | 有感地震の年間回数 | 偏差値 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 長野県 | 650回 | 107.1 |
| 2位 | 東京都 | 286回 | 71.4 |
| 3位 | 茨城県 | 182回 | 61.2 |
| 4位 | 北海道 | 153回 | 58.3 |
| 5位 | 福島県 | 139回 | 57.0 |
| 6位 | 岩手県 | 132回 | 56.3 |
| 7位 | 宮城県 | 118回 | 54.9 |
| 8位 | 鹿児島県 | 114回 | 54.5 |
| 9位 | 栃木県 | 114回 | 54.5 |
| 10位 | 千葉県 | 95回 | 52.6 |
| 39位 | 福岡県 | 16回 | 44.9 |
福岡県は39位(16回、偏差値44.9)。1位は長野県(650回)、全国平均は68回です。全47都道府県の順位は有感地震の年間回数ランキングで確認できます。
震度6弱以上を観測した市区町村数の多さ:福岡は21位
| 順位 | 都道府県 | 震度6弱以上を観測した市区町村数 | 偏差値 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 福島県 | 34 | 85.9 |
| 2位 | 茨城県 | 30 | 81.0 |
| 3位 | 宮城県 | 27 | 77.3 |
| 4位 | 熊本県 | 23 | 72.3 |
| 5位 | 北海道 | 16 | 63.7 |
| 6位 | 新潟県 | 11 | 57.5 |
| 7位 | 岩手県 | 10 | 56.3 |
| 8位 | 栃木県 | 10 | 56.3 |
| 9位 | 鳥取県 | 10 | 56.3 |
| 10位 | 石川県 | 7 | 52.6 |
| 21位 | 福岡県 | 2 | 46.4 |
福岡県は21位(2、偏差値46.4)。1位は福島県(34)、全国平均は5です。全47都道府県の順位は震度6弱以上を観測した市区町村数ランキングで確認できます。
福岡県内の市区町村で見る地震リスク|確率・地盤・回数トップ10
福岡県の60市区町村について、当サイトの地震リスクデータベースから「30年以内に震度6弱以上となる確率」「表層地盤増幅率」「年平均の有感地震回数」の上位10を並べました。市区町村名をクリックすると詳細ページ(過去の最大震度・年代別回数・地形分類)が開きます。
30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率が高い市区町村
| 順位 | 市区町村 | 30年確率(6弱以上) |
|---|---|---|
| 1 | 吉富町 | 21.8% |
| 2 | 大刀洗町 | 17% |
| 3 | 朝倉市 | 14.4% |
| 4 | 行橋市 | 13% |
| 5 | 大川市 | 12.8% |
| 6 | 中間市 | 12.6% |
| 7 | 柳川市 | 12.3% |
| 8 | 大木町 | 12.3% |
| 9 | 志免町 | 12.1% |
| 10 | 遠賀町 | 11.9% |
地盤が揺れやすい(表層地盤増幅率が大きい)市区町村
| 順位 | 市区町村 | 表層地盤増幅率 | 地形分類 |
|---|---|---|---|
| 1 | 大刀洗町 | 2.19 | 後背湿地 |
| 2 | 大川市 | 2.15 | 三角州・海岸低地 |
| 3 | 中間市 | 2.13 | 後背湿地 |
| 4 | 遠賀町 | 2.13 | 後背湿地 |
| 5 | 宗像市 | 2.12 | 後背湿地 |
| 6 | 水巻町 | 2.11 | 後背湿地 |
| 7 | 柳川市 | 2.05 | 三角州・海岸低地 |
| 8 | 志免町 | 2.05 | 後背湿地 |
| 9 | 大木町 | 2.05 | 三角州・海岸低地 |
| 10 | 朝倉市 | 2.02 | 後背湿地 |
有感地震の回数が多い市区町村
| 順位 | 市区町村 | 年平均有感地震回数 | 過去最大震度 |
|---|---|---|---|
| 1 | みやま市 | 21.5回 | 5強 |
| 2 | 八女市 | 18.4回 | 5弱 |
| 3 | 久留米市 | 17.2回 | 5強 |
| 4 | 糸島市 | 16.4回 | 6弱 |
| 5 | 大牟田市 | 14.6回 | 4 |
| 6 | 柳川市 | 14.6回 | 5強 |
| 7 | 筑前町 | 13.8回 | 5弱 |
| 8 | 朝倉市 | 12.6回 | 5弱 |
| 9 | 飯塚市 | 12.1回 | 5強 |
| 10 | 福岡市 | 12回 | 6弱 |
過去に震度6弱以上を観測したことがあるのは2市区町村(福岡市=6弱、糸島市=6弱)。全国の一覧は震度6強以上を観測したことがある市町村一覧をご覧ください。
水害・台風の備えは保険の見直しから
地震保険は火災保険とセットでしか入れません。風水害・雪害は火災保険の補償範囲なので、ハザードマップで自宅のリスクを確認したら、補償内容が合っているか一度確認しておくと安心です。
よくある質問
Q. 北九州市で最も確率が低い区は?
門司区(1.4%)と八幡東区(1.4%)で、全国1,894市区町村の中でも最低クラスです。ただし門司区の臨海部は埋立地で、液状化の想定区域があります。
Q. 北九州市は地震が少ないから安全?
30年確率は全国の政令市で最も低いグループですが、福智山断層帯(30年以内0.4〜3%)や小倉東断層の直下型地震が起これば震度6強〜7が想定されています。確率が低いことと、起きたときの被害が小さいことは別です。
Q. 北九州市に津波は来る?
南海トラフ地震の津波は周防灘に到達するまでに減衰し、市の想定では最大1〜2m程度です。日本海側の地震でも響灘沿岸に津波が想定されています。
Q. 北九州市で想定される最大の地震は?
小倉東断層の地震(M7.1程度)と福智山断層帯の地震(M7.2程度)で、市の被害想定では市街地の広い範囲が震度6強〜7、建物倒壊と火災で大きな被害が想定されています。
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- 差の理由は地盤(台地・丘陵か、低地・埋立地か)と活断層までの距離。確率は「区役所付近のメッシュ」の値なので自宅はJ-SHISで確認
- 確率が低い区も安全ではない。耐震・家具固定・液状化と津波のハザードマップ・地震保険の4点で備える
出典:防災科学技術研究所 J-SHIS 地震ハザードステーション(2024年版、今後30年以内に震度6弱以上/6強以上の揺れに見舞われる確率、平均ケース、区役所・市役所付近の250mメッシュ)、地震調査研究推進本部の長期評価、気象庁 震度データベース(1919年〜)、国土地理院 地形分類。偏差値は当サイトが全国1,894市区町村の分布から算出。
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