「さいたま市で地震に強い区・弱い区はどこ?」——防災科学技術研究所のJ-SHIS(地震ハザードステーション、2024年版)が公表している「今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率」を、さいたま市10区の区役所付近の250mメッシュ値で比べると、最も高い桜区の76.3%から最も低い西区の32.4%まで、同じ市内で2.4倍の差があります。
この記事ではさいたま市10区の確率を一覧にし、区によって数字が違う理由(地盤と活断層の位置)、さいたま市で想定される地震、埼玉県全体の中での位置づけ、そして区の数字の読み方を気象予報士がまとめます。

さいたま市は「大宮台地の上か、荒川・芝川の低地か」でほぼ順位が決まります。桜区・中央区・南区・浦和区は荒川低地や谷底低地に近く70%前後、大宮区・北区・岩槻区・西区は台地の上で30〜40%台。同じ市でも2倍以上の差です。
さいたま市10区 今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率ランキング
確率が高い順に並べています。「全国偏差値」は当サイトが集計した全国1,894市区町村(政令市は区単位)の30年確率(6弱以上)の分布に対する偏差値(平均28.1%)です。
| 順位 | 区 | 6弱以上 | 6強以上 | 全国偏差値 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 桜区 | 76.3% | 24.7% | 68.9 |
| 2 | 中央区 | 69.6% | 19.2% | 66.3 |
| 3 | 南区 | 69.6% | 19.4% | 66.3 |
| 4 | 浦和区 | 60.5% | 13.9% | 62.7 |
| 5 | 見沼区 | 57.5% | 12.3% | 61.6 |
| 6 | 緑区 | 56% | 11.8% | 61.0 |
| 7 | 北区 | 48.2% | 8.6% | 57.9 |
| 8 | 大宮区 | 45.3% | 7.7% | 56.8 |
| 9 | 岩槻区 | 39.8% | 6% | 54.6 |
| 10 | 西区 | 32.4% | 4.1% | 51.7 |
さいたま市10区の平均は55.5%。埼玉県の代表値(県庁所在地付近のメッシュ)は62.4%で都道府県ランキングでは7位、全国の市区町村平均は28.1%です。平均より高い桜区・中央区・南区・浦和区・見沼区・緑区と、低い北区・大宮区・岩槻区・西区では、同じ市でも数字の意味が変わります。
【ツール】都道府県の地震指標を切り替えて順位を確認
下のツールでは、30年以内に震度6弱以上となる確率・有感地震の回数・表層地盤増幅率・震度6弱以上を観測した市区町村数・地震保険料を切り替えて、47都道府県の順位と偏差値を確認できます(埼玉県を強調表示)。区の表は見出しをクリックすると並べ替えられます。
なぜ区によって確率がこれほど違うのか
荒川低地に近い区は高い。桜区76.3%・中央区69.6%・南区69.6%・浦和区60.5%は市内の最高グループです。桜区役所と中央区役所は荒川と鴨川がつくった低地に近く、南区・浦和区は台地の縁で谷底低地が入り組む場所にあります。軟らかい沖積層の上では地震波が増幅され、同じ地震でも震度が1階級上がりやすくなります。
大宮台地の区は低い。大宮区45.3%・北区48.2%・西区32.4%・岩槻区39.8%は、関東ローム層におおわれた大宮台地の上にあります。台地は洪積層でできた硬めの地盤で、荒川低地の区に比べて増幅が小さく、確率が20〜40ポイント低くなります。
見沼・綾瀬川の低地は中間。見沼区57.5%・緑区56%は台地の中に見沼田んぼや綾瀬川の低地が入り組む地域で、台地と低地の中間的な値です。同じ区の中でも台地上か低地かで大きく変わるため、自宅の地形を地形分類図で確認する価値が最も高い区です。
停電・断水に備えるなら
台風や地震で最初に困るのは電気と水です。気象庁の警報が出てから買いに走っても店頭にはありません。平時にそろえておくものを3つだけ挙げると、ポータブル電源・水と非常食・非常持ち出しセットです。
さいたま市で想定される地震
首都直下地震:さいたま市の確率を押し上げているのは、南関東で繰り返すM7クラスの直下地震(30年以内に70%程度)です。政府の被害想定では、さいたま市を含む埼玉県南部で震度6強が想定される地震が複数あります。
関東平野北西縁断層帯・綾瀬川断層:市の北西には深谷断層帯、市内を綾瀬川断層が通ります。地震本部の長期評価では発生確率は低い(30年以内でほぼ0〜0.008%)とされていますが、M7.5〜8.0程度と規模が大きく、発生すれば市内で震度6強〜7が想定されています。
過去の地震:2011年の東北地方太平洋沖地震ではさいたま市で震度5弱〜5強を観測し、帰宅困難者や液状化(浦和・岩槻の一部)が問題になりました。1923年の関東地震でも旧浦和・大宮で震度5〜6相当の揺れがあったと推定されています。
さいたま市全体の地震リスク(データベースより)
| 指標 | 値 | 備考 |
|---|---|---|
| 年平均有感地震回数 | 34.7回 | 1919年以降の気象庁震度データベース(役所付近の観測点) |
| 総観測回数 | 942回 | 同上 |
| 過去最大震度 | 5弱 | 市役所付近の観測点の値。2011年東北地方太平洋沖地震で市内は震度5弱〜5強 |
| 30年確率(6弱以上) | 39.8% | 市役所付近メッシュ |
| 30年確率(5強以上) | 89.4% | 同上 |
| 表層地盤増幅率 | 1.46 | 1.6以上で「揺れやすい」とされる |
| 役所付近の地形分類 | 火山灰台地 | 国土地理院 地形分類 |
さいたま市の年平均有感地震回数は34.7回(埼玉県は都道府県で16位)、表層地盤増幅率は1.46です。30年確率は全国平均を上回り、地震が少ない市町村ランキングと「地震が少ない県は本当に安全か」で解説しているように、回数の少なさと揺れの大きさは別の指標です。
区の確率をどう読むか——3つの注意点
- 「区役所付近の250mメッシュ」の値です。同じ区でも台地の上と川沿いの低地では確率が大きく変わります。自宅の値はJ-SHISの地図で住所検索して確認してください。
- 確率は「揺れる確率」であって「被害を受ける確率」ではありません。被害は建物の耐震性・家具固定・液状化しやすい地盤かどうかで決まります。
- 低い区も安全ではありません。「30年以内に○%」の意味の記事で解説しているように、確率が低く見える地域でも直下型地震は起こりえます。
備えのチェックリスト
- 自宅の建築年を確認(1981年6月以降=新耐震、2000年6月以降=現行基準)
- 市のハザードマップで揺れやすさ・液状化・津波の3つを重ねて確認(ハザードマップの見方)
- 家具固定・寝室の安全確保・備蓄(最低3日分、できれば1週間分)
- 火災保険と地震保険の加入状況を確認(埼玉県のイ構造・保険金額1,000万円あたりの年額は26,500円、47都道府県で5番目に高い)
都道府県で見る埼玉の地震リスク|確率・地盤・回数・観測市町村数
さいたま市の区ごとの比較に加えて、埼玉県全体が47都道府県の中でどの位置にあるかを確認します。
30年以内に震度6弱以上となる確率の高さ:埼玉は7位
| 順位 | 都道府県 | 30年以内に震度6弱以上の確率 | 偏差値 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 高知県 | 77.7% | 69.9 |
| 2位 | 徳島県 | 77.5% | 69.8 |
| 3位 | 香川県 | 73.6% | 68.2 |
| 4位 | 和歌山県 | 73.1% | 68.0 |
| 5位 | 静岡県 | 72.8% | 67.9 |
| 6位 | 千葉県 | 71.2% | 67.3 |
| 7位 | 埼玉県 | 62.4% | 63.7 |
| 8位 | 岐阜県 | 61.9% | 63.5 |
| 9位 | 大分県 | 57.4% | 61.6 |
| 10位 | 三重県 | 48.9% | 58.2 |
埼玉県は7位(62.4%、偏差値63.7)。1位は高知県(77.7%)、全国平均は28.8%です。全47都道府県の順位は30年以内に震度6弱以上の確率ランキングで確認できます。
表層地盤増幅率の大きさ(県内平均):埼玉は4位
| 順位 | 都道府県 | 表層地盤増幅率 | 偏差値 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 石川県 | 1.60倍 | 68.6 |
| 2位 | 千葉県 | 1.55倍 | 65.2 |
| 3位 | 茨城県 | 1.54倍 | 64.5 |
| 4位 | 埼玉県 | 1.54倍 | 64.5 |
| 5位 | 新潟県 | 1.53倍 | 63.8 |
| 6位 | 山口県 | 1.51倍 | 62.4 |
| 7位 | 香川県 | 1.50倍 | 61.8 |
| 8位 | 佐賀県 | 1.50倍 | 61.8 |
| 9位 | 富山県 | 1.45倍 | 58.4 |
| 10位 | 福井県 | 1.45倍 | 58.4 |
埼玉県は4位(1.54倍、偏差値64.5)。1位は石川県(1.60倍)、全国平均は1.33倍です。全47都道府県の順位は表層地盤増幅率ランキングで確認できます。
有感地震の年間回数の多さ:埼玉は16位
| 順位 | 都道府県 | 有感地震の年間回数 | 偏差値 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 長野県 | 650回 | 107.1 |
| 2位 | 東京都 | 286回 | 71.4 |
| 3位 | 茨城県 | 182回 | 61.2 |
| 4位 | 北海道 | 153回 | 58.3 |
| 5位 | 福島県 | 139回 | 57.0 |
| 6位 | 岩手県 | 132回 | 56.3 |
| 7位 | 宮城県 | 118回 | 54.9 |
| 8位 | 鹿児島県 | 114回 | 54.5 |
| 9位 | 栃木県 | 114回 | 54.5 |
| 10位 | 千葉県 | 95回 | 52.6 |
| 16位 | 埼玉県 | 54回 | 48.7 |
埼玉県は16位(54回、偏差値48.7)。1位は長野県(650回)、全国平均は68回です。全47都道府県の順位は有感地震の年間回数ランキングで確認できます。
震度6弱以上を観測した市区町村数の多さ:埼玉は19位
| 順位 | 都道府県 | 震度6弱以上を観測した市区町村数 | 偏差値 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 福島県 | 34 | 85.9 |
| 2位 | 茨城県 | 30 | 81.0 |
| 3位 | 宮城県 | 27 | 77.3 |
| 4位 | 熊本県 | 23 | 72.3 |
| 5位 | 北海道 | 16 | 63.7 |
| 6位 | 新潟県 | 11 | 57.5 |
| 7位 | 岩手県 | 10 | 56.3 |
| 8位 | 栃木県 | 10 | 56.3 |
| 9位 | 鳥取県 | 10 | 56.3 |
| 10位 | 石川県 | 7 | 52.6 |
| 19位 | 埼玉県 | 2 | 46.4 |
埼玉県は19位(2、偏差値46.4)。1位は福島県(34)、全国平均は5です。全47都道府県の順位は震度6弱以上を観測した市区町村数ランキングで確認できます。
埼玉県内の市区町村で見る地震リスク|確率・地盤・回数トップ10
埼玉県の63市区町村について、当サイトの地震リスクデータベースから「30年以内に震度6弱以上となる確率」「表層地盤増幅率」「年平均の有感地震回数」の上位10を並べました。市区町村名をクリックすると詳細ページ(過去の最大震度・年代別回数・地形分類)が開きます。
30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率が高い市区町村
| 順位 | 市区町村 | 30年確率(6弱以上) |
|---|---|---|
| 1 | 幸手市 | 92.1% |
| 2 | 八潮市 | 86.9% |
| 3 | 三郷市 | 84.2% |
| 4 | 吉川市 | 82.5% |
| 5 | 宮代町 | 81.4% |
| 6 | 川口市 | 78.9% |
| 7 | 蕨市 | 78.1% |
| 8 | 戸田市 | 77.6% |
| 9 | 松伏町 | 76.1% |
| 10 | 春日部市 | 74.9% |
地盤が揺れやすい(表層地盤増幅率が大きい)市区町村
| 順位 | 市区町村 | 表層地盤増幅率 | 地形分類 |
|---|---|---|---|
| 1 | 幸手市 | 3.16 | 後背湿地 |
| 2 | 宮代町 | 2.51 | 後背湿地 |
| 3 | 八潮市 | 2.47 | 後背湿地 |
| 4 | 三郷市 | 2.34 | 後背湿地 |
| 5 | 吉川市 | 2.33 | 後背湿地 |
| 6 | 加須市 | 2.32 | 後背湿地 |
| 7 | 蕨市 | 2.25 | 自然堤防 |
| 8 | 戸田市 | 2.23 | 後背湿地 |
| 9 | 川口市 | 2.23 | 自然堤防 |
| 10 | 春日部市 | 2.21 | 後背湿地 |
有感地震の回数が多い市区町村
| 順位 | 市区町村 | 年平均有感地震回数 | 過去最大震度 |
|---|---|---|---|
| 1 | 久喜市 | 87.4回 | 5強 |
| 2 | 春日部市 | 81.4回 | 5強 |
| 3 | 加須市 | 80.6回 | 5強 |
| 4 | 宮代町 | 79.5回 | 6弱 |
| 5 | 熊谷市 | 60.1回 | 6弱 |
| 6 | 吉川市 | 53.8回 | 5強 |
| 7 | 幸手市 | 50.4回 | 5強 |
| 8 | 草加市 | 49.4回 | 5強 |
| 9 | 行田市 | 48.6回 | 5強 |
| 10 | 東松山市 | 47.7回 | 5強 |
過去に震度6弱以上を観測したことがあるのは2市区町村(宮代町=6弱、熊谷市=6弱)。全国の一覧は震度6強以上を観測したことがある市町村一覧をご覧ください。
水害・台風の備えは保険の見直しから
地震保険は火災保険とセットでしか入れません。風水害・雪害は火災保険の補償範囲なので、ハザードマップで自宅のリスクを確認したら、補償内容が合っているか一度確認しておくと安心です。
よくある質問
Q. さいたま市で最も地盤が良い区は?
西区(32.4%)・岩槻区(39.8%)・大宮区(45.3%)など、大宮台地の上にある区です。ただし西区の荒川沿いなど、同じ区でも低地は条件が異なります。
Q. 桜区・中央区が高いのはなぜ?
荒川と鴨川がつくった沖積低地に近いためです。軟らかい地盤の上では揺れが増幅され、J-SHISの30年確率が台地の区より20〜40ポイント高くなります。
Q. さいたま市で液状化の心配がある場所は?
荒川・芝川・綾瀬川沿いの低地や旧河道、見沼田んぼ周辺です。2011年には浦和区・岩槻区の一部で液状化が確認されました。市の液状化ハザードマップで確認してください。
Q. さいたま市で想定される最大の地震は?
首都直下地震(M7クラス)のほか、関東平野北西縁断層帯の地震(M7.5〜8.0程度)では市内の広い範囲で震度6強〜7が想定されています。
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- 市の平均は55.5%、全国の市区町村平均は28.1%、埼玉県は都道府県7位(62.4%)
- 差の理由は地盤(台地・丘陵か、低地・埋立地か)と活断層までの距離。確率は「区役所付近のメッシュ」の値なので自宅はJ-SHISで確認
- 確率が低い区も安全ではない。耐震・家具固定・液状化と津波のハザードマップ・地震保険の4点で備える
出典:防災科学技術研究所 J-SHIS 地震ハザードステーション(2024年版、今後30年以内に震度6弱以上/6強以上の揺れに見舞われる確率、平均ケース、区役所・市役所付近の250mメッシュ)、地震調査研究推進本部の長期評価、気象庁 震度データベース(1919年〜)、国土地理院 地形分類。偏差値は当サイトが全国1,894市区町村の分布から算出。
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