「浜松市で地震に強い区・弱い区はどこ?」——防災科学技術研究所のJ-SHIS(地震ハザードステーション、2024年版)が公表している「今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率」を、浜松市3区の区役所付近の250mメッシュ値で比べると、最も高い中央区の76.3%から最も低い天竜区の74.5%まで、同じ市内で1.0倍の差があります。
この記事では浜松市3区の確率を一覧にし、区によって数字が違う理由(地盤と活断層の位置)、浜松市で想定される地震、静岡県全体の中での位置づけ、そして区の数字の読み方を気象予報士がまとめます。

浜松市は2024年に7区から3区に再編されました。中央区・浜名区は76.3%と全国1,894市区町村の最上位、山間部の天竜区も74.5%です。6強以上の確率は中央区・浜名区が52〜53%と半分を超え、静岡市よりさらに高い値です。
浜松市3区 今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率ランキング
確率が高い順に並べています。「全国偏差値」は当サイトが集計した全国1,894市区町村(政令市は区単位)の30年確率(6弱以上)の分布に対する偏差値(平均28.1%)です。
| 順位 | 区 | 6弱以上 | 6強以上 | 全国偏差値 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 中央区 | 76.3% | 52.2% | 68.9 |
| 2 | 浜名区 | 76.3% | 53.1% | 68.9 |
| 3 | 天竜区 | 74.5% | 41% | 68.2 |
浜松市3区の平均は75.7%。静岡県の代表値(県庁所在地付近のメッシュ)は72.8%で都道府県ランキングでは5位、全国の市区町村平均は28.1%です。平均より高い中央区・浜名区と、低い天竜区では、同じ市でも数字の意味が変わります。
【ツール】都道府県の地震指標を切り替えて順位を確認
下のツールでは、30年以内に震度6弱以上となる確率・有感地震の回数・表層地盤増幅率・震度6弱以上を観測した市区町村数・地震保険料を切り替えて、47都道府県の順位と偏差値を確認できます(静岡県を強調表示)。区の表は見出しをクリックすると並べ替えられます。
なぜ区によって確率がこれほど違うのか
南海トラフの直上で、6強以上が5割を超える。中央区76.3%・浜名区76.3%・天竜区74.5%と、区の差はほとんどありません。注目すべきは6強以上の確率で、中央区52.2%・浜名区53.1%は「30年以内に2回に1回は震度6強以上」という意味です。浜松市は南海トラフの想定震源域に最も近い政令市のひとつです。
三方原台地と天竜川低地。市街地の北側に広がる三方原台地は砂礫質の硬めの地盤で、市役所(中央区)付近も台地の縁にあります。一方、天竜川と浜名湖に挟まれた南部の低地や海岸の砂丘は軟らかく、津波の浸水も想定されています。同じ中央区でも台地と海岸部で被害の質が変わります。
天竜区は山地で、揺れより土砂災害。天竜区は市域の6割を占める山間部で、地盤は岩盤に近く、6強以上の確率は41%と他の2区より低めです。ただし地震時は斜面崩壊・道路寸断による孤立が主なリスクで、揺れの確率だけでは測れません。
停電・断水に備えるなら
台風や地震で最初に困るのは電気と水です。気象庁の警報が出てから買いに走っても店頭にはありません。平時にそろえておくものを3つだけ挙げると、ポータブル電源・水と非常食・非常持ち出しセットです。
浜松市で想定される地震
南海トラフ巨大地震:30年以内の発生確率は70〜80%。浜松市の海岸部には最大10m超の津波が地震発生から10分程度で到達すると想定され、市は17.5kmにわたる防潮堤を整備しました。県の被害想定では市内の広い範囲が震度6強〜7です。1707年の宝永地震、1854年の安政東海地震でも遠州灘沿岸は大きな被害を受けました。
浜松市の被害想定:静岡県第4次地震被害想定では、浜松市は県内で最も建物被害と死者数が多い市とされ、津波避難タワーや避難ビルの整備が進んでいます。
過去の地震:2009年駿河湾地震では浜松市で震度4〜5弱、2011年静岡県東部地震では震度3〜4でした。市内で震度6以上を観測した近年の記録はなく、「揺れの経験が少ない高リスク都市」です。
浜松市全体の地震リスク(データベースより)
| 指標 | 値 | 備考 |
|---|---|---|
| 年平均有感地震回数 | 8.4回 | 1919年以降の気象庁震度データベース(役所付近の観測点) |
| 総観測回数 | 638回 | 同上 |
| 過去最大震度 | 4 | 市役所付近の観測点の値。近年は震度5弱が最大。南海トラフ地震で震度6強〜7を想定 |
| 30年確率(6弱以上) | 76.3% | 市役所付近メッシュ |
| 30年確率(5強以上) | 82.1% | 同上 |
| 表層地盤増幅率 | 1.28 | 1.6以上で「揺れやすい」とされる |
| 役所付近の地形分類 | 砂礫質台地 | 国土地理院 地形分類 |
浜松市の年平均有感地震回数は8.4回(静岡県は都道府県で12位)、表層地盤増幅率は1.28です。30年確率は全国平均を上回り、地震が少ない市町村ランキングと「地震が少ない県は本当に安全か」で解説しているように、回数の少なさと揺れの大きさは別の指標です。
区の確率をどう読むか——3つの注意点
- 「区役所付近の250mメッシュ」の値です。同じ区でも台地の上と川沿いの低地では確率が大きく変わります。自宅の値はJ-SHISの地図で住所検索して確認してください。
- 確率は「揺れる確率」であって「被害を受ける確率」ではありません。被害は建物の耐震性・家具固定・液状化しやすい地盤かどうかで決まります。
- 低い区も安全ではありません。「30年以内に○%」の意味の記事で解説しているように、確率が低く見える地域でも直下型地震は起こりえます。
備えのチェックリスト
- 自宅の建築年を確認(1981年6月以降=新耐震、2000年6月以降=現行基準)
- 市のハザードマップで揺れやすさ・液状化・津波の3つを重ねて確認(ハザードマップの見方)
- 家具固定・寝室の安全確保・備蓄(最低3日分、できれば1週間分)
- 火災保険と地震保険の加入状況を確認(静岡県のイ構造・保険金額1,000万円あたりの年額は27,500円、47都道府県で4番目に高い)
都道府県で見る静岡の地震リスク|確率・地盤・回数・観測市町村数
浜松市の区ごとの比較に加えて、静岡県全体が47都道府県の中でどの位置にあるかを確認します。
30年以内に震度6弱以上となる確率の高さ:静岡は5位
| 順位 | 都道府県 | 30年以内に震度6弱以上の確率 | 偏差値 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 高知県 | 77.7% | 69.9 |
| 2位 | 徳島県 | 77.5% | 69.8 |
| 3位 | 香川県 | 73.6% | 68.2 |
| 4位 | 和歌山県 | 73.1% | 68.0 |
| 5位 | 静岡県 | 72.8% | 67.9 |
| 6位 | 千葉県 | 71.2% | 67.3 |
| 7位 | 埼玉県 | 62.4% | 63.7 |
| 8位 | 岐阜県 | 61.9% | 63.5 |
| 9位 | 大分県 | 57.4% | 61.6 |
| 10位 | 三重県 | 48.9% | 58.2 |
静岡県は5位(72.8%、偏差値67.9)。1位は高知県(77.7%)、全国平均は28.8%です。全47都道府県の順位は30年以内に震度6弱以上の確率ランキングで確認できます。
表層地盤増幅率の大きさ(県内平均):静岡は26位
| 順位 | 都道府県 | 表層地盤増幅率 | 偏差値 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 石川県 | 1.60倍 | 68.6 |
| 2位 | 千葉県 | 1.55倍 | 65.2 |
| 3位 | 茨城県 | 1.54倍 | 64.5 |
| 4位 | 埼玉県 | 1.54倍 | 64.5 |
| 5位 | 新潟県 | 1.53倍 | 63.8 |
| 6位 | 山口県 | 1.51倍 | 62.4 |
| 7位 | 香川県 | 1.50倍 | 61.8 |
| 8位 | 佐賀県 | 1.50倍 | 61.8 |
| 9位 | 富山県 | 1.45倍 | 58.4 |
| 10位 | 福井県 | 1.45倍 | 58.4 |
| 26位 | 静岡県 | 1.34倍 | 50.9 |
静岡県は26位(1.34倍、偏差値50.9)。1位は石川県(1.60倍)、全国平均は1.33倍です。全47都道府県の順位は表層地盤増幅率ランキングで確認できます。
有感地震の年間回数の多さ:静岡は12位
| 順位 | 都道府県 | 有感地震の年間回数 | 偏差値 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 長野県 | 650回 | 107.1 |
| 2位 | 東京都 | 286回 | 71.4 |
| 3位 | 茨城県 | 182回 | 61.2 |
| 4位 | 北海道 | 153回 | 58.3 |
| 5位 | 福島県 | 139回 | 57.0 |
| 6位 | 岩手県 | 132回 | 56.3 |
| 7位 | 宮城県 | 118回 | 54.9 |
| 8位 | 鹿児島県 | 114回 | 54.5 |
| 9位 | 栃木県 | 114回 | 54.5 |
| 10位 | 千葉県 | 95回 | 52.6 |
| 12位 | 静岡県 | 83回 | 51.5 |
静岡県は12位(83回、偏差値51.5)。1位は長野県(650回)、全国平均は68回です。全47都道府県の順位は有感地震の年間回数ランキングで確認できます。
震度6弱以上を観測した市区町村数の多さ:静岡は11位
| 順位 | 都道府県 | 震度6弱以上を観測した市区町村数 | 偏差値 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 福島県 | 34 | 85.9 |
| 2位 | 茨城県 | 30 | 81.0 |
| 3位 | 宮城県 | 27 | 77.3 |
| 4位 | 熊本県 | 23 | 72.3 |
| 5位 | 北海道 | 16 | 63.7 |
| 6位 | 新潟県 | 11 | 57.5 |
| 7位 | 岩手県 | 10 | 56.3 |
| 8位 | 栃木県 | 10 | 56.3 |
| 9位 | 鳥取県 | 10 | 56.3 |
| 10位 | 石川県 | 7 | 52.6 |
| 11位 | 静岡県 | 6 | 51.4 |
静岡県は11位(6、偏差値51.4)。1位は福島県(34)、全国平均は5です。全47都道府県の順位は震度6弱以上を観測した市区町村数ランキングで確認できます。
静岡県内の市区町村で見る地震リスク|確率・地盤・回数トップ10
静岡県の35市区町村について、当サイトの地震リスクデータベースから「30年以内に震度6弱以上となる確率」「表層地盤増幅率」「年平均の有感地震回数」の上位10を並べました。市区町村名をクリックすると詳細ページ(過去の最大震度・年代別回数・地形分類)が開きます。
30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率が高い市区町村
| 順位 | 市区町村 | 30年確率(6弱以上) |
|---|---|---|
| 1 | 沼津市 | 84.8% |
| 2 | 御前崎市 | 80.7% |
| 3 | 西伊豆町 | 79.9% |
| 4 | 袋井市 | 79.7% |
| 5 | 湖西市 | 79.2% |
| 6 | 牧之原市 | 79% |
| 7 | 吉田町 | 78.5% |
| 8 | 焼津市 | 78% |
| 9 | 菊川市 | 77.5% |
| 10 | 磐田市 | 77% |
地盤が揺れやすい(表層地盤増幅率が大きい)市区町村
| 順位 | 市区町村 | 表層地盤増幅率 | 地形分類 |
|---|---|---|---|
| 1 | 沼津市 | 2.15 | 後背湿地 |
| 2 | 湖西市 | 1.93 | 三角州・海岸低地 |
| 3 | 御前崎市 | 1.85 | 砂丘 |
| 4 | 袋井市 | 1.79 | 自然堤防 |
| 5 | 西伊豆町 | 1.75 | 三角州・海岸低地 |
| 6 | 三島市 | 1.53 | 火山山麓地 |
| 7 | 清水町 | 1.47 | 火山山麓地 |
| 8 | 牧之原市 | 1.44 | 砂州・砂礫州 |
| 9 | 焼津市 | 1.44 | 砂州・砂礫州 |
| 10 | 松崎町 | 1.44 | 砂州・砂礫州 |
有感地震の回数が多い市区町村
| 順位 | 市区町村 | 年平均有感地震回数 | 過去最大震度 |
|---|---|---|---|
| 1 | 東伊豆町 | 47.4回 | 5強 |
| 2 | 熱海市 | 34.7回 | 5弱 |
| 3 | 伊豆の国市 | 32.9回 | 5強 |
| 4 | 富士宮市 | 32.2回 | 6強 |
| 5 | 河津町 | 29.1回 | 5弱 |
| 6 | 伊豆市 | 26.5回 | 6弱 |
| 7 | 沼津市 | 24.4回 | 5弱 |
| 8 | 富士市 | 23.3回 | 5弱 |
| 9 | 西伊豆町 | 22回 | 5強 |
| 10 | 伊東市 | 21.7回 | 5弱 |
過去に震度6弱以上を観測したことがあるのは6市区町村(御前崎市=6弱、牧之原市=6弱、焼津市=6弱、富士宮市=6強、三島市=6弱、伊豆市=6弱)。全国の一覧は震度6強以上を観測したことがある市町村一覧をご覧ください。
水害・台風の備えは保険の見直しから
地震保険は火災保険とセットでしか入れません。風水害・雪害は火災保険の補償範囲なので、ハザードマップで自宅のリスクを確認したら、補償内容が合っているか一度確認しておくと安心です。
よくある質問
Q. 浜松市の3区はいつからある?
2024年1月に、旧7区(中区・東区・西区・南区・北区・浜北区・天竜区)が中央区・浜名区・天竜区の3区に再編されました。この記事は新3区の区役所付近の値です。
Q. 浜松市で最も確率が低い区は?
天竜区(74.5%)ですが、他の2区との差はわずかです。6強以上の確率では天竜区41%と、中央区・浜名区(52〜53%)より低くなっています。
Q. 浜松市に津波はどのくらいで来る?
南海トラフ巨大地震では最短10分程度で到達し、最大10m超が想定されています。市は防潮堤を整備しましたが、海岸から2km程度の範囲は津波避難の対象です。
Q. 浜松市で想定される最大の揺れは?
南海トラフ巨大地震で震度7が想定される地域が市内にあります。三方原台地の上は台地の縁や低地より揺れが小さい傾向ですが、震度6強は想定しておく必要があります。
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- 差の理由は地盤(台地・丘陵か、低地・埋立地か)と活断層までの距離。確率は「区役所付近のメッシュ」の値なので自宅はJ-SHISで確認
- 確率が低い区も安全ではない。耐震・家具固定・液状化と津波のハザードマップ・地震保険の4点で備える
出典:防災科学技術研究所 J-SHIS 地震ハザードステーション(2024年版、今後30年以内に震度6弱以上/6強以上の揺れに見舞われる確率、平均ケース、区役所・市役所付近の250mメッシュ)、地震調査研究推進本部の長期評価、気象庁 震度データベース(1919年〜)、国土地理院 地形分類。偏差値は当サイトが全国1,894市区町村の分布から算出。
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