最近雨が多いのはなぜ?2026年9月に雨が続く3つの理由と「東日本だけ多い」正体|47都道府県で本当に多いか検証ツール

日本地図上に2026年9月の降水量の平年比を色分けした点と、上位県の棒グラフを重ねたイメージ 気象

こんにちは!気象予報士ののぶやんです。

「最近、雨ばっかりじゃない?」「今年はなんでこんなに雨が多いの?」——2026年9月に入ってから、関東や東海を中心にそんな声をよく聞きます。実際、東京は9月4日から12日まで9日連続で雨が降り、9月1〜13日の降水量は282.0 mm。たった13日で9月1か月分の平年値(224.9 mm)を超えました。名古屋では9月8日に1時間104.5mmという観測史上1位の猛烈な雨も観測されています。

この記事では、気象庁の観測データと「異常気象分析検討会」の分析をもとに、最近雨が多い理由を3つに整理し、さらに47都道府県すべてについて「本当に雨が多いのか」を平年値と比べて検証できるツールを用意しました。じつは「雨が多い」のは日本全体の話ではなく、東日本に偏った現象で、九州北部や山陰ではむしろ雨が少ないままです。あなたの県がどちらなのか、まず数字で確かめてみてください。

この記事の結論(30秒で読める版)
  1. 雨が多い直接の理由は「秋雨前線が本州付近に停滞」+「台風24号くずれの熱帯低気圧などが南から湿った空気を送り込んだ」こと。前線の北側にあたる関東〜東海で長雨・大雨になりました。
  2. 背景には、記録的に高い日本近海の海面水温と、1949年以降で最強クラスのエルニーニョ現象があります。大気中の水蒸気が多く、ひとたび前線や台風の影響を受けると「降り方」が激しくなっています。
  3. ただし「雨が多い」のは東日本の話。9月1〜13日の降水量が同期間の平年の2倍以上になったのは15県、逆に0.7倍未満の「少ない」県も6県(広島・松江・福岡・佐賀・下関・札幌)あります。夏の西日本は記録的な少雨・猛暑でした。
  4. 今後:気象庁の予報では9月後半も前線の影響で東北〜近畿は雨の日が多く、東京は10月が1年で最も降水量の多い月。「秋の長雨」はもう少し続きます。
  1. 【まず検証】あなたの県は本当に雨が多い? 47都道府県ツール
      1. あなたの県は本当に「雨が多い」? 2026年 都道府県別 検証ツール
  2. 2026年9月の雨は、数字で見るとどれくらい異常なのか
    1. 9月1〜13日の降水量:関東・東海は平年の3〜4倍
    2. 「毎日降っている」は本当? 雨の日数と日照時間
    3. 9月上旬の記録的な大雨:新島・伊豆大島・名古屋
  3. 最近雨が多い理由は3つ|気象予報士が仕組みを解説
    1. 理由1:秋雨前線が本州付近に「停滞」した
    2. 理由2:迷走した台風24号と「台風周辺の湿った空気」が前線を刺激した
    3. 理由3:海面水温が記録的に高く、大気中の水蒸気が多い(エルニーニョと温暖化)
  4. なぜ西日本は逆に雨が少ないのか|「東は大雨・西は少雨」の正体
    1. 夏の西日本は「記録的少雨と酷暑」だった
  5. 2026年は年間を通して雨が多い年なのか
    1. 6月:台風6号で東日本は「観測史上級」の雨
  6. 「雨の降り方」が変わっている|温暖化と大雨の増加
  7. いつまで続く? この先の見通し(9月後半〜11月)
  8. 雨が続くときに役立つ情報の見方・備え
  9. 去年の今頃と比べる(今年・去年・平年)
  10. 最近雨が多い理由についてよくある質問
    1. Q. 最近雨が多いのはなぜですか?(2026年9月)
    2. Q. 2026年は本当に雨が多い年ですか?
    3. Q. 関東だけ雨が多いのはなぜですか?
    4. Q. 東京の9月の雨はどれくらい多いのですか?
    5. Q. 秋雨前線とは何ですか?梅雨前線との違いは?
    6. Q. 雨はいつまで続きますか?
    7. Q. エルニーニョ現象と日本の雨は関係ありますか?
    8. Q. 大雨は昔より増えていますか?
  11. あわせて読みたい:雨・気候のデータ記事
  12. まとめ

【まず検証】あなたの県は本当に雨が多い? 47都道府県ツール

「最近雨が多い」という感覚を、気象庁の観測データで確かめてみましょう。都道府県を選ぶと、各県の気象台で観測した2026年9月1〜13日の降水量・雨の日数・日照時間を平年値と比べて「かなり多い/多い/平年並み/少ない」を判定します。1〜9月の月別グラフと、47都道府県の全国ランキング(9月・年間累計・雨の日数・日照・8月)も見られます。

あなたの県は本当に「雨が多い」? 2026年 都道府県別 検証ツール

全国ランキング:
出典:気象庁「過去の気象データ検索」(各県の気象台の観測値、2026年9月14日取得。9月は1〜13日の速報値)。平年値は1991〜2020年の平均。9月の平年比は「同じ13日間ぶんの平年値(月平年値×13/30)」との比較です。判定の目安:同期間の平年比 200%以上=かなり多い、130〜200%=多い、70〜130%=平年並み、40〜70%=少ない、40%未満=かなり少ない。

東京・名古屋・横浜・水戸・千葉など関東〜東海の県はほぼすべて「かなり多い」、一方で福岡・広島・松江などは「少ない」と出るはずです。この東西の差こそが2026年の雨の最大の特徴で、理由は後半で詳しく解説します。

2026年9月の雨は、数字で見るとどれくらい異常なのか

9月1〜13日の降水量:関東・東海は平年の3〜4倍

まず全国の気象台の観測値を、同じ13日間ぶんの平年値(月平年値×13/30)と比べたのが下の表と地図です。47地点のうち15地点が平年の2倍以上、33地点が1.3倍以上でした。

2026年9月1〜13日の降水量(同期間の平年比)沖縄凡例(同期間の平年比)平年の3倍以上2〜3倍1.3〜2倍平年並み(0.7〜1.3)少ない(0.4〜0.7)かなり少ない(0.4未満)水戸(茨城県)400%名古屋(愛知県)325%横浜(神奈川県)292%甲府(山梨県)290%東京(東京都)289%和歌山(和歌山県)287%千葉(千葉県)282%青森(青森県)252%熊谷(埼玉県)249%静岡(静岡県)244%岐阜(岐阜県)235%新潟(新潟県)229%宇都宮(栃木県)211%大阪(大阪府)204%前橋(群馬県)203%高松(香川県)200%福島(福島県)193%仙台(宮城県)192%松山(愛媛県)191%金沢(石川県)191%津(三重県)190%神戸(兵庫県)187%長野(長野県)187%奈良(奈良県)180%鹿児島(鹿児島県)176%彦根(滋賀県)173%宮崎(宮崎県)171%徳島(徳島県)159%岡山(岡山県)152%山形(山形県)145%富山(富山県)137%京都(京都府)136%秋田(秋田県)130%大分(大分県)129%那覇(沖縄県)121%熊本(熊本県)116%高知(高知県)116%福井(福井県)115%盛岡(岩手県)102%鳥取(鳥取県)91%長崎(長崎県)73%下関(山口県)69%佐賀(佐賀県)63%福岡(福岡県)55%札幌(北海道)49%松江(島根県)32%広島(広島県)26%札幌 49%仙台 192%新潟 229%東京 289%名古屋 325%大阪 204%広島 26%福岡 55%那覇 121%水戸 400%金沢 191%鹿児島 176%高知 116%松江 32%出典:気象庁 過去の気象データ検索(各県の気象台、2026年9月14日取得)。円が大きく青いほど平年より多い。
順位都道府県(気象台)降水量(mm)同期間の平年比9月1か月の平年値に対して雨の日数(13日中)最長連続
1茨城県(水戸)323.0400%173%11日10日連続
2愛知県(名古屋)326.5325%141%10日9日連続
3神奈川県(横浜)306.0292%127%9日9日連続
4山梨県(甲府)224.5290%126%11日11日連続
5東京都(東京)282.0289%125%9日9日連続
6和歌山県(和歌山)225.5287%124%10日9日連続
7千葉県(千葉)250.0282%122%11日11日連続
8青森県(青森)145.0252%109%4日4日連続
9埼玉県(熊谷)213.5249%108%11日10日連続
10静岡県(静岡)297.0244%106%10日10日連続
2026年9月1〜13日 降水量が平年比で多かった上位10地点(気象庁データより筆者集計)

特に注目したいのは「9月1か月の平年値に対して」の列です。水戸・名古屋・横浜・甲府・東京・和歌山・千葉・青森・熊谷・静岡・岐阜の11地点は、月の半分にも満たない13日間で、9月1か月分の平年値をすでに超えています。水戸に至っては平年の1か月分の173%です。

「毎日降っている」は本当? 雨の日数と日照時間

降水量だけでなく「雨の日が続く」「太陽を見ていない」という感覚も、データで裏づけられます。東京の9月1〜13日は雨の日(1mm以上)が9日で、平年なら同じ期間に約4.8日ですから2倍近く。日照時間はわずか9.6時間で、同期間の平年(約55時間)の17%しかありません。熊谷18%、水戸20%、横浜23%と、関東はどこも平年の2割前後です。

東京(東京都)2026年9月1日〜13日の日降水量09/109/209/38.59/412.59/596.59/672.59/722.59/834.09/98.09/1010.09/1117.59/1209/13単位:mm。青=1mm以上の雨の日。出典:気象庁 過去の気象データ検索(2026年9月14日取得)

東京では9月4日から12日まで9日連続で1mm以上の雨。9月6日には96.5mm、7日には72.5mmと、2日で169mm(9月の平年値の4分の3)が降りました。甲府・千葉は11日連続、水戸・熊谷・静岡・宇都宮は10日連続です。「最近雨が多い」という感覚は、少なくとも東日本では完全に正しいのです。

▶ 日ごとの天気は当ブログの過去の天気ページで確認できます:東京の2026年9月の天気名古屋横浜水戸

過去の同じ日にどれくらい雨が降っていたかは、こちらのツールでも調べられます(地点と日付を選ぶと1968年以降の「雨だった割合」が出ます)。

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9月上旬の記録的な大雨:新島・伊豆大島・名古屋

「量が多い」だけでなく「降り方が激しい」のも今回の特徴です。9月6〜7日には台風24号から変わった熱帯低気圧と秋雨前線の影響で、伊豆諸島の新島で24時間降水量374.5mm(観測史上1位)、伊豆大島で546.0mm(観測史上3位、2013年の土砂災害以来の500mm超)を観測。東京23区でも24時間で140mmを超えました。

9月8日には東海地方で線状降水帯が発生し、名古屋市千種区で1時間104.5mmを観測。2000年の東海豪雨(97.0mm)を上回る観測史上1位の猛烈な雨で、市内各地で道路が冠水しました。降り始め(9月3日)からの雨量は静岡県天城山で632.0mm、三重県尾鷲市で550.5mm、名古屋市千種区で284.0mmに達しています(日本気象協会まとめ)。

1時間に100mmを超える雨がどれくらい珍しいかは、歴代ランキングを見るとわかります(気象庁の観測史上1〜10位の値から自動更新)。

1時間降水量の観測史上ランキング(全国・上位10地点)
順位地点(都道府県・市町村)記録観測日偏差値
1位香取(千葉県・香取市)153.0mm1999年10月27日83.9
1位長浦岳(長崎県)153.0mm1982年7月23日83.9
3位多良間(沖縄県)152.0mm1988年4月28日83.5
4位甲佐(熊本県・甲佐町)150.0mm2016年6月21日82.7
4位清水(高知県・土佐清水市)150.0mm1944年10月17日82.7
6位下関(新潟県・関川村)149.0mm2022年8月4日82.2
6位室戸岬(高知県・室戸市)149.0mm2006年11月26日82.2
8位前原(福岡県・糸島市)147.0mm1991年9月14日81.4
9位上市(富山県・上市)146.5mm2024年8月25日81.2
9位岡崎(愛知県・岡崎市)146.5mm2008年8月29日81.2

▶ 雨の強さの目安は 「降水量1mm・5mm・10mm・30mm・50mmはどれくらいの雨?」、歴代記録の全体像は 「歴代 10分間・1時間・日降水量ランキング」 で解説しています。

最近雨が多い理由は3つ|気象予報士が仕組みを解説

では、なぜこれほど雨が続いたのでしょうか。直接の原因は2つ、その背景にある大きな原因が1つ。合わせて3つに整理します。

西日本は高気圧の勢力内→ 雨が少なく残暑H太平洋高気圧(東に後退)関東〜東海で長雨・大雨秋雨前線(本州付近に停滞)T台風24号 → 熱帯低気圧(9/7)暖かく湿った空気(水蒸気)2026年9月上旬に「東日本だけ雨が続いた」仕組み(模式図)※実際の天気図を単純化した模式図です。前線の位置は日によって南北に動きました。

理由1:秋雨前線が本州付近に「停滞」した

夏の間、日本列島を覆っていた太平洋高気圧は、9月に入ると勢力を弱めて東へ後退します。その高気圧と、北から南下してくる涼しい空気の境目にできるのが秋雨前線です。前線は暖かい空気と冷たい空気がぶつかる場所なので、常に雲ができて雨が降りやすい。しかも秋雨前線は「停滞前線」で、高気圧と寒気の力が拮抗するとほとんど動きません。2026年9月上旬は、この前線が本州の南岸〜本州付近にほぼ張りついた状態が続き、前線の北側にあたる関東〜東海で雨が降り続けました。

秋雨前線は毎年できるものです。それでも今年が特別だったのは、次の2つの要因が重なったからです。

▶ 秋雨前線ができる仕組みは「秋雨前線とは?でき方を天気図で解説|3つの気圧配置と実際の事例」で、実際の天気図をその場で開けるビューアつきで詳しく解説しています。

理由2:迷走した台風24号と「台風周辺の湿った空気」が前線を刺激した

9月上旬、台風24号は日本の南海上をゆっくり迷走し、9月7日午前9時に南大東島付近で熱帯低気圧に変わりました。台風そのものは上陸していません。それでも、台風・熱帯低気圧の周りを回る暖かく湿った空気(水蒸気)が、秋雨前線に向かって大量に流れ込んだのです。前線に湿った空気が供給されると前線の活動が一気に活発になり、雨雲が発達します。台風から離れた場所で大雨になる「台風の間接的な影響」の典型例です。

気象庁の1か月予報(9月3日発表)でも「台風の直接的な接近がなくても、台風周辺の暖かく湿った空気が秋雨前線へ流れ込むことで、台風から離れた地域でも大雨となることがある」と注意が呼びかけられていました。さらに9月上旬は前線上を低気圧が次々と東へ進み、8日の東海地方の線状降水帯につながりました。

2026年は台風の発生数そのものも多く、6〜8月の発生数は17個(平年11.0個)で1951年以降3位タイ。8月だけで10個発生したのは1966年以来60年ぶりです。8月上旬には台風15号が日本の東海上から茨城県に上陸して本州を西へ横断するという、統計開始以来初めての経路をたどりました。9月上旬時点で今年の台風はすでに24個に達しています。

▶ 台風が9月に多い理由と、月別の発生数・接近数・上陸数は 「台風はなぜ9月に多い?」 で詳しく解説しています。台風の当たり年ランキングは こちら をどうぞ。

理由3:海面水温が記録的に高く、大気中の水蒸気が多い(エルニーニョと温暖化)

前線や台風があっても、空気が乾いていれば雨はそれほど降りません。今年の雨を「量」と「激しさ」の両面で押し上げているのが、海の温かさです。気象庁の解析では、日本近海の平均海面水温は100年あたり約1.3℃上昇しており、これは世界平均の上昇率を上回るペースです。海面水温が高いと海から蒸発する水蒸気が増え、気温が1℃上がると大気が含める水蒸気量は約7%増えます。「材料」が多い分だけ、同じ前線・同じ台風でも降る雨が多くなるのです。

さらに2026年は非常に強いエルニーニョ現象が発生中です。気象庁のエルニーニョ監視速報(9月9日発表)によると、8月の監視海域の海面水温は基準値より+3.4℃高く、8月としては1949年以降で最高(これまでの記録は1997年8月の+3.0℃)。冬にかけて続く見込みで、冬の最盛期には1997年12月の+3.6℃に匹敵する可能性があるとされています。エルニーニョ現象が発生すると、夏の太平洋高気圧の張り出しが弱まりやすく、秋は前線や台風の影響を受けやすい——今年の秋雨は、この「教科書どおり」の展開でもあります。日本気象協会も年初の見通しで、2026年後半は「太平洋高気圧が強まりにくく、前線や台風の影響を受けやすい」多雨傾向を予想していました。

なぜ西日本は逆に雨が少ないのか|「東は大雨・西は少雨」の正体

ここまで読んで「うちの地域は全然雨が降ってないけど?」と感じた方も多いはずです。特に九州北部・山陰にお住まいの方。それも正解です。

順位都道府県(気象台)降水量(mm)同期間の平年比雨の日数(13日中)
1広島県(広島)18.526%2日
2島根県(松江)28.532%4日
3北海道(札幌)30.549%6日
4福岡県(福岡)42.055%5日
5佐賀県(佐賀)46.063%3日
6山口県(下関)48.569%4日
2026年9月1〜13日 降水量が平年比で少なかった6地点

広島は9月1〜13日でわずか18.5mm(平年比26%)、松江28.5mm、札幌30.5mm、福岡42.0mm。同じ日本で、東京の282mmと広島の18.5mmが同時に起きていたわけです。

夏の西日本は「記録的少雨と酷暑」だった

この東西の差は9月に始まったことではありません。気象庁が9月1日に開いた異常気象分析検討会の結論はこうです。2026年夏は上空の偏西風が日本付近で北へ大きく蛇行し、「背の高い高気圧」が西日本付近に張り出したため、西日本では晴天と下降気流が続きました。その結果、西日本の夏の平均気温は1946年の統計開始以降3位の高温、酷暑日(40℃以上)は延べ36地点で過去最多、九州北部の8月降水量は平年比わずか12%で統計開始以降の最少記録となりました。

都道府県(気象台)8月の降水量(mm)平年比
熊本県(熊本)2.01%
佐賀県(佐賀)3.01%
長崎県(長崎)3.01%
大分県(大分)8.55%
徳島県(徳島)13.57%
山口県(下関)13.57%
香川県(高松)10.09%
和歌山県(和歌山)10.510%
2026年8月 降水量が特に少なかった8地点(熊本・佐賀・長崎は8月として少ない方から1位)

一方、同じ8月に東日本は逆でした。8月13〜14日の「令和8年8月千葉豪雨」では千葉市で24時間367mm・1時間115mmといずれも観測史上1位を記録し、千葉の8月降水量は467mmで平年の404%。福井・長野・東京・富山も平年の1.8〜2.6倍です。気象庁の「2026年夏の天候」でも、東日本太平洋側の降水量は「かなり多い」、東・西日本の日本海側は「少ない」と、はっきり分かれています。

つまり2026年は、夏から一貫して「西日本は高気圧の勢力内で少雨・猛暑、東日本は高気圧の縁にあたり湿った空気や寒気の影響を受けやすい」という配置が続いているのです。9月の秋雨前線も、その延長線上で「西日本にはかからず、東日本にかかる」形になりました。

▶ 2026年夏の猛暑の詳しい記録は 「2026年夏の猛暑まとめ」 にまとめています。太平洋高気圧のでき方は こちら で解説しています。

上のツールは「平年の9月に雨が多い県」のランキングです(1991〜2020年平均)。平年では9月の降水量は宮崎・高知・鹿児島など太平洋側の南の県が多く、東京は中位。今年の関東〜東海の雨がいかに「いつもと違う」かがわかります。

2026年は年間を通して雨が多い年なのか

「今年は雨が多い年」と言えるかどうかは、地域によって答えが変わります。1月1日から9月13日までの累計降水量を平年と比べると、次のようになります。

順位都道府県(気象台)1〜9/13の降水量(mm)同期間の平年(mm)平年比
1千葉県(千葉)1584962165%
2東京都(東京)16021082148%
3茨城県(水戸)1236947131%
4神奈川県(横浜)15351180130%
5群馬県(前橋)1197923130%
6三重県(津)14461146126%
7青森県(青森)1057864122%
8宮城県(仙台)1118914122%
2026年1月1日〜9月13日 累計降水量の平年比 上位8地点
順位都道府県(気象台)1〜9/13の降水量(mm)同期間の平年(mm)平年比
1島根県(松江)945127474%
2熊本県(熊本)1334167680%
3鹿児島県(鹿児島)1615200880%
4長崎県(長崎)1287151185%
5鳥取県(鳥取)1121128687%
6山口県(下関)1247138690%
同・下位6地点

千葉は平年の165%、東京は148%と、関東は年間でも明らかに多雨の年です。東京の累計1602mmは、平年なら1年分(1,598mm)に相当する量を9月半ばで降らせたことになります。一方、松江は平年の74%、熊本・鹿児島は80%と、西日本は「雨が少ない年」です。

6月:台風6号で東日本は「観測史上級」の雨

関東の雨が多いのは9月と8月だけではありません。6月は台風6号の影響で、東京の6月降水量は436.5mm(平年の260%)で6月として観測史上3位、横浜・水戸は4位、千葉は2位。1日で182mm(東京)が降った日もありました。9月の雨を「今年3回目の記録的な雨」と感じている関東の方も多いのではないでしょうか。

都道府県(気象台)6月の降水量(mm)平年比
茨城県(水戸)374.0276%
三重県(津)526.0261%
東京都(東京)436.5260%
岡山県(岡山)427.5253%
香川県(高松)372.0243%
神奈川県(横浜)452.0239%
2026年6月 降水量の平年比 上位6地点

▶ 都道府県ごとの「平年の」降水量や雨の日数は、降水量が多い都道府県ランキング雨の日が多い都道府県ランキング で比較できます。

「雨の降り方」が変わっている|温暖化と大雨の増加

最後に、もう少し長いスパンの話をします。今年の雨が「たまたま」なのか「これからの普通」なのか、という視点です。

気象庁の統計では、全国のアメダスで観測した1時間降水量50mm以上の「非常に激しい雨」の年間発生回数は、統計開始の1976〜1985年に比べて最近10年は約1.5倍に増えています。気象研究所の研究でも、線状降水帯を含む集中豪雨の発生頻度は過去45年間で約2.2倍になったと報告されています。「年間の雨の総量」は年によるばらつきが大きく明確な増加傾向はありませんが、「降るときにまとめて激しく降る」傾向ははっきり強まっているのです。

2026年8月の千葉豪雨について、気象庁の検討会は「上層の寒気で大気が非常に不安定になり、東からの暖湿気流と関東内陸の冷気の間にできたシアーライン上で線状降水帯が発生した。積乱雲の上端は15kmを超えていた」と分析し、気象研究所は雨雲が急発達する「スコールライン型」の積乱雲が停滞したことが要因だったと発表しています。一方で「数値予報モデルは千葉県での線状降水帯を予測できなかった」とも認めており、線状降水帯の発生位置の予測は依然として難しい課題です。

また7月中旬〜8月上旬の西日本の高温については、地球温暖化がなかったと仮定するとほぼ発生し得ないことが示されました(イベント・アトリビューション解析)。温暖化で底上げされた気温と海面水温が、猛暑側にも大雨側にも「振れ幅」を大きくしている——これが2026年の天候から読み取れるメッセージです。

▶ 関連:線状降水帯予測の的中率はどれくらい?ゲリラ豪雨はどんな雨?大雨が夜中に多いのは本当?

いつまで続く? この先の見通し(9月後半〜11月)

気象庁の予報(2026年9月14日時点)をまとめると、次のとおりです。予報は更新されるので、最新は気象庁の1か月予報3か月予報で確認してください。

期間雨の見通し気温の見通し
9月14〜19日ごろ秋雨前線が九州北部〜北陸・東北にのび、東北〜近畿で雨の日が多い。北海道は秋晴れ西日本は30℃以上の残暑、東京は26〜27℃で平年並み
9月後半(1か月予報)関東甲信などで降水量が平年より多い。前線と台風の影響を受けやすく、短期間にまとまった雨の可能性全国的に平年より高い。9〜17日ごろは10年に一度の著しい高温
10月(3か月予報)全国的にほぼ平年並み。ただし東京の10月平年降水量は234.8mmで1年で最も多い月。台風にも注意平年より高い。30℃を超える日もありうる
11月(3か月予報)西日本・東日本の太平洋側で平年より多く、大雨になる所も平年より高く、紅葉は遅め
気象庁 1か月予報(9月3日発表)・3か月予報(8月25日発表)・週間/2週間予報をもとに筆者整理

ポイントは「秋の長雨」は関東では10月まで続くのが平年の姿だということです。東京の月別平年降水量は9月224.9mm、10月234.8mmと、じつは梅雨(6月167.8mm)より秋の方が多い。今年は9月の前半だけで1か月分を超えてしまったので、このまま平年ペースで降っても「雨が多い秋」の印象は続くでしょう。

▶ 東京の秋雨が終わって冬に晴れが増える理由は 「東京で冬に晴れが多いのはなぜ?」 で解説しています。

雨が続くときに役立つ情報の見方・備え

長雨のときは「今降っている雨」「これから降る雨」「災害の危険度」の3つを分けて見るのがコツです。

知りたいこと使うものポイント
今どこで降っているか雨雲レーダー(気象庁ナウキャスト・Yahoo・ウェザーニュース)1時間先までは「高解像度降水ナウキャスト」が最も細かい。Windyも便利
土砂災害・浸水・洪水の危険度気象庁「キキクル」色(黄→赤→紫→黒)で危険度が一目でわかる。紫が出たら避難の判断を
警報・注意報の意味注意報・警報・特別警報の違い長雨で地盤が緩んでいるときは、少ない雨でも土砂災害の危険
雨がやんだ後の川「小康状態」の天気とは前線が南北に動く間の「晴れ間」は再び降る合図のことも
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雨が続くときの情報の見方

また、雨が長引くと「洗濯物が乾かない」「湿度が高くてカビが心配」という生活面の悩みも増えます。日本の9月は気温が高いぶん湿度も高く、不快指数が上がりやすい時期です。不快指数の計算ツールで、気温と湿度からどれくらい蒸し暑いかを確認できます。

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去年の今頃と比べる(今年・去年・平年)

「最近雨が多い」という体感を、去年の同じ時期と平年の数字で確かめられるツールです。地点と基準日を選ぶと、直近30日の降水量・雨の日数・日照時間を今年・去年・平年で並べ、日ごとの表とグラフで見比べられます(気象庁の日別値、前日まで自動更新)。

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1年をまるごと振り返るなら、地点×年の天気まとめ(沖縄・那覇の2025年東京の2025年大阪の2025年福岡の2025年)もどうぞ。

最近雨が多い理由についてよくある質問

Q. 最近雨が多いのはなぜですか?(2026年9月)

A. 秋雨前線が本州付近に停滞したところへ、迷走した台風24号(9月7日に熱帯低気圧に変化)などの周辺から暖かく湿った空気が流れ込み、前線の活動が活発になったためです。背景には記録的に高い日本近海の海面水温と、1949年以降で最強クラスのエルニーニョ現象があり、大気中の水蒸気が多いことが雨の量と激しさを押し上げています。

Q. 2026年は本当に雨が多い年ですか?

A. 地域によります。東京は1月〜9月13日の累計降水量が平年の148%、千葉は165%と明らかに多雨の年です。一方、九州北部や山陰は8月に記録的な少雨となり、松江は平年の74%、熊本は80%と「雨が少ない年」です。

Q. 関東だけ雨が多いのはなぜですか?

A. 2026年は夏から偏西風が日本付近で北へ蛇行し、背の高い高気圧が西日本を覆う一方、東日本はその高気圧の縁にあたって湿った空気や上空の寒気の影響を受けやすい配置が続いています。9月の秋雨前線も西日本にはかからず、関東〜東海に停滞しました。

Q. 東京の9月の雨はどれくらい多いのですか?

A. 2026年9月1〜13日の降水量は282.0mmで、同期間の平年(約97.5mm)の289%。わずか13日で9月1か月分の平年値(224.9mm)を超えました。9月4日から12日まで9日連続で雨が降り、日照時間は同期間の平年の17%しかありませんでした。

Q. 秋雨前線とは何ですか?梅雨前線との違いは?

A. どちらも暖かい空気と冷たい空気の境目にできる停滞前線です。梅雨前線は春から夏へ移る時期に太平洋高気圧が北上しながら押し上げる前線、秋雨前線は夏から秋へ移る時期に太平洋高気圧が南へ後退しながらできる前線です。秋雨前線は台風の湿った空気を受けて活発になりやすく、東京では9〜10月の降水量が梅雨の6月より多くなります。

Q. 雨はいつまで続きますか?

A. 気象庁の1か月予報(9月3日発表)では、9月後半も関東甲信などで降水量が平年より多い見込みです。2週間予報では9月14〜19日ごろも前線が九州北部〜北陸・東北にのび、東北〜近畿で雨の日が多い予想でした。10月は全国的にほぼ平年並みですが、東京は10月が1年で最も降水量の多い月です。

Q. エルニーニョ現象と日本の雨は関係ありますか?

A. あります。エルニーニョ現象が発生すると夏の太平洋高気圧の張り出しが弱まりやすく、秋は前線や台風の影響を受けやすくなる傾向があります。2026年8月の監視海域の海面水温は基準値より+3.4℃と8月として1949年以降で最高で、気象庁は冬にかけて続くと予測しています。

Q. 大雨は昔より増えていますか?

A. 増えています。気象庁の統計では、1時間降水量50mm以上の非常に激しい雨の年間発生回数は、統計開始の1976〜1985年に比べて最近10年は約1.5倍。気象研究所は集中豪雨の発生頻度が過去45年で約2.2倍になったと報告しています。年間の総降水量に明確な増加傾向はなく、「降るときにまとめて激しく降る」傾向が強まっています。

まとめ

  • 2026年9月に雨が多い直接の理由は、本州付近に停滞した秋雨前線に、台風24号くずれの熱帯低気圧など台風周辺の湿った空気が流れ込んで前線が活発になったこと。
  • 背景には記録的に高い海面水温1949年以降最強クラスのエルニーニョ現象。水蒸気が多く、降り方が激しい(新島374.5mm、伊豆大島546.0mm、名古屋1時間104.5mm)。
  • 雨が多いのは東日本。東京は13日で9月1か月分を超え9日連続の雨、日照は平年の2割。九州北部・山陰は夏から少雨で、広島の9月は平年の3割以下。
  • 年間でも千葉165%・東京148%と関東は多雨の年。6月(台風6号)・8月(千葉豪雨)・9月と3回の記録的な雨。
  • 大雨の頻度は長期的に増加中(1時間50mm以上が約1.5倍)。9月後半も前線の影響が続き、東京は10月が最も雨の多い月。

「雨が多い」と感じたら、まずはツールで自分の県の数字を確かめてみてください。感覚と数字が一致していれば、それは気のせいではなく本当に「多い年」です。

出典:気象庁「過去の気象データ検索」「令和8年夏を対象とした異常気象分析検討会の結果について」(2026年9月1日)「2026年夏(6〜8月)の天候」「エルニーニョ監視速報」(2026年9月9日)「1か月予報」(9月3日)「3か月予報」(8月25日)、気象研究所、日本気象協会 tenki.jp、ウェザーニュース。降水量・日照の集計は各県の気象台の観測値(2026年9月14日取得の速報値)をもとに筆者が計算しました。

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