日本一雨が多い街はどこ?屋久島4,652mm・尾鷲・えびの高原と「月に35日雨が降る」を平年値で検証【都道府県別ランキングつき】

日本地図上に年間降水量を色で示した点と雨すじ、降水量の棒グラフを重ねたイメージ 気象

「日本一雨が多い街はどこ?」——「月に35日雨が降る」と言われる屋久島、「雨の街」尾鷲、年間降水量日本一の県・高知。よく名前が挙がる街の「日本一」を、気象庁の年降水量の平年値(1991〜2020年、全国1,244地点)で確かめました。

結論から言うと、観測地点で日本一は屋久島(鹿児島県)の年4,651.7mm、都道府県では高知県(高知市)の2,666.4mm。東京(1,598mm)の1.7〜3倍、日本で最も雨が少ない北海道常呂(711mm)の6.5倍です。

のぶやん
のぶやん

私は気象庁で働いていた気象予報士です。日本の「雨の名所」はほぼ全部、南から湿った風が最初にぶつかる山の斜面にあります。地図で見るとその共通点がよくわかります。

年降水量が多い観測地点ランキング トップ12

順位観測地点(所在地)年降水量最も多い月東京との比較
1位屋久島(鹿児島県屋久島町)4,651.7mm6月 860.3mm2.9倍
2位えびの高原(宮崎県えびの市)4,625mm6月 1000.7mm2.9倍
3位天城山(静岡県伊豆市)4,552.6mm9月 544.7mm2.8倍
4位魚梁瀬(高知県馬路村)4,484mm7月 721.5mm2.8倍
5位鳥形山(高知県仁淀川町)4,332.4mm9月 726mm2.7倍
6位尾鷲(三重県尾鷲市)3,969.6mm9月 745.7mm2.5倍
7位色川(和歌山県那智勝浦町)3,784.7mm9月 514.1mm2.4倍
8位御嶽山(長野県王滝村)3,717.1mm7月 632.1mm2.3倍
9位中之島(鹿児島県十島村)3,626.7mm6月 757.9mm2.3倍
10位西川(和歌山県古座川町)3,591.2mm7月 505.9mm2.2倍
11位宇奈月(富山県黒部市)3,586.9mm12月 429.3mm2.2倍
12位船戸(高知県津野町)3,565.6mm8月 605.9mm2.2倍
年降水量の平年値が多い観測地点(気象庁、全国1,244地点)

1位屋久島4,651.7mm、2位えびの高原(宮崎)4,625mm、3位天城山(静岡・伊豆)4,552.6mm、4位魚梁瀬(やなせ)(高知)4,484mm、5位鳥形山(高知)4,332.4mm。人が住む「街」として有名な尾鷲(三重)は3,969.6mmで6位です。

注目はえびの高原の6月1,000.7mm。1か月で東京の年間の3分の2が降ります。梅雨前線に向かって南から流れ込む湿った空気が、霧島連山の斜面で持ち上げられるためです。全地点の順位と偏差値は降水量が多い都道府県・市町村ランキングで調べられます。

【ツール】指標と月を切り替えて全国順位を確認

下のツールでは、気温・雨・雪・晴れ・湿度・風・雷・台風・地震などの指標を年間・月別に切り替えて、47都道府県の順位と偏差値を確認できます(鹿児島県を黄色で強調表示)。並び順を変えると「少ない県」「低い県」のランキングになります。

「屋久島は月に35日雨が降る」は本当か

林芙美子の小説『浮雲』に由来するこの言葉、もちろん物理的には不可能ですが、感覚としては当たっています。屋久島の観測所(屋久島町小瀬田、標高37m)で年4,651.7mm、標高の高い山間部では推定8,000〜10,000mmとも言われ、これは世界の多雨地帯(インドのチェラプンジ約11,000mm)に近い水準です。

1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
屋久島294.6289.2387405.5444.1860.3362.4256.5450.7309.9309.6281.8
尾鷲106118.8233.8295.4360.5436.6405.2427.3745.7507.6211.5121.3
東京59.756.5116133.7139.7167.8156.2154.7224.9234.896.357.9
屋久島・尾鷲・東京の月別降水量(mm、平年値)

屋久島は1年中どの月も280mm以上降るのが特徴。東京の最多月(10月234.8mm)より、屋久島の最少月(8月256.5mm)のほうが多い。「毎月が東京の一番雨の多い月」と考えると、「35日」の感覚がわかります。

尾鷲はなぜ「雨の街」なのか

尾鷲(三重県尾鷲市)は年3,969.6mm。都市としては日本一雨の多い街と言われ、9月には745.7mm(東京の年間の半分)が降ります。理由は地形です。南東からの湿った風が熊野灘から入り、尾鷲の背後にそびえる紀伊山地の急斜面(大台ヶ原)に正面からぶつかって雲になります。大台ヶ原はかつて年間8,000mm超を記録し、「日本一の多雨地帯」として知られました。

同じ「南東の風が山にぶつかる」仕組みが、天城山(伊豆)、魚梁瀬(高知の山間)、色川(和歌山・那智勝浦)でも働いています。日本の雨の名所は「太平洋に面した山の南東斜面」に集中しているのです。

都道府県別の年降水量ランキング

順位都道府県(県庁所在地)年降水量雨の日の割合
1位高知県2,666.4mm28.7%
2位宮崎県2,625.5mm30.2%
3位鹿児島県2,434.7mm30.4%
4位石川県2,401.5mm36.2%
5位富山県2,374.2mm36.3%
6位静岡県2,327.3mm27.6%
7位福井県2,299.6mm35.4%
8位沖縄県2,161mm31.4%
9位熊本県2,007mm27.5%
10位佐賀県1,951.3mm25.7%
年降水量が多い都道府県トップ10(県庁所在地の平年値)

都道府県では高知2,666mm、宮崎2,626mm、鹿児島2,435mm、石川2,402mm、富山2,374mmの順。石川・富山は太平洋側とは逆に「冬の雪」が量を押し上げていて、金沢は12月が最多(301mm)です。太平洋側は6月と9月、日本海側は12月と1月にピークがあり、雨の季節がまったく違います。

「雨の日の割合」で見ると順位は変わります。高知は年降水量1位でも雨の日は少なく、晴れの日の割合は全国2位(「晴れの国おかやま」は本当か)。「降るときにドカッと降って、あとは晴れる」のが太平洋側の雨の特徴です。雨の日が多い県は雨の日が多い都道府県ランキング(年間・月別)をご覧ください。

逆に日本一雨が少ない場所は?

観測地点では北海道オホーツク海側の常呂(北見市)の710.6mmが最少で、留辺蘂・湧別・北見と続きます。都道府県では長野(965mm)、岡山(1,143mm)、北海道(1,146mm)、香川(1,150mm)の順。常呂と屋久島の差は6.5倍で、同じ国とは思えない開きです。

47都道府県 年降水量ランキング(全順位)

順位都道府県年降水量雨の日の割合
1位高知県2,666.4mm28.7%
2位宮崎県2,625.5mm30.2%
3位鹿児島県2,434.7mm30.4%
4位石川県2,401.5mm36.2%
5位富山県2,374.2mm36.3%
6位静岡県2,327.3mm27.6%
7位福井県2,299.6mm35.4%
8位沖縄県2,161mm31.4%
9位熊本県2,007mm27.5%
10位佐賀県1,951.3mm25.7%
11位鳥取県1,931.3mm32.9%
12位長崎県1,894.7mm27.4%
13位岐阜県1,860.7mm27.3%
14位新潟県1,845.9mm33.7%
15位島根県1,791.9mm32.1%
16位秋田県1,741.6mm29.7%
17位神奈川県1,730.8mm25.4%
18位大分県1,727mm24.6%
19位山口県1,712.3mm26.6%
20位福岡県1,686.9mm27.5%
21位徳島県1,619.9mm23.9%
22位三重県1,612.9mm25.7%
23位滋賀県1,610mm28.8%
24位東京都1,598.2mm24.8%
25位愛知県1,578.9mm25.6%
26位広島県1,572.2mm23.1%
27位栃木県1,524.7mm25.9%
28位京都府1,522.9mm25.7%
29位千葉県1,454.7mm30.7%
30位和歌山県1,414.4mm24%
31位愛媛県1,404.6mm24.8%
32位茨城県1,367.7mm24.6%
33位奈良県1,365.1mm26.2%
34位青森県1,350.7mm23.3%
35位大阪府1,338.3mm24.5%
36位埼玉県1,305.8mm23%
37位岩手県1,279.9mm24.4%
38位兵庫県1,277.8mm23.5%
39位宮城県1,276.7mm21.6%
40位群馬県1,247.4mm23.5%
41位福島県1,207mm20.7%
42位山形県1,206.7mm23.5%
43位山梨県1,160.7mm21.4%
44位香川県1,150.1mm23.6%
45位北海道1,146.1mm18.7%
46位岡山県1,143.1mm22.1%
47位長野県965.1mm21.4%
47都道府県の年降水量(県庁所在地の平年値)

歴代の「1日で降った雨」の記録(箱根922.5mm)や「1時間の雨」の記録は10分間・1時間・日降水量ランキングにまとめています。

都道府県で見る「雨の多さ」ランキング|屋久島のある鹿児島は何位?

観測地点の記録に加えて、都道府県(県庁所在地)の平年値・天気出現率でも雨の多さを比べます。

年降水量の多さ:鹿児島は3位

順位都道府県年降水量偏差値
1位高知県2,666mm73.8
2位宮崎県2,626mm72.9
3位鹿児島県2,435mm68.4
4位石川県2,402mm67.6
5位富山県2,374mm66.9
6位静岡県2,327mm65.8
7位福井県2,300mm65.2
8位沖縄県2,161mm61.9
9位熊本県2,007mm58.3
10位佐賀県1,951mm56.9
年降水量の多さランキング(平年値)

鹿児島県は3位(2,435mm、偏差値68.4)。1位は高知県(2,666mm)、47位は長野県(965mm)、全国平均は1,657mmです。比較:高知1位・宮崎2位・三重22位・東京24位。詳しくは降水量が多い都道府県・市町村ランキングをご覧ください。

雨の日の割合の多さ:鹿児島は9位

順位都道府県雨の日の割合偏差値
1位富山県36.3%74.0
2位石川県36.2%73.7
3位福井県35.4%71.7
4位新潟県33.7%67.7
5位鳥取県32.9%65.6
6位島根県32.1%63.6
7位沖縄県31.4%62.0
8位千葉県30.7%60.2
9位鹿児島県30.4%59.6
10位宮崎県30.2%59.1
雨の日の割合の多さランキング(約60年の天気出現率)

鹿児島県は9位(30.4%、偏差値59.6)。1位は富山県(36.3%)、47位は北海道(18.7%)、全国平均は26.5%です。比較:高知13位・宮崎10位・三重24位・東京28位。降水量は太平洋側南部が多く、雨の「日数」は日本海側が多い——量と回数で顔ぶれが変わります。詳しくは雨の日が多い都道府県ランキング(年間・月別)をご覧ください。

6月(梅雨)の雨の日の多さ:鹿児島は2位

順位都道府県雨の日の割合(6月)偏差値
1位宮崎県49.4%77.0
2位鹿児島県48.0%74.3
3位熊本県44.6%67.6
4位高知県43.9%66.2
5位千葉県40.9%60.3
6位栃木県40.8%60.1
7位長崎県40.5%59.6
8位大分県40.3%59.2
9位群馬県39.2%57.0
10位佐賀県38.8%56.2
6月(梅雨)の雨の日の多さランキング(約60年の天気出現率)

鹿児島県は2位(48.0%、偏差値74.3)。1位は宮崎県(49.4%)、47位は北海道(21.7%)、全国平均は35.6%です。比較:高知4位・宮崎1位・三重14位・東京24位。詳しくは雨の日が多い都道府県ランキング(年間・月別)をご覧ください。

平均湿度の高さ:鹿児島は21位

順位都道府県平均湿度偏差値
1位富山県76%68.6
2位青森県75%65.8
3位福井県75%65.8
4位島根県75%65.8
5位岩手県74%63.0
6位山形県74%63.0
7位茨城県74%63.0
8位滋賀県74%63.0
9位鳥取県74%63.0
10位宮崎県74%63.0
21位鹿児島県70%51.7
平均湿度の高さランキング(平年値)

鹿児島県は21位(70%、偏差値51.7)。1位は富山県(76%)、47位は群馬県(62%)、全国平均は69%です。比較:高知26位・宮崎10位・三重33位・東京42位。詳しくは湿度が高い県ランキングをご覧ください。

鹿児島の月別の雨と全国順位|春と梅雨に集中する南九州の雨

鹿児島市の月別の雨の日の割合と全国順位です。屋久島ほどではありませんが、県庁所在地でも春から梅雨にかけて全国トップクラスの雨の日数になります。

鹿児島の雨の日の割合順位1位
1月23.0%8位石川(31.1%)
2月27.5%2位沖縄(32.9%)
3月35.4%1位鹿児島(35.4%)
4月33.0%9位富山(36.5%)
5月31.9%8位沖縄(35.8%)
6月48.0%2位宮崎(49.4%)
7月36.1%13位群馬(41.9%)
8月31.9%8位沖縄(37.6%)
9月31.8%30位栃木(39.5%)
10月21.9%38位秋田(42.0%)
11月22.9%18位新潟(52.2%)
12月22.0%11位石川(50.0%)
鹿児島県の月別値と全国順位

雨の日の割合は3月に全国1位、2月と6月に2位。前線が停滞しやすい春と梅雨に集中し、秋(10月38位)はむしろ少ない側です。台風の9月も「日数」では多くなく、南九州の雨は「短時間に大量」の傾向があります。

よくある質問

Q. 日本一雨が多いのは屋久島?それとも大台ヶ原?

年間平年値の観測地点では屋久島(約4,500mm)が最多で、大台ヶ原(奈良県)は観測終了前の記録で約4,800mmとされます。現在の気象庁観測点では屋久島が「日本一雨が多い街」といえます。地点別の一覧は降水量ランキングで確認できます。

Q. 雨が多い=雨の日が多い?

違います。鹿児島や高知は「量」が多く、日本海側の富山・石川・福井は冬の雪や雨で「日数」が多い県です。旅行の計画なら雨の日が多い都道府県ランキングの月別のほうが役に立ちます。

Q. 世界と比べると日本の雨は多い?

日本の年降水量は約1,700mmで世界平均(約1,000mm)の1.7倍、193か国中でも上位に入ります。世界一のインド・チェラプンジは約11,800mmで屋久島の2.5倍です。世界一雨が多い場所はどこ?をご覧ください。

Q. 1時間・1日の記録は?

1時間降水量の日本記録は153.0mm(香取・長浦岳)、日降水量は922.5mm(箱根、2019年)です。歴代降水量ランキングで最新の記録を確認できます。

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まとめ
  • 観測地点で日本一雨が多いのは屋久島の年4,651.7mm。えびの高原・天城山・魚梁瀬・鳥形山が続き、街としては尾鷲(3,970mm)が有名
  • 「月に35日」は比喩だが、屋久島は毎月280mm以上で「毎月が東京の最多月」
  • 雨の名所の共通点は太平洋に面した山の南東斜面(湿った風が山にぶつかる)
  • 都道府県では高知2,666mm・宮崎・鹿児島・石川・富山の順。日本海側は冬、太平洋側は6月と9月がピーク
  • 最少は北海道常呂の711mm。都道府県では長野・岡山が少ない

出典:気象庁の平年値(1991〜2020年)および観測データ。偏差値は47都道府県の平均を50とした値です。都道府県の値は原則として県庁所在地の気象官署の平年値を用いています。

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