液状化しやすい地域とは?埋立地・旧河道・砂丘の見分け方と、住所から調べる方法・対策【地形分類でわかる液状化リスク】

地層の断面と地下水位、砂の粒を表した図に、揺れを示す波形を重ねたイメージ 気象

「液状化しやすい地域はどこ?」「自分の家の土地は大丈夫?」——2011年の東日本大震災で千葉県浦安市の住宅街が傾き、2024年の能登半島地震では新潟市西区や石川県内灘町で道路が波打った映像を見て、液状化を心配する人が増えました。

この記事では、液状化が起きる仕組み、地形の種類から液状化しやすい地域を見分ける方法、当サイトの地震リスクデータベース(1,756市区町村)に収録した「役所付近の地形分類」から見た該当地域、そして住所から調べる方法と対策を気象予報士がまとめます。

のぶやん
のぶやん

私は気象庁で働いていた気象予報士です。液状化は「揺れやすさ」とは別の現象で、増幅率が低くても起きます。カギは「砂」と「水」と「新しい土地」の3つです。

液状化とは?起きる3つの条件

地震の揺れで、水を含んだ砂の地盤が液体のようになる現象が液状化です。砂の粒がかみ合って支えていた構造が揺れでほぐれ、粒の間の水の圧力が上がって、砂全体が泥水のようにふるまいます。すると重い建物は沈んで傾き、軽いマンホールや配管は浮き上がり、地面の割れ目から砂まじりの水が噴き出します(噴砂)。

  1. 緩い砂の地盤:粒のそろった細かい砂。粘土や礫(小石)は液状化しにくい
  2. 地下水位が高い:地表から数m以内に地下水がある
  3. 強い揺れ:震度5弱以上が目安。揺れの時間が長いほど起きやすく、2011年のように長く揺れる海溝型地震で広範囲に発生

この3条件がそろうのは、「海・川・湖のそばの、新しくできた砂の土地」です。埋立地はもちろん、昔の川や池を埋めた場所、河口の砂地盤、砂丘の間の低地が該当します。

【ツール】都道府県の地震指標を切り替えて順位を確認

下のツールでは、30年以内に震度6弱以上となる確率・有感地震の回数・表層地盤増幅率・震度6弱以上を観測した市区町村数・地震保険料・台風接近数を切り替えて、47都道府県の順位と偏差値を確認できます(千葉県を黄色で強調表示)。

地形分類で見る液状化のしやすさ

国土地理院とJ-SHISの「地形分類」は、液状化の起きやすさをかなり正確に映します。当サイトの地震リスクデータベースでは市区町村の役所付近の地形分類を収録しており、その分類ごとの液状化リスクと該当する市区町村の例は次のとおりです。

地形分類液状化のしやすさ特徴役所がこの地形にある市区町村の例(増幅率が高い順)
埋立地非常に高い海や湖を埋め立てた土地。1960年代以降の埋立地は特に危険千葉浦安市佐賀太良町兵庫明石市北海道江差町沖縄糸満市鹿児島徳之島町
干拓地非常に高い海や湖の水を抜いて陸にした土地。地下水位が高い東京江東区秋田大潟村愛知飛島村茨城神栖市三重木曽岬町熊本長洲町
旧河道・旧池沼非常に高い昔の川や池を埋めた土地。周囲より低く砂と水が多い千葉香取市群馬明和町鹿児島南さつま市兵庫高砂市兵庫伊丹市富山富山市
砂丘・砂州間低地高い砂丘の間の低地。地下水位が高い砂地盤鳥取境港市鳥取境港市兵庫洲本市北海道天塩町千葉旭市千葉九十九里町
三角州・海岸低地高い河口や海岸の砂地盤。都市の中心部に多い東京江戸川区大分姫島村新潟新潟市東京荒川区北海道白老町愛知あま市
自然堤防やや高い川沿いにできた砂の微高地。周囲より安全だが砂地盤茨城河内町東京足立区埼玉蕨市埼玉川口市埼玉杉戸町三重川越町
砂州・砂礫州やや高い海岸沿いの砂の高まり。地下水位による千葉館山市埼玉草加市神奈川逗子市千葉市川市神奈川茅ヶ崎市千葉長生村
後背湿地低〜中泥が多く揺れは大きいが、粘土質で液状化はしにくい埼玉幸手市茨城つくばみらい市埼玉宮代町埼玉八潮市埼玉三郷市埼玉吉川市
台地・丘陵・山地低い締まった地盤、地下水位が低い(多数)
地形分類別の液状化リスク(国土交通省・J-SHISの分類をもとに整理)と該当市区町村の例

役所が埋立地にあるのは浦安市・明石市・糸満市など21市町、干拓地は江東区・秋田県大潟村・愛知県飛島村など31市町村、旧河道・旧池沼は香取市・伊丹市・富山市など14市町。ただし役所の場所は市の一部にすぎません。同じ市内でも埋立地の住宅地と台地の住宅地でリスクはまったく違うので、必ず住所単位で確認してください。

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過去の地震で液状化した主な地域

地震液状化の主な被害地特徴
1964年 新潟地震(M7.5)新潟市(信濃川沿い)鉄筋コンクリートのアパートが倒れずに横倒しになった。液状化が広く知られるきっかけ
1995年 阪神・淡路大震災神戸市のポートアイランド・六甲アイランド、尼崎・西宮の臨海部埋立地の岸壁が海側へ動き、港湾機能が停止
2011年 東日本大震災千葉県浦安市・習志野市・千葉市美浜区、茨城県潮来市・神栖市、東京都江東区など震源から400km離れた東京湾岸で戸建て住宅約2万7千棟が被害。日本最大の液状化被害
2016年 熊本地震熊本市南区・西区(旧河道、白川・緑川沿い)内陸の川沿いでも起きることを示した
2018年 北海道胆振東部地震札幌市清田区里塚谷を埋めた造成地で道路と住宅が沈下
2024年 能登半島地震新潟市西区、石川県内灘町・かほく市、富山県氷見市砂丘の間の低地と埋立地で広範囲に発生。震源から100km以上離れた新潟市でも
液状化被害が大きかった主な地震

共通するのは、震源から遠くても起きること。液状化は揺れの強さより「地盤の性質」で決まるため、震度5強程度の揺れでも埋立地では発生します。2011年の浦安市は震度5強、2024年の新潟市西区は震度5強でした。

自分の土地の液状化リスクを調べる方法

  1. 自治体の液状化ハザードマップ:東京都「液状化予測図」、千葉県・神奈川県・愛知県・大阪府なども公開。3〜4段階で表示(ハザードマップの見方
  2. 国土地理院「地形分類(自然地形・人工地形)」:地理院地図で住所の地形が「埋立地」「旧河道」「盛土」かを確認。もっとも確実な方法
  3. 昔の地図と航空写真:地理院地図の「年代別の写真」で、1960〜70年代にその場所が海・川・田んぼだったかを見る
  4. 当サイトの地震リスクデータベース:市区町村ごとの役所付近の地形分類と揺れやすさ、水害リスクデータベースで浸水しやすい低地を確認
  5. 地盤調査(SWS試験・ボーリング):土地を買う前なら5〜10万円で地盤の強さと地下水位がわかる

液状化への対策

  • 戸建て:地盤改良(砕石パイル・柱状改良)、べた基礎。液状化後の傾き修正は300〜500万円かかることが多い
  • マンション:杭が支持層に届いていれば建物は沈まないが、周囲の地面が下がって配管が切れる「抜け上がり」は起きる
  • 保険:地震保険は液状化による傾き・沈下も対象(傾き1度以上で一部損など)。詳しくは地震保険料が高い県・安い県ランキング
  • 地域:浦安市などでは道路と宅地を一体で改良する「格子状地中壁工法」が実施された

液状化しやすい地形は、揺れやすい地形(揺れやすい地盤ランキング 全国1,756市区町村)や浸水しやすい地形とも重なります。土地を選ぶときは「昔そこが何だったか」を一度調べてみてください。

都道府県で見る液状化しやすさの背景|地盤・確率・回数

2011年に浦安市などで大規模な液状化が起きた千葉県を例に、都道府県単位の地盤・確率・回数を確認します。液状化は「軟らかい砂地盤×強い揺れ」で起きるため、増幅率と確率の両方が高い県ほど注意が必要です。

30年以内に震度6弱以上となる確率の高さ:千葉は6位

順位都道府県30年以内に震度6弱以上の確率偏差値
1位高知県77.7%69.9
2位徳島県77.5%69.8
3位香川県73.6%68.2
4位和歌山県73.1%68.0
5位静岡県72.8%67.9
6位千葉県71.2%67.3
7位埼玉県62.4%63.7
8位岐阜県61.9%63.5
9位大分県57.4%61.6
10位三重県48.9%58.2
30年以内に震度6弱以上となる確率の高さランキング(J-SHIS 2024年版・県庁所在地)

千葉県は6位(71.2%、偏差値67.3)。1位は高知県(77.7%)、47位は北海道(2.3%)、全国平均は28.8%です。比較:東京13位・新潟23位・石川30位・高知1位。詳しくは今後30年以内に震度6弱以上の地震が起きる確率ランキングをご覧ください。

表層地盤増幅率の大きさ(県内平均):千葉は2位

順位都道府県表層地盤増幅率偏差値
1位石川県1.60倍68.6
2位千葉県1.55倍65.2
3位茨城県1.54倍64.5
4位埼玉県1.54倍64.5
5位新潟県1.53倍63.8
6位山口県1.51倍62.4
7位香川県1.50倍61.8
8位佐賀県1.50倍61.8
9位富山県1.45倍58.4
10位福井県1.45倍58.4
表層地盤増幅率の大きさ(県内平均)ランキング(J-SHIS)

千葉県は2位(1.55倍、偏差値65.2)。1位は石川県(1.60倍)、47位は長野県(0.97倍)、全国平均は1.33倍です。比較:東京23位・新潟5位・石川1位・高知43位。詳しくは揺れやすい地盤ランキングをご覧ください。

有感地震の年間回数の多さ:千葉は10位

順位都道府県有感地震の年間回数偏差値
1位長野県650回107.1
2位東京都286回71.4
3位茨城県182回61.2
4位北海道153回58.3
5位福島県139回57.0
6位岩手県132回56.3
7位宮城県118回54.9
8位鹿児島県114回54.5
9位栃木県114回54.5
10位千葉県95回52.6
有感地震の年間回数の多さランキング(1919年以降の平均)

千葉県は10位(95回、偏差値52.6)。1位は長野県(650回)、47位は佐賀県(8回)、全国平均は68回です。比較:東京2位・新潟20位・石川21位・高知36位。詳しくは地震が多い都道府県・市町村ランキングをご覧ください。

震度6弱以上を観測した市区町村数の多さ:千葉は16位

順位都道府県震度6弱以上を観測した市区町村数偏差値
1位福島県3485.9
2位茨城県3081.0
3位宮城県2777.3
4位熊本県2372.3
5位北海道1663.7
6位新潟県1157.5
7位岩手県1056.3
8位栃木県1056.3
9位鳥取県1056.3
10位石川県752.6
16位千葉県347.7
震度6弱以上を観測した市区町村数の多さランキング(気象庁震度データベース)

千葉県は16位(3、偏差値47.7)。1位は福島県(34)、47位は沖縄県(0)、全国平均は5です。比較:東京12位・新潟6位・石川10位・高知30位。詳しくは震度6強以上を観測した市町村一覧をご覧ください。

千葉県内の市区町村で見る地震リスク|確率・地盤・回数トップ10

千葉県の54市区町村について、当サイトの地震リスクデータベースから「30年以内に震度6弱以上となる確率」「表層地盤増幅率」「年平均の有感地震回数」の上位10を並べました。市区町村名をクリックすると詳細ページ(過去の最大震度・年代別回数・地形分類)が開きます。

30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率が高い市区町村

順位市区町村30年確率(6弱以上)
1香取市91.7%
2旭市86.3%
3浦安市84.6%
4君津市83.3%
5神崎町82.4%
6鋸南町81.4%
7東庄町81.2%
8長生村75.0%
9白子町74.8%
10横芝光町74.3%
千葉県の30年確率(6弱以上) 上位10(54市区町村中)

地盤が揺れやすい(表層地盤増幅率が大きい)市区町村

順位市区町村表層地盤増幅率
1浦安市2.24倍
2香取市2.20倍
3君津市2.12倍
4鋸南町2.09倍
5館山市1.92倍
6神崎町1.89倍
7鴨川市1.82倍
8旭市1.80倍
9市川市1.76倍
10習志野市1.74倍
千葉県の表層地盤増幅率 上位10(54市区町村中)

有感地震の回数が多い市区町村

順位市区町村年平均有感地震回数
1香取市102.3回
2成田市86.5回
3東金市82.0回
4多古町78.0回
5銚子市70.6回
6旭市68.8回
7芝山町63.9回
8市原市62.6回
9山武市62.6回
10柏市62.1回
千葉県の年平均有感地震回数 上位10(54市区町村中)

過去に震度6弱以上を観測したことがあるのは3市区町村(館山市=6弱、印西市=6弱、成田市=6弱)。全国の一覧は震度6強以上を観測したことがある市町村一覧をご覧ください。

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水害・台風の備えは保険の見直しから

地震保険は火災保険とセットでしか入れません。風水害・雪害は火災保険の補償範囲なので、ハザードマップで自宅のリスクを確認したら、補償内容が合っているか一度確認しておくと安心です。

よくある質問

Q. 液状化は震度いくつから起きる?

一般に震度5弱以上で発生し、震度5強以上で被害が目立ちます。2011年の浦安市は震度5強、2024年の新潟市西区は震度5強〜6弱で大規模な液状化が起きました。

Q. 液状化した土地はまた液状化する?

します。一度液状化した土地は地盤が締まって次は起きにくいと言われることがありますが、実際には新潟市のように1964年と2024年で同じ地域が繰り返し液状化しています。

Q. 液状化の被害は地震保険で補償される?

建物の傾きが一定以上(例:1度以上)や沈下量に応じて「全損・大半損・小半損・一部損」が認定されます。傾きが小さいと補償されない場合があるため、認定基準を確認しておきましょう。地震保険料ランキングも参考に。

Q. 戸建てを建てる前にできる対策は?

地盤調査で砂層と地下水位を確認し、必要なら地盤改良(砕石パイル・格子状改良)や杭基礎を採用します。費用は100〜300万円程度が目安で、液状化しやすい地形では十分に元が取れる投資です。

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まとめ
  • 液状化は緩い砂+高い地下水位+強い揺れで起きる。震度5弱〜5強でも埋立地では発生
  • 地形分類で見分けられる。埋立地・干拓地・旧河道・砂丘間低地・三角州は要注意、台地・丘陵は低い
  • 役所が埋立地にある市町は21、干拓地31、旧河道14。ただし判断は市区町村ではなく住所単位
  • 震源から遠くても起きる。2011年の浦安(震源から400km)、2024年の新潟市西区(100km以上)
  • 調べ方は自治体の液状化マップ→地理院地図の地形分類→昔の航空写真。対策は地盤改良と地震保険

出典:気象庁 震度データベース(1919年1月〜)、防災科学技術研究所 J-SHIS 地震ハザードステーション(2024年版、役所付近の250mメッシュ値)、国土地理院「地形分類」「治水地形分類図」、国土交通省「液状化対策ガイドライン」。当サイトは独自の地震予測を行っていません。偏差値・順位は当サイトの地震リスクデータベース(1,756市区町村)から集計しています。

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