「世界一雨が多い場所はどこ?」——答えはインド北東部メガラヤ州のマウシンラム(年平均降水量 約11,871mm)と、そこから15kmほどしか離れていないチェラプンジ(同 約11,777mm)です。東京の年降水量(約1,600mm)の7倍以上、日本一雨が多い屋久島(約4,500mm)の2.5倍以上の雨が、毎年降ります。
この記事では、この2つの村がなぜ「世界一」なのか、記録の中身(1年で26,461mm、1か月で9,300mm)、雨が降る仕組み、ライバルの多雨地点、そして「世界一雨が多いのに水不足」という不思議な現実を、当サイトの世界の年間降水量ランキングや日本の歴代降水量記録と比べながら気象予報士が解説します。

チェラプンジの1年間の記録26,461mmは、日本の歴代1日降水量の日本一・箱根922.5mm(2019年)が29日続いたのと同じ量。しかも雨の8割以上が6〜9月に集中し、乾季には水不足で給水車が来る「世界一雨の多い砂漠」と呼ばれています。
チェラプンジとマウシンラムはどこにある?
2つの村はインド北東部、バングラデシュとの国境近くにあるメガラヤ州(「雲の住みか」という意味)のカシ丘陵南斜面、標高約1,300〜1,500mに位置します。南側は一気にバングラデシュの平野へ落ち込む急崖で、平野からの湿った空気が正面からぶつかる地形です。チェラプンジは現地語で「ソーラ(Sohra)」と呼ばれ、英領時代から観測記録が残るため「世界一の雨の町」として有名になりました。マウシンラムは近年の観測でチェラプンジをわずかに上回り、ギネス世界記録では「世界で最も年降水量が多い場所」に認定されています。
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下のツールでは、年平均気温・年較差・最高/最低気温の記録・降水量・降雪量・雲量・日照時間・湿度・風速・紫外線を年間・月別に切り替えて、国連加盟193か国の順位と偏差値を確認できます(インドを黄色で強調表示)。
雨の記録——年間・月間・48時間の世界一
| 項目 | 記録 | 場所 | 期間 |
|---|---|---|---|
| 年平均降水量(世界一) | 約11,871mm | マウシンラム | 平年値(1971〜2000年ほか) |
| 年平均降水量(2位) | 約11,777mm | チェラプンジ | 同上 |
| 12か月間の降水量(世界一) | 26,461mm | チェラプンジ | 1860年8月〜1861年7月 |
| 1か月の降水量(世界一) | 9,300mm | チェラプンジ | 1861年7月 |
| 48時間の降水量(世界一) | 2,493mm | チェラプンジ | 1995年6月15〜16日 |
| 参考:日本の年平均降水量 最多 | 約4,500mm | 屋久島(鹿児島県) | 平年値 |
| 参考:日本の日降水量 最多 | 922.5mm | 箱根(神奈川県) | 2019年10月12日 |
| 参考:東京の年平均降水量 | 約1,600mm | 東京 | 平年値 |
特に驚くのは月間9,300mmという数字です。1日あたり300mm——日本なら「記録的な大雨」として特別警報級の雨が、1か月間毎日降り続いた計算になります。
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なぜ世界一雨が降るのか——3つの条件
① 南西モンスーンがベンガル湾の水蒸気を運ぶ
6〜9月、インド亜大陸には南西から夏のモンスーン(季節風)が吹き込みます。ベンガル湾の海面水温は28〜30℃と高く、この風は大量の水蒸気を含んでいます。
② バングラデシュの平野が「じょうご」になる
ベンガル湾から北上した湿った空気は、三角形に狭まるバングラデシュの低地を通るうちに集められ、行き止まりのカシ丘陵に正面からぶつかります。地形が空気を集める「じょうご効果」です。
③ 急な崖が空気を一気に持ち上げる(地形性降雨)
標高数十mの平野から1,300m以上の丘陵へ、わずか数十kmで駆け上がる急斜面。湿った空気は強制的に上昇し、冷やされて雲となり、斜面の上で雨を落とし続けます。これが「地形性降雨」で、チェラプンジとマウシンラムはその世界一の教科書です。日本で屋久島や大台ヶ原、高知県や宮崎県に雨が多いのも同じ仕組みで、黒潮からの湿った空気が山にぶつかることで降ります。
世界の多雨地点ランキング——ライバルはどこ?
| 順位 | 地点 | 国 | 年平均降水量 | 雨の仕組み |
|---|---|---|---|---|
| 1 | マウシンラム | インド | 約11,871mm | モンスーン+地形性降雨 |
| 2 | チェラプンジ(ソーラ) | インド | 約11,777mm | 同上 |
| 3 | トゥトゥネンド | コロンビア | 約11,770mm | 熱帯収束帯+太平洋からの湿った空気 |
| 4 | クロップ川 | ニュージーランド | 約11,500mm | 偏西風+サザンアルプスの地形性降雨 |
| 5 | ワイアレアレ山 | アメリカ(ハワイ) | 約9,700〜11,500mm | 貿易風+山岳 |
| 6 | デブンジャ | カメルーン | 約10,300mm | ギニア湾のモンスーン+カメルーン山 |
| 7 | ビッグボグ(マウイ島) | アメリカ(ハワイ) | 約10,270mm | 貿易風+山岳 |
| 参考 | 屋久島 | 日本 | 約4,500mm | 黒潮+山岳 |
コロンビア太平洋岸のロペス・デ・ミカイでは年12,000mm超という観測もあり、「世界一」の座は観測期間の取り方によって入れ替わります。ただ、100年以上の記録があり極値をいくつも持つチェラプンジと、それを上回る平年値を持つマウシンラムの2つが「世界一雨が多い場所」の定番であることは変わりません。
国単位ではどこが世界一?
地点ではなく国の平均で見ると、世界の年間降水量ランキングの1位はコロンビア(3,240mm)で、サントメ・プリンシペ(3,200mm)・パプアニューギニア(3,142mm)・ソロモン諸島(3,028mm)・パナマ(2,928mm)と続きます。インドは国全体では1,083mmで、砂漠から多雨地帯まで含むため平均は高くありません。日本は1,668mmで193か国中47位——世界でも雨の多い国に入ります。
| 順位 | 国 | 年間降水量 |
|---|---|---|
| 1 | コロンビア | 3,240mm |
| 2 | サントメ・プリンシペ | 3,200mm |
| 3 | パプアニューギニア | 3,142mm |
| 4 | ソロモン諸島 | 3,028mm |
| 5 | パナマ | 2,928mm |
| 6 | コスタリカ | 2,926mm |
| 7 | サモア | 2,880mm |
| 8 | マレーシア | 2,875mm |
| 9 | ブルネイ | 2,722mm |
| 10 | インドネシア | 2,702mm |
「世界一雨が多いのに水不足」——チェラプンジの逆説
雨の8割以上が6〜9月の4か月に集中し、11〜2月はほとんど降りません。石灰岩の土地は水を貯めにくく、森林伐採で保水力も落ちたため、乾季には井戸が枯れて給水車に頼る年もあります。「世界一雨の多い砂漠」と呼ばれるゆえんです。雨は「量」だけでなく「いつ降るか」が生活を左右する——日本の梅雨や台風の雨が貴重な水資源であることと同じ教訓です。
チェラプンジを訪ねるなら
- 雨を体験したいなら6〜8月:ただし霧と雨で滝や崖の景色は見えにくい。
- 景色を見るなら10〜11月:雨が減り、ノーカリカイ滝(落差340m)や「生きた根の橋(リビングルートブリッジ)」が見頃。
- アクセス:メガラヤ州都シロンから車で約2時間。日本からはコルカタまたはグワハティ経由。
- 持ち物:傘は役に立たない。上下のレインウェアと防水の靴が必須。
193か国ランキングで見る「雨」|インドと日本はどの位置?
チェラプンジという「地点」の記録に対して、国単位の平均で見るとインドは意外な位置にあります。降水量・湿度・雲量のランキングで確認します。
年間降水量の多さ(国土平均):インドは86位
| 順位 | 国 | 年間降水量 | 偏差値 |
|---|---|---|---|
| 1位 | コロンビア | 3,240mm | 75.9 |
| 2位 | サントメ・プリンシペ | 3,200mm | 75.4 |
| 3位 | パプアニューギニア | 3,142mm | 74.7 |
| 4位 | ソロモン諸島 | 3,028mm | 73.2 |
| 5位 | パナマ | 2,928mm | 72.0 |
| 6位 | コスタリカ | 2,926mm | 71.9 |
| 7位 | サモア | 2,880mm | 71.4 |
| 8位 | マレーシア | 2,875mm | 71.3 |
| 9位 | ブルネイ | 2,722mm | 69.4 |
| 10位 | インドネシア | 2,702mm | 69.1 |
| 86位 | インド | 1,083mm | 48.8 |
| 47位 | 日本 | 1,668mm | 56.2 |
インドは86位(1,083mm、偏差値48.8)。日本は47位(1,668mm)。1位はコロンビア(3,240mm)、最下位はエジプト(18mm)、179か国の平均は1,175mmです。インドは砂漠から多雨地帯まで含むため国平均では中位。日本は世界でも雨の多い国です。詳しくは世界の年間降水量ランキングいちばん雨が多い国・少ない国はどこ?をご覧ください。
平均湿度の高さ(首都):インドは147位
| 順位 | 国 | 平均湿度 | 偏差値 |
|---|---|---|---|
| 1位 | サモア | 87.8% | 63.9 |
| 2位 | ブルネイ | 87.6% | 63.7 |
| 3位 | コートジボワール | 86.6% | 62.9 |
| 4位 | リベリア | 86.4% | 62.8 |
| 5位 | サントメ・プリンシペ | 86.1% | 62.5 |
| 6位 | パラオ | 86.1% | 62.5 |
| 7位 | コモロ | 86.0% | 62.5 |
| 8位 | ガボン | 85.9% | 62.4 |
| 9位 | フィジー | 84.7% | 61.4 |
| 10位 | ミクロネシア連邦 | 84.7% | 61.4 |
| 147位 | インド | 62.9% | 44.0 |
| 107位 | 日本 | 72.5% | 51.7 |
インドは147位(62.9%、偏差値44.0)。日本は107位(72.5%)。1位はサモア(87.8%)、最下位はサウジアラビア(27.1%)、193か国の平均は70.4%です。詳しくは世界の湿度ランキングいちばん湿度が高い国はどこ?月別・年間で比をご覧ください。
平均雲量の多さ(曇りやすさ):インドは173位
| 順位 | 国 | 平均雲量 | 偏差値 |
|---|---|---|---|
| 1位 | マレーシア | 90.7% | 69.8 |
| 2位 | ブルネイ | 90.4% | 69.7 |
| 3位 | パラオ | 87.4% | 67.9 |
| 4位 | シンガポール | 86.8% | 67.5 |
| 5位 | ガボン | 86.7% | 67.5 |
| 6位 | ミクロネシア連邦 | 86.6% | 67.4 |
| 7位 | コロンビア | 85.5% | 66.8 |
| 8位 | カメルーン | 85.3% | 66.6 |
| 9位 | サントメ・プリンシペ | 84.6% | 66.2 |
| 10位 | エクアドル | 82.7% | 65.1 |
| 173位 | インド | 32.4% | 35.3 |
| 92位 | 日本 | 60.3% | 51.8 |
インドは173位(32.4%、偏差値35.3)。日本は92位(60.3%)。1位はマレーシア(90.7%)、最下位はエジプト(18.4%)、193か国の平均は57.2%です。詳しくは世界の曇りが多い国ランキングいちばん曇る国はどこ?平均雲量で月をご覧ください。
年間降水量の少なさ(国土平均):インドは94位
| 順位 | 国 | 年間降水量 | 偏差値 |
|---|---|---|---|
| 1位 | エジプト | 18mm | 35.5 |
| 2位 | リビア | 56mm | 36.0 |
| 3位 | サウジアラビア | 59mm | 36.0 |
| 4位 | カタール | 74mm | 36.2 |
| 5位 | アラブ首長国連邦 | 78mm | 36.2 |
| 6位 | バーレーン | 83mm | 36.3 |
| 7位 | アルジェリア | 89mm | 36.4 |
| 8位 | モーリタニア | 92mm | 36.4 |
| 9位 | ヨルダン | 111mm | 36.7 |
| 10位 | クウェート | 121mm | 36.8 |
| 94位 | インド | 1,083mm | 48.8 |
| 133位 | 日本 | 1,668mm | 56.2 |
インドは94位(1,083mm、偏差値48.8)。日本は133位(1,668mm)。1位はエジプト(18mm)、最下位はコロンビア(3,240mm)、179か国の平均は1,175mmです。世界一乾いた国はエジプト。世界一乾燥した場所アタカマ砂漠も参考に。詳しくは世界の乾燥している国ランキングいちばん乾燥している国はどこ?月をご覧ください。
インド(ニューデリー)と東京の月別湿度比較
モンスーンの国インドは、首都デリーでも6〜9月に湿度が急上昇します。月別の湿度と193か国中の順位を東京と並べました。
| 月 | インドの平均湿度 | 順位 | 日本(東京) |
|---|---|---|---|
| 1月 | 83.5% | 36位 | 62.8%(162位) |
| 2月 | 66.3% | 145位 | 64.5%(150位) |
| 3月 | 54.4% | 171位 | 67.9%(128位) |
| 4月 | 28.8% | 189位 | 73.0%(90位) |
| 5月 | 38.5% | 181位 | 75.3%(77位) |
| 6月 | 47.7% | 171位 | 79.6%(55位) |
| 7月 | 80.4% | 58位 | 75.4%(85位) |
| 8月 | 76.3% | 92位 | 76.5%(89位) |
| 9月 | 75.9% | 93位 | 79.9%(64位) |
| 10月 | 64.7% | 148位 | 76.0%(103位) |
| 11月 | 66.4% | 151位 | 73.7%(118位) |
| 12月 | 72.0% | 123位 | 65.6%(149位) |
デリーは4〜5月に湿度が30%前後まで下がる乾季と、7〜9月の雨季で湿度が倍近く変わります。チェラプンジの雨も、この南西モンスーンが運んできます。
よくある質問
Q. チェラプンジとマウシンラム、どちらが世界一?
ギネス世界記録はマウシンラム(年約11,871mm)を認定していますが、100年以上の記録と月間・年間の極値を持つのはチェラプンジです。観測期間の取り方で入れ替わる「ほぼ同率」と考えてください。
Q. 日本の年降水量は世界で何位?
国土平均1,668mmで179か国中47位。世界平均の約1.7倍で、先進国の中では最も雨の多い国のひとつです。
Q. 1日で最も多く降った記録は?
24時間降水量の世界記録はレユニオン島(フランス領)の1,825mm(1966年)です。日本記録は繁藤(高知県)の979.0mmで、世界の歴代降水量ランキングで各国の記録と比較できます。
Q. チェラプンジに行くベストシーズンは?
雨を見るなら6〜8月、景色(ノーカリカイ滝・生きた根の橋)なら10〜11月です。乾季は水不足になるほど雨が少なく、同じ場所とは思えない景色になります。
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- ライバルはコロンビアのトゥトゥネンド、NZのクロップ川、ハワイのワイアレアレ山。
- 雨が4か月に集中するため乾季は水不足。「世界一雨の多い砂漠」とも呼ばれる。
出典:WMO世界気象極値アーカイブ、インド気象局(IMD)、ギネス世界記録、気象庁 平年値・歴代全国ランキング、当サイトの世界193か国降水量データ。地点の平年値は観測期間によって差があるため概数で示しています。
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