「世界一風が強い場所はどこ?」——答えは3つあります。観測史上の最大瞬間風速ならオーストラリアのバロー島で観測された113.3m/s(時速408km)、年間を通じて平均的に風が強い場所なら南極のコモンウェルス湾(年平均風速約19m/s)、人が暮らす都市ならニュージーランドの首都ウェリントンが定番です。
この記事では「瞬間」「平均」「都市」の3つの世界一を整理し、なぜそこで風が強くなるのか、当サイトの世界の風が強い国ランキングで見た首都の平均風速トップ10、そして日本の最大瞬間風速ランキング(富士山91.0m/s)との比較を気象予報士が解説します。

日本の最大瞬間風速の記録は富士山の91.0m/s。世界記録のバロー島113.3m/sはそれをさらに22m/s上回ります。時速400kmは新幹線より速く、風圧は40m/sの台風の8倍。人も車も建物の屋根も、文字通り吹き飛びます。
観測史上の最大瞬間風速——世界一はバロー島の113.3m/s
| 順位 | 風速 | 場所 | 日付 | 原因 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 113.3m/s(408km/h) | バロー島(オーストラリア) | 1996年4月10日 | 熱帯低気圧(サイクロン)オリビア |
| 2 | 103.3m/s(372km/h) | ワシントン山(アメリカ・ニューハンプシャー州、標高1,917m) | 1934年4月12日 | 温帯低気圧+山岳。人が直接観測した記録としては世界一 |
| 3 | 91.0m/s(328km/h) | 富士山(日本、標高3,776m) | 1966年9月25日 | 台風第26号(山の風下側の加速) |
| 4 | 85.3m/s(307km/h) | 宮古島(沖縄県) | 1966年9月5日 | 第2宮古島台風 |
| 5 | 84.5m/s(304km/h) | 室戸岬(高知県) | 1961年9月16日 | 第2室戸台風 |
| 参考 | 約135m/s(486km/h) | オクラホマ州ブリッジクリーク(アメリカ) | 1999年5月3日 | 竜巻(ドップラーレーダーによる上空の推定値で、地上観測ではない) |
バロー島の記録は自動観測で、1996年当時は疑問視されましたが、2010年にWMOが正式に世界記録と認定しました。それまで62年間世界一だったワシントン山の記録は「人間が観測した最大風速」として今も語り継がれています。竜巻の内部ではさらに速い風が吹きますが、風速計が壊れるため地上での実測値は残っていません。
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年間を通じて世界一風が強い場所——南極コモンウェルス湾
「一瞬」ではなく「いつも」風が強い場所の世界一は、南極大陸のコモンウェルス湾(ケープ・デニソン)です。年平均風速は約19m/s(時速70km)、時速240kmを超える突風が日常的に吹き、1912年にここで越冬したモーソン隊は「ブリザードの故郷」と名付けました。1日の平均風速が44m/sに達した日もあります。
理由はカタバ風(斜面下降風)です。南極内陸の標高3,000〜4,000mの氷床の上で冷やされた重い空気が、氷の斜面を滑り落ちて海岸に一気に流れ出します。地形が谷状に集まる場所では風が収束し、ほぼ毎日、暴風になります。日本の「おろし」(六甲おろし・赤城おろし)を、桁違いに強くしたものと考えてください。
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世界一風が強い都市・首都ランキング
人が暮らす都市としては、南緯41度の偏西風帯(吠える40度)に位置し、クック海峡が風を絞り込むニュージーランドの首都ウェリントンが「世界一風の強い首都」として有名です。当サイトの193か国の首都データでは、貿易風が一年中吹き続ける太平洋の島国の首都と並んで上位に入ります。
| 順位 | 国 | 首都 | 年平均風速 |
|---|---|---|---|
| 1 | マーシャル諸島 | Majuro | 6.8m/s |
| 2 | ニュージーランド | Wellington | 6.6m/s |
| 3 | トンガ | Nukualofa | 5.9m/s |
| 4 | モーリシャス | Port Louis | 5.7m/s |
| 5 | キリバス | Tarawa | 5.6m/s |
| 6 | ツバル | Funafuti | 5.4m/s |
| 7 | アンティグア・バーブーダ | St. Johns | 5.3m/s |
| 8 | モーリタニア | Nouakchott | 5.2m/s |
| 9 | ソマリア | Mogadishu | 5.2m/s |
| 10 | デンマーク | Copenhagen | 5.2m/s |
1位のマーシャル諸島(Majuro)やトンガ・モーリシャス・キリバス・ツバルは赤道近くの島国で、一年中同じ方向から貿易風が吹き続けます。ウェリントン(6.6m/s)は偏西風と地形、デンマークのコペンハーゲン(5.2m/s)は北海の低気圧が理由です。逆に最も風が弱いのはブータン(Thimphu、1m/s)・タジキスタン(Dushanbe、1.1m/s)・ネパール(Kathmandu、1.2m/s)で、山に囲まれた盆地の都市です。東京は4.2m/sで32位です。
日本で風が強い場所は?
日本の平均風速ランキングで県庁所在地を比べると、那覇(沖縄県)5.3m/s、秋田(秋田県)4.3m/s、金沢(石川県)4m/sが上位で、東京は2.9m/sです(気象庁の観測値。世界ランキングの4.2m/sは再解析データのため値が異なります)。観測地点別では、日本海側の岬や離島、山頂(富士山の年平均風速は約11m/s)が風の強い場所です。瞬間風速では台風の通り道である沖縄・九州南部・四国南岸に記録が集中し、歴代最大瞬間風速ランキングの上位はほぼ台風によるものです。
風速の目安——世界一の風はどれくらい強い?
| 風速 | 時速 | 目安 |
|---|---|---|
| 10m/s | 36km/h | 傘がさせない。木の枝が揺れる |
| 20m/s | 72km/h | 転倒する人が出る。看板が飛ぶ |
| 30m/s | 108km/h | 立っていられない。屋根瓦が飛ぶ(暴風警報級) |
| 40m/s | 144km/h | 走行中のトラックが横転。住宅が倒壊することも |
| 60m/s | 216km/h | 鉄骨構造物が変形。猛烈な台風の中心付近 |
| 91.0m/s | 328km/h | 富士山の日本記録 |
| 113.3m/s | 408km/h | バロー島の世界記録 |
風の力(風圧)は風速の2乗に比例します。世界記録の113m/sは、暴風警報が出る30m/sの約14倍の力です。
193か国ランキングで見る「風」|バロー島のオーストラリアと日本
最大瞬間風速の世界記録を持つオーストラリアですが、首都キャンベラは内陸のため風は穏やかです。首都の平均風速と関連指標で確認します。
平均風速の強さ(首都):オーストラリアは111位
| 順位 | 国 | 平均風速 | 偏差値 |
|---|---|---|---|
| 1位 | マーシャル諸島 | 6.8m/s | 82.3 |
| 2位 | ニュージーランド | 6.6m/s | 80.5 |
| 3位 | トンガ | 5.9m/s | 74.4 |
| 4位 | モーリシャス | 5.7m/s | 72.7 |
| 5位 | キリバス | 5.6m/s | 71.8 |
| 6位 | ツバル | 5.4m/s | 70.1 |
| 7位 | アンティグア・バーブーダ | 5.3m/s | 69.2 |
| 8位 | モーリタニア | 5.2m/s | 68.3 |
| 9位 | ソマリア | 5.2m/s | 68.3 |
| 10位 | デンマーク | 5.2m/s | 68.3 |
| 111位 | オーストラリア | 2.7m/s | 46.6 |
| 32位 | 日本 | 4.2m/s | 59.6 |
オーストラリアは111位(2.7m/s、偏差値46.6)。日本は32位(4.2m/s)。1位はマーシャル諸島(6.8m/s)、最下位はブータン(1.0m/s)、193か国の平均は3.1m/sです。貿易風が吹き続ける太平洋の島国と、偏西風帯のウェリントンが上位。日本(東京)は32位です。詳しくは世界の風が強い国ランキングいちばん風が強い国はどこ?年平均風速をご覧ください。
平均風速の弱さ(首都):オーストラリアは87位
| 順位 | 国 | 平均風速 | 偏差値 |
|---|---|---|---|
| 1位 | ブータン | 1.0m/s | 31.8 |
| 2位 | タジキスタン | 1.1m/s | 32.6 |
| 3位 | ネパール | 1.2m/s | 33.5 |
| 4位 | リヒテンシュタイン | 1.3m/s | 34.4 |
| 5位 | サントメ・プリンシペ | 1.4m/s | 35.3 |
| 6位 | アンドラ | 1.4m/s | 35.3 |
| 7位 | コンゴ共和国 | 1.5m/s | 36.1 |
| 8位 | コンゴ民主共和国 | 1.5m/s | 36.1 |
| 9位 | マレーシア | 1.5m/s | 36.1 |
| 10位 | ボスニア・ヘルツェゴビナ | 1.5m/s | 36.1 |
| 87位 | オーストラリア | 2.7m/s | 46.6 |
| 158位 | 日本 | 4.2m/s | 59.6 |
オーストラリアは87位(2.7m/s、偏差値46.6)。日本は158位(4.2m/s)。1位はブータン(1.0m/s)、最下位はマーシャル諸島(6.8m/s)、193か国の平均は3.1m/sです。山に囲まれた盆地の首都(ブータン・ネパール・タジキスタン)が最も風の弱い国です。詳しくは平均風速の世界ランキングをご覧ください。
1月の平均風速(北半球の冬):オーストラリアは123位
| 順位 | 国 | 平均風速(1月) | 偏差値 |
|---|---|---|---|
| 1位 | マーシャル諸島 | 8.3m/s | 86.7 |
| 2位 | デンマーク | 6.5m/s | 73.6 |
| 3位 | キリバス | 6.4m/s | 72.9 |
| 4位 | ソマリア | 6.3m/s | 72.2 |
| 5位 | マルタ | 6.0m/s | 70.0 |
| 6位 | ニュージーランド | 5.9m/s | 69.3 |
| 7位 | フィンランド | 5.6m/s | 67.1 |
| 8位 | アンティグア・バーブーダ | 5.6m/s | 67.1 |
| 9位 | グレナダ | 5.6m/s | 67.1 |
| 10位 | モルディブ | 5.5m/s | 66.3 |
| 123位 | オーストラリア | 2.6m/s | 45.3 |
| 47位 | 日本 | 4.4m/s | 58.3 |
オーストラリアは123位(2.6m/s、偏差値45.3)。日本は47位(4.4m/s)。1位はマーシャル諸島(8.3m/s)、最下位はタジキスタン(1.0m/s)、193か国の平均は3.3m/sです。詳しくは平均風速の世界ランキングをご覧ください。
7月の平均風速(南半球の冬):オーストラリアは111位
| 順位 | 国 | 平均風速(7月) | 偏差値 |
|---|---|---|---|
| 1位 | ツバル | 6.9m/s | 79.9 |
| 2位 | ソマリア | 6.6m/s | 77.5 |
| 3位 | マーシャル諸島 | 6.5m/s | 76.7 |
| 4位 | トンガ | 6.5m/s | 76.7 |
| 5位 | アンティグア・バーブーダ | 6.4m/s | 75.9 |
| 6位 | ニュージーランド | 6.3m/s | 75.1 |
| 7位 | モーリシャス | 6.2m/s | 74.3 |
| 8位 | セントクリストファー・ネービス | 6.2m/s | 74.3 |
| 9位 | クウェート | 5.9m/s | 71.9 |
| 10位 | スーダン | 5.8m/s | 71.1 |
| 111位 | オーストラリア | 2.8m/s | 47.1 |
| 46位 | 日本 | 3.8m/s | 55.1 |
オーストラリアは111位(2.8m/s、偏差値47.1)。日本は46位(3.8m/s)。1位はツバル(6.9m/s)、最下位はブータン(0.9m/s)、193か国の平均は3.2m/sです。南半球の冬は偏西風が強まり、ニュージーランドや南米南部の順位が上がります。詳しくは平均風速の世界ランキングをご覧ください。
オーストラリア(キャンベラ)と東京の月別風速比較
キャンベラと東京の月別平均風速と193か国中の順位です。東京は春(3〜4月)に風が強まり、キャンベラは南半球の春(9〜11月)にやや強まります。
| 月 | オーストラリアの平均風速 | 順位 | 日本(東京) |
|---|---|---|---|
| 1月 | 2.6m/s | 123位 | 4.4m/s(47位) |
| 2月 | 2.7m/s | 119位 | 4.9m/s(37位) |
| 3月 | 2.7m/s | 121位 | 4.8m/s(27位) |
| 4月 | 2.3m/s | 147位 | 4.7m/s(20位) |
| 5月 | 2.5m/s | 129位 | 4.7m/s(25位) |
| 6月 | 2.8m/s | 106位 | 3.9m/s(38位) |
| 7月 | 2.8m/s | 111位 | 3.8m/s(46位) |
| 8月 | 2.7m/s | 113位 | 4.4m/s(24位) |
| 9月 | 3.0m/s | 92位 | 4.0m/s(32位) |
| 10月 | 3.1m/s | 76位 | 4.1m/s(30位) |
| 11月 | 2.8m/s | 89位 | 3.5m/s(51位) |
| 12月 | 2.8m/s | 94位 | 3.1m/s(75位) |
首都同士の比較では両国とも中位ですが、バロー島(サイクロン)や富士山・宮古島(台風)のような「瞬間の風」は、平均風速とは別次元の現象です。
よくある質問
Q. なぜバロー島の記録は疑われた?
自動観測で、当時のサイクロンの規模から見て突出した値だったためです。2010年にWMOの専門委員会が観測機器と周辺データを検証し、正式に世界記録と認定しました。
Q. 日本で最も風が強い場所は?
平均風速ではえりも岬(8.1m/s)や富士山、瞬間風速の記録では富士山91.0m/s、宮古島85.3m/s、室戸岬84.5m/sです。日本一風が強い場所はどこ?で解説しています。
Q. 竜巻の風速は?
アメリカの竜巻でドップラーレーダーが推定した約135m/sが最速とされますが、地上の風速計は壊れるため実測値は残っていません。日本の竜巻は最大でもF3(70〜92m/s)級です。
Q. 風が強い国は風力発電に向いている?
デンマークやイギリスのように偏西風が安定して吹く国は風力発電の適地です。日本は台風の突風と風の変動が大きく、洋上風力では設計上の課題になっています。
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- 最大瞬間風速の世界一はオーストラリア・バロー島の113.3m/s(1996年、サイクロン)。人が観測した記録ではワシントン山103.3m/s。
- 平均風速の世界一は南極コモンウェルス湾(年平均約19m/s)。氷床から吹き下りるカタバ風が理由。
- 風が強い首都はマーシャル諸島(Majuro)・ウェリントンなど、貿易風帯の島国と偏西風帯の海峡都市。東京は32位。
- 日本記録は富士山91.0m/s、宮古島85.3m/s、室戸岬84.5m/sで、いずれも台風。
出典:WMO世界気象極値アーカイブ、オーストラリア気象局、Mount Washington Observatory、オーストラリア南極局、気象庁 歴代全国ランキング・平年値、当サイトの世界193か国風速データ(首都の年平均風速は再解析データに基づく値)。
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