日本一風が強い場所はどこ?えりも岬(平均8.1m/s)・富士山91.0m/s・宮古島85.3m/sを平均風速と瞬間風速で比較【気象予報士が解説】

日本地図上に平均風速を色で示した点と風の流線、風速の棒グラフを重ねたイメージ 気象

「日本一風が強い場所はどこ?」——この質問にも3つの答えがあります。1年を通した平均風速なら北海道のえりも岬、観測史上の最大瞬間風速なら富士山(91.0m/s)、人が住む場所の瞬間風速なら宮古島(85.3m/s)。同じ「風が強い」でも、毎日吹く風と台風の一撃では場所が変わります。

この記事では、気象庁の全国872地点の平均風速(平年値)と、最大風速・最大瞬間風速の観測記録から、「日本一風が強い場所」を3つの基準で整理し、なぜそこが強いのかを気象予報士が解説します。

のぶやん
のぶやん

私は気象庁で働いていた気象予報士です。えりも岬の年平均風速8.1m/sは、東京(2.9m/s)の3倍近く。東京で「今日は風が強いな」と感じる日が、えりも岬の平均です。

① 平均風速の日本一:えりも岬(北海道)年平均8.1m/s

順位観測地点(都道府県)年平均風速最も強い月
1位えりも岬(北海道)8.1m/s12月 10.8m/s
2位宗谷岬(北海道)7.6m/s12月 9.3m/s
3位下地島(沖縄県)6.9m/s12月 8.5m/s
4位室戸岬(高知県)6.8m/s3月 7.4m/s
5位与那国島(沖縄県)6.7m/s12月 8.2m/s
6位本泊(北海道)6.4m/s5月 7m/s
7位奥尻(北海道)6.4m/s12月 8.9m/s
8位北原(沖縄県)6.2m/s12月 6.8m/s
9位三宅坪田(東京都)6.1m/s3月 6.9m/s
10位声問(北海道)6m/s12月 7.5m/s
11位米岡(北海道)6m/s12月 8.3m/s
12位神津島(東京都)5.8m/s12月 7.7m/s
年平均風速の平年値が大きい観測地点トップ12(気象庁、全国872地点)

1位えりも岬8.1m/s、2位宗谷岬7.6m/s、3位下地島(宮古島)6.9m/s、4位室戸岬6.8m/s、5位与那国島6.7m/s。上位は「岬」と「離島」で占められます。海上をさえぎるものなく吹いてきた風が、陸の突端でそのまま観測されるためです。

えりも岬は12月10.8m/s・1月9.9m/sと、冬は常に「強風注意報」級の風が吹いています。日高山脈が太平洋に落ち込む先端で、冬の北西季節風が山脈を回り込んで集まる地形です。岬の看板「風速10m以上の日が年260日以上」は伊達ではありません。全872地点の順位と月別は平均風速ランキングで検索できます。

【ツール】指標と月を切り替えて全国順位を確認

下のツールでは、気温・雨・雪・晴れ・湿度・風・雷・台風・地震などの指標を年間・月別に切り替えて、47都道府県の順位と偏差値を確認できます(北海道を黄色で強調表示)。並び順を変えると「少ない県」「低い県」のランキングになります。

② 最大瞬間風速の日本一:富士山91.0m/s、人が住む場所では宮古島85.3m/s

歴代最大瞬間風速ランキング トップ10(観測史上1位の値)
順位地点(都道府県・市町村)記録風向観測日偏差値
1位富士山(静岡県)91.0m/s南南西1966年9月25日101.4
2位宮古島(沖縄県・宮古島市)85.3m/s北東1966年9月5日96.1
3位室戸岬(高知県・室戸市)84.5m/s西南西1961年9月16日95.4
4位与那国島(沖縄県・与那国町)81.1m/s南東2015年9月28日92.3
5位名瀬(鹿児島県・奄美市)78.9m/s東南東1970年8月13日90.3
6位那覇(沖縄県・那覇市)73.6m/s1956年9月8日85.4
7位宇和島(愛媛県・宇和島市)72.3m/s西1964年9月25日84.2
8位石垣島(沖縄県・石垣市)71.0m/s南南西2015年8月23日83.0
9位西表島(沖縄県・竹富町)69.9m/s北東2006年9月16日82.0
10位剣山(徳島県)69.0m/s南南東1970年8月21日81.1

観測史上の最大瞬間風速は富士山の91.0m/s(1966年9月25日、台風26号)。山頂の観測所は1932年から2004年まで有人で、遮るもののない3,776mの風を測り続けました。人が住む場所では宮古島の85.3m/s(1966年9月5日、第2宮古島台風)が日本一で、室戸岬84.5m/s(1961年、第2室戸台風)、与那国島81.1m/s(2015年)が続きます。

風速85m/sは時速300km超。新幹線の窓から顔を出す風です。この台風で宮古島の家屋の約7割が損壊し、以後の沖縄のコンクリート住宅化を決定づけました。記録の上位が9月に集中しているのは、強い台風が衰えずに来る時期だからです(台風はなぜ9月に多い?月別の発生数・接近数・上陸数と「8月の台風」「9月の台風」の違いを気象予報士が解説)。

10分間平均の「最大風速」ならこの順位

順位観測地点最大風速観測日
1位富士山(静岡県)72.5m/s1942年4月5日
2位室戸岬(高知県)69.8m/s1965年9月10日(台風23号)
3位宮古島(沖縄県)60.8m/s1966年9月5日(第2宮古島台風)
4位雲仙岳(長崎県)60.0m/s1942年8月27日
5位伊吹山(滋賀県)56.7m/s1961年9月16日(第2室戸台風)
6位剣山(徳島県)55.0m/s2001年1月7日
7位与那国島(沖縄県)54.6m/s2015年9月28日
8位石垣島(沖縄県)53.0m/s1977年7月31日
10分間平均風速の歴代記録(全地点の記録はこちら

③ 都道府県別:風が強い県は沖縄、弱い県は山形

順位都道府県(観測地点)年平均風速
1位沖縄県(那覇)5.3m/s
2位秋田県(秋田)4.3m/s
3位石川県(金沢)4m/s
4位千葉県(千葉)3.9m/s
5位和歌山県(和歌山)3.8m/s
6位青森県(青森)3.7m/s
7位北海道(札幌)3.6m/s
8位三重県(津)3.6m/s
9位兵庫県(神戸)3.6m/s
10位広島県(広島)3.6m/s
都道府県別の年平均風速トップ10(県庁所在地)

県庁所在地で比べると那覇の5.3m/sが飛び抜けて1位。2位秋田4.3m/s、3位金沢4.0m/s、4位千葉3.9m/s。逆に最も風が弱いのは山形1.7m/s、高知1.8m/s、京都1.9m/sで、いずれも山に囲まれた盆地です。那覇と山形の差は3倍以上あります。

沖縄が強いのは「周りが全部海で、貿易風と季節風が年中吹く」ため。月別に見ても那覇は4.8〜5.5m/sで一定で、季節による差がほとんどありません。

47都道府県 平均風速ランキング(全順位)

順位都道府県観測地点年平均風速1月8月
1位沖縄県那覇5.3m/s5.3m/s5.2m/s
2位秋田県秋田4.3m/s5.1m/s3.6m/s
3位石川県金沢4m/s4.7m/s3.4m/s
4位千葉県千葉3.9m/s3.7m/s4.2m/s
5位和歌山県和歌山3.8m/s4.2m/s3.7m/s
6位青森県青森3.7m/s4.1m/s3.1m/s
7位北海道札幌3.6m/s3.3m/s3.5m/s
8位三重県3.6m/s3.8m/s3.5m/s
9位兵庫県神戸3.6m/s3.9m/s3.6m/s
10位広島県広島3.6m/s3.5m/s3.4m/s
11位神奈川県横浜3.5m/s3.6m/s3.4m/s
12位新潟県新潟3.3m/s3.9m/s2.7m/s
13位島根県松江3.3m/s3.8m/s3.1m/s
14位鹿児島県鹿児島3.3m/s3.5m/s3.3m/s
15位宮城県仙台3.2m/s3.6m/s2.6m/s
16位宮崎県宮崎3.2m/s3.6m/s3.3m/s
17位徳島県徳島3.1m/s3.4m/s3.1m/s
18位佐賀県佐賀3.1m/s3m/s3.3m/s
19位愛知県名古屋3m/s3.1m/s2.9m/s
20位滋賀県彦根3m/s3.7m/s2.5m/s
21位鳥取県鳥取3m/s3.2m/s2.8m/s
22位岡山県岡山3m/s3.5m/s3m/s
23位福岡県福岡3m/s3.2m/s3m/s
24位岩手県盛岡2.9m/s2.7m/s2.8m/s
25位栃木県宇都宮2.9m/s2.9m/s2.8m/s
26位東京都東京2.9m/s2.7m/s2.9m/s
27位富山県富山2.9m/s2.9m/s2.7m/s
28位福井県福井2.8m/s2.6m/s2.8m/s
29位岐阜県岐阜2.6m/s2.5m/s2.6m/s
30位大分県大分2.6m/s2.9m/s2.5m/s
31位埼玉県熊谷2.5m/s2.9m/s2.1m/s
32位長野県長野2.5m/s2m/s2.5m/s
33位香川県高松2.5m/s2.9m/s2.5m/s
34位福島県福島2.4m/s2.5m/s2.1m/s
35位群馬県前橋2.4m/s2.8m/s2.1m/s
36位大阪府大阪2.4m/s2.4m/s2.7m/s
37位茨城県水戸2.3m/s2.1m/s2.3m/s
38位長崎県長崎2.3m/s2.3m/s2.2m/s
39位山梨県甲府2.2m/s2.3m/s2.2m/s
40位静岡県静岡2.2m/s2.2m/s2.2m/s
41位奈良県奈良2.2m/s2.2m/s2.5m/s
42位愛媛県松山2.2m/s2.3m/s2.3m/s
43位熊本県熊本2.1m/s1.8m/s2.5m/s
44位山口県山口1.9m/s1.8m/s1.9m/s
45位京都府京都1.9m/s1.7m/s2.1m/s
46位高知県高知1.8m/s1.8m/s1.9m/s
47位山形県山形1.7m/s1.6m/s1.7m/s
47都道府県の平均風速(県庁所在地の平年値)

風が強い場所の共通点と暮らし

  • 岬・離島・山頂:海や上空の風がそのまま届く。えりも岬・宗谷岬・室戸岬・富士山
  • 海峡・山の切れ目:風が集まって加速する。関門海峡、伊吹おろし、六甲おろし
  • 盆地は弱い:山形・高知・京都・甲府は風が弱く、その分夏は暑く冬は冷え込む(日本一暑い街はどこ?日本一寒い街はどこ?
  • 風力発電:えりも・宗谷・下地島など年平均6m/s以上の地点は発電の適地。北海道・秋田・青森に風車が多いのはこのため

「風速5mで傘はさせる?」「風速10mで子どもと外出できる?」といった体感の目安は当サイトの風速解説記事で、風向きから台風の位置を読む方法は台風で休校になる基準とあわせてご覧ください。

都道府県で見る「風の強さ」ランキング|えりも岬のある北海道は何位?

観測地点の記録に加え、県庁所在地の平年値で風の強さを比べます。岬や山頂の値とは大きく違う点に注意してください。

年平均風速の強さ:北海は7位

順位都道府県平均風速偏差値
1位沖縄県5.3m/s83.3
2位秋田県4.3m/s69.3
3位石川県4.0m/s65.1
4位千葉県3.9m/s63.7
5位和歌山県3.8m/s62.3
6位青森県3.7m/s60.9
7位北海道3.6m/s59.5
8位三重県3.6m/s59.5
9位兵庫県3.6m/s59.5
10位広島県3.6m/s59.5
年平均風速の強さランキング(平年値)

北海道は7位(3.6m/s、偏差値59.5)。1位は沖縄県(5.3m/s)、47位は山形県(1.7m/s)、全国平均は2.9m/sです。比較:沖縄1位・秋田2位・石川3位・東京26位。詳しくは平均風速ランキングをご覧ください。

1月の平均風速(冬の季節風):北海は19位

順位都道府県平均風速(1月)偏差値
1位沖縄県5.3m/s76.0
2位秋田県5.1m/s73.7
3位石川県4.7m/s69.1
4位和歌山県4.2m/s63.3
5位青森県4.1m/s62.1
6位新潟県3.9m/s59.8
7位兵庫県3.9m/s59.8
8位三重県3.8m/s58.7
9位島根県3.8m/s58.7
10位千葉県3.7m/s57.5
19位北海道3.3m/s52.9
1月の平均風速(冬の季節風)ランキング(平年値)

北海道は19位(3.3m/s、偏差値52.9)。1位は沖縄県(5.3m/s)、47位は山形県(1.6m/s)、全国平均は3.1m/sです。比較:沖縄1位・秋田2位・石川3位・東京31位。冬は日本海側と北日本が上位に入り、季節風の通り道がはっきりします。詳しくは平均風速ランキングをご覧ください。

4月の平均風速(春の嵐):北海は4位

順位都道府県平均風速(4月)偏差値
1位沖縄県5.1m/s77.4
2位秋田県4.6m/s70.3
3位千葉県4.5m/s68.9
4位北海道4.2m/s64.6
5位青森県4.2m/s64.6
6位石川県4.1m/s63.2
7位神奈川県3.9m/s60.4
8位和歌山県3.9m/s60.4
9位広島県3.7m/s57.5
10位宮城県3.6m/s56.1
4月の平均風速(春の嵐)ランキング(平年値)

北海道は4位(4.2m/s、偏差値64.6)。1位は沖縄県(5.1m/s)、47位は高知県(1.9m/s)、全国平均は3.2m/sです。比較:沖縄1位・秋田2位・石川6位・東京24位。春は低気圧が急発達しやすく、北海道・東北が上位です。詳しくは平均風速の詳しいランキングをご覧ください。

台風の接近数の多さ:北海は47位

順位都道府県台風の接近数偏差値
1位沖縄県7.7回107.3
2位宮崎県3.9回57.4
3位鹿児島県3.9回57.4
4位山口県3.8回56.1
5位福岡県3.8回56.1
6位佐賀県3.8回56.1
7位長崎県3.8回56.1
8位熊本県3.8回56.1
9位大分県3.8回56.1
10位岐阜県3.5回52.1
47位北海道1.9回31.1
台風の接近数の多さランキング(年平均接近数)

北海道は47位(1.9回、偏差値31.1)。1位は沖縄県(7.7回)、47位は北海道(1.9回)、全国平均は3.3回です。比較:沖縄1位・秋田44位・石川39位・東京25位。詳しくは台風の接近数ランキングあなたの市町村には年何個来る?気象庁データをご覧ください。

北海道(札幌)の月別の風速と全国順位

札幌の月別平均風速と全国順位です。えりも岬のような岬とは違い、平地の札幌は春に順位が上がります。

北海の平均風速順位1位
1月3.3m/s19位沖縄(5.3m/s)
2月3.4m/s16位沖縄(5.2m/s)
3月3.8m/s8位沖縄(5.2m/s)
4月4.2m/s4位沖縄(5.1m/s)
5月4.2m/s3位沖縄(4.8m/s)
6月3.7m/s3位沖縄(5.5m/s)
7月3.6m/s4位沖縄(5.3m/s)
8月3.5m/s6位沖縄(5.2m/s)
9月3.2m/s11位沖縄(5.3m/s)
10月3.4m/s8位沖縄(5.5m/s)
11月3.4m/s8位沖縄(5.3m/s)
12月3.2m/s17位沖縄(5.3m/s)
北海道の月別値と全国順位

札幌の風速は4〜7月に全国3〜4位、冬は10位台後半。春の低気圧の通過と、初夏の海風が効いています。えりも岬の年平均8.1m/sは札幌の2倍以上で、岬・山頂と平地の差の大きさが分かります。

よくある質問

Q. 風が強いのは冬?春?

日本海側の岬は冬の季節風、北海道・東北の平地は春の低気圧、沖縄・九州南部は台風の時期が最も風の強い季節です。地域によって「風の季節」が違います。

Q. 最大瞬間風速の日本一は?

富士山の91.0m/s(1966年、台風第26号)です。平地・離島では宮古島85.3m/s、室戸岬84.5m/sが上位です。歴代最大瞬間風速ランキングで全国945地点の記録を確認できます。

Q. 世界一風が強い場所は?

最大瞬間風速ではオーストラリア・バロー島の113.3m/s、年平均では南極のコモンウェルス湾(約19m/s)です。世界一風が強い場所はどこ?で解説しています。

Q. 風が強い県に住むデメリットは?

洗濯物・自転車・農作物への影響、冬の体感温度の低下、風力発電の適地という利点もあります。台風地域では飛来物対策が必要です。

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まとめ
  • 平均風速の日本一はえりも岬(年8.1m/s、12月は10.8m/s)。2位宗谷岬、3位下地島、4位室戸岬、5位与那国島と岬・離島が独占
  • 最大瞬間風速の日本一は富士山91.0m/s、人が住む場所では宮古島85.3m/s(1966年)
  • 10分間の最大風速では富士山72.5m/s、室戸岬69.8m/s
  • 都道府県では那覇5.3m/sが1位、山形1.7m/sが最下位。盆地は風が弱い
  • 風の強い場所の共通点は「海と上空の風がそのまま届く」地形

出典:気象庁の平年値(1991〜2020年)および観測データ、気象庁「観測史上1〜10位の値」。偏差値は47都道府県の平均を50とした値です。都道府県の値は原則として県庁所在地の気象官署の平年値を用いています。

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