朝、水たまりに氷が張る「冬日」。日中も氷点下のままの「真冬日」。この冬の寒さの日数、都道府県で比べると1位は当然北海道……と思いきや、冬日では岩手県が0.2日差まで肉薄しているのをご存じですか?
この記事では、気象庁の公的データをもとに、冬日・真冬日が多い都道府県・市町村ランキングを作成しました。姉妹記事の猛暑日・酷暑日ランキングと同じく、平年値(月別に切替可)に加えて70年代〜20年代の年代別でも独自集計。温暖化で「冬の寒さ」がどれだけ減ったかまで見える構成です。

僕の簡単なプロフィールです。
- 気象予報士
- 家族だんらんが好き
このランキングの作り方(定義とデータ)
- 冬日……日最低気温が0℃未満の日。朝晩に氷点下まで下がった日。
- 真冬日……日最高気温が0℃未満の日。1日中氷点下だった日。
- 平年値:気象庁の平年値(1991〜2020年)。年間と各月に切り替えられます。
- 年代別:気象庁「年ごとの値」から、70年代(1970〜79年)〜20年代(2020〜25年)の年平均日数を独自集計。
- 対象:気温を観測している全国の気象台・アメダス1295地点すべて。偏差値は表示中の全地点平均から算出。
【都道府県】冬日・真冬日ランキング(平年値・月別・年代別)
まずは都道府県別(各県の気象台の値)。指標と期間をボタンで切り替えられます。
※冬日・年間平年値の上位10県の簡易表示です(公開ページでは指標・期間を切り替えて47都道府県すべてが表示されます)
冬日:北海道121.8日 vs 岩手121.6日——まさかの0.2日差
冬日の1位は北海道(札幌)の121.8日。ところが2位の岩手県(盛岡)は121.6日と、その差はわずか0.2日しかありません。盛岡は北上盆地の底にあり、晴れた冬の朝は放射冷却で強烈に冷え込みます。「朝の寒さ」で測る冬日では、緯度で勝る札幌と、地形で稼ぐ盛岡がほぼ互角なのです。3位も内陸盆地の長野県102.6日で、青森102.5日と0.1日差。冬日ランキングは緯度より「内陸かどうか」が効くことがよくわかります。
真冬日:北海道43.6日の独走。「日中も氷点下」は北の特権
一方、真冬日になると北海道43.6日が2位の青森18.7日を2倍以上引き離して独走。盛岡は12.4日で3位に後退します。朝は放射冷却で冷えても、日中に0℃を超えるかどうかは緯度と雪雲次第。「冬日は内陸の指標、真冬日は北国の指標」という対照的な構図です。最下位は沖縄県の0日——那覇では観測史上、冬日も真冬日も一度もありません。鹿児島1.7日、山口1.8日と、西日本の海沿いでは冬日すら貴重品です。
【市町村(地点)別】冬日・真冬日ランキング 全1295地点
続いて地点別。気温を観測する全国1295地点をすべてランキングにしました。都道府県での絞り込みと地点名・市町村名の検索もできます。
※冬日・年間平年値の上位15地点の簡易表示です(公開ページでは指標・期間切替、都道府県絞り込み・検索付きで全1295地点が表示されます)
冬日1位は富士山の273日。平地の日本一は「ぬかびら源泉郷」
地点別の冬日1位は別格の富士山(山頂)273.1日。1年の4分の3が冬日です。
平地に限れば、1位はぬかびら源泉郷(北海道上士幌町)の196.0日。
川湯・阿寒湖畔の192.0日、朱鞠内190.6日、そして「日本一寒い町」で知られる陸別188.5日と、道東・道北の内陸勢が上位を占めます。年間の半分以上が氷点下の朝——これが北海道内陸の冬です。
真冬日は白滝・酸ケ湯がほぼ100日。本州勢も健闘
真冬日の地点別では、富士山209.1日に続いて白滝(北海道)99.1日、酸ケ湯(青森県)98.6日が3ヶ月分に迫ります。
本州の高標高地点も強く、鷲倉(福島県・標高1220m)88.7日は北海道の並み居る強豪に混じってトップ10入りです。
本州の「冬日王国」は薮川・六厩・開田高原
本州に絞ると、冬日は薮川(岩手県盛岡市)183.3日が最多。
「本州一寒い地点」の看板は伊達ではありません。六厩(岐阜県高山市)174.6日、開田高原(長野県木曽町)170.4日、菅平(長野県上田市)170.2日、軽井沢151.3日と、標高1000m前後の高原地帯が続きます。
避暑地として有名な場所は、そのまま「冬日の名所」でもあるのです。
年代別に見ると——冬の寒さは着実に減っている
70年代から通して比較できる745地点の平均では、冬日は80年代の92.6日をピークに20年代は77.9日へと約16%減少。
真冬日はさらに顕著で、80年代23.0日から20年代15.0日へと約35%も減りました。猛暑日ランキングでは記録の57%が2020年代に集中していましたが、冬はその裏返し。温暖化は「夏の暑さが増える」だけでなく「冬の寒さが消える」形でも進んでいます。
個別の地点では注意も必要です。たとえば東京の冬日は70年代18.2日→00年代2.4日と激減した後、10年代以降は8日前後に増えています。これは2014年に観測地点が大手町から緑の多い北の丸公園へ移転した影響で、寒さが戻ったわけではありません。年代比較には、こうした観測環境の変化も混ざっている点はお含みおきください。
使用データと出典
- 気象庁「過去の気象データ検索」の平年値(1991〜2020年):冬日・真冬日の年間・月別日数(2026年7月時点の掲載値)
- 同「年ごとの値」:1970〜2025年の各年の冬日・真冬日日数から年代別平均を独自集計
- 冬日・真冬日の定義は気象庁の「気象観測統計の解説」に基づきます。偏差値は表示期間の全地点値から平均・標準偏差を計算(平均50・1標準偏差=10)。
まとめ
- 冬日の都道府県1位は北海道121.8日、2位岩手121.6日はわずか0.2日差。冬日は「内陸の指標」。
- 真冬日は北海道43.6日の独走。2位青森の2倍以上で、「北国の指標」。沖縄は冬日・真冬日ともゼロ。
- 地点別の冬日1位は富士山273日、平地ではぬかびら源泉郷196日。本州一は薮川(盛岡市)183日。
- 真冬日は白滝99日・酸ケ湯99日がツートップ。
- 年代別では冬日が約16%減、真冬日は約35%減(80年代→20年代・745地点平均)。猛暑日の急増と対をなす温暖化の姿。
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