熊本県の気候データ|10指標の全国順位・偏差値と月別データ(気象・台風・地震)

気象データベース47都道府県データ熊本県

熊本県の気候データ

夏は33℃超、冬の冷え込みは九州一、梅雨は月449mm。阿蘇と盆地がつくる、九州でいちばんメリハリの強い内陸型気候の県です。10の指標について、全国順位・偏差値・月別データをまとめました。

気象庁 平年値 1991〜2020年 熊本地方気象台 監修:気象予報士 最終更新 2026年8月1日

この県の要点

すごしやすい月

4月・5月・10月

10月は晴れ58%で年間1位の行楽月

すごしにくい月

6月〜8月

梅雨2ヶ月の大雨836mmと、猛暑日25.8日

強み

日照は九州2位

年1,996時間。梅雨をのぞけば、よく晴れる内陸の空

注意

梅雨の大雨/夏の猛暑/冬の冷え込み

足元に布田川・日奈久断層帯と阿蘇山

気温

17.2

全国 7位

降水量

2,007mm

全国 9位

降雪量

1cm

全国 36位

日照時間

1,996時間

全国 20位

晴れの出現率

45.4%

全国 23位

湿度

70%

全国 17位

01月別データ ── いつ行くのがよいか

まずは結論から。12ヶ月を1枚にまとめました。旅行や引っ越しの時期選びなら、これだけで判断できます。

1月△ 寒く朝は氷点下も

10.7 / 1.6

冬日は月10日前後。冷え込みは九州でいちばん強い

2月△ 寒暖差が大

12.4 / 2.6

三寒四温。朝の氷点下はまだ続く

3月○ 良好

16.1 / 5.9

春本番へ。日差しは月170時間に回復

4月◎ ベスト

21.4 / 10.6

昼は21℃超え。晴れ46%で外出に最適

5月◎ ベスト

26.0 / 15.6

快適。ただし紫外線はもう真夏級

6月△ 梅雨・大雨

28.1 / 20.2

梅雨入り。月449mmは年間で最も雨が多い

7月✕ 大雨・猛暑

31.8 / 24.2

梅雨末期の大雨387mm。豪雨の警戒月

8月✕ 猛暑・熱帯夜

33.3 / 24.8

昼33℃超。一年で最も暑さが厳しい

9月△ 台風・残暑

30.1 / 21.2

台風接近のピーク。残暑も長い

10月◎ ベスト

25.0 / 14.9

晴れ58%は年間1位。行楽の最適月

11月○ 良好

18.8 / 8.8

穏やかな晩秋。阿蘇の紅葉と朝霧の季節

12月△ 冬の冷え込み

12.9 / 3.4

冷え込み本番へ。朝は氷点下の日も

気温は「最高 / 最低(℃)」の平年値。左の色は過ごしやすさ(緑=ベスト/橙=注意/赤=厳しい)。

0210指標のかたち

「暑いのか寒いのか」「雨が多いのか少ないのか」は、単体の数字を見てもピンときません。全国47都道府県の平均を偏差値50として、10指標を1枚のチャートにまとめました。外側に張り出しているほど「多い・強い・高い」、内側にへこんでいるほど「少ない・弱い・低い」です。気温・降水・日照・紫外線・地震が外に張り出し、風と降雪がへこんだ形をしています。

50=全国平均70 気温57降水量58降雪量39日照時間54晴れの出現率54湿度52紫外線59風速38台風56地震57

中央の太い十角形が偏差値50(=全国平均)、いちばん外の枠が偏差値70です。地震だけは値が一部の県に極端に偏るため、対数をとってから偏差値化しています。

正確な数値と順位、それぞれのランキングページへの入口は下の表にまとめました。「熊本県のことが知りたい」人はこのページで完結し、「他県と比べたい」人はランキングへ進めます。

熊本県の10指標。値・偏差値・全国順位・九州内順位。
指標偏差値 全国順位九州内順位 全国の中での位置ランキング
🌡️ 気温(年平均気温) 17.2℃ 57 7位/ 47位中 6位/ 8位中 平均気温ランキング →
🌧️ 降水量(年間降水量) 2,007mm 58 9位/ 47位中 4位/ 8位中 降水量ランキング →
⛄ 降雪量(年間降雪量(深さ合計)) 1cm 39 36位/ 47位中 5位/ 8位中 降雪量ランキング →
🌞 日照時間(年間日照時間) 1,996時間 54 20位/ 47位中 2位/ 8位中 日照時間ランキング →
🌤️ 晴れの出現率(晴れの日の割合(58年集計)) 45.4% 54 23位/ 47位中 3位/ 8位中 晴れの出現率ランキング →
💧 湿度(年平均湿度) 70% 52 17位/ 47位中 4位/ 8位中 湿度ランキング →
🧴 紫外線(UV指数の年平均(推定値)) 4.43 59 4位/ 47位中 4位/ 8位中 紫外線ランキング →
🍃 風速(年平均風速) 2.1m/s 38 43位/ 47位中 8位/ 8位中 平均風速ランキング →
🌀 台風(接近数(年平均)) 3.8個/年 56 4位/ 47位中 4位/ 8位中 台風の接近数ランキング →
🌏 地震(震度1以上の回数(年平均)) 74.5回/年 57 14位/ 47位中 2位/ 8位中 地震観測回数ランキング →
この数値を引用する・CSVで保存する
熊本県の年平均気温は17.2℃(7位)、年間降水量2,007mm(9位)、
年間日照時間1,996時間(20位)、晴れの出現率45.4%(23位)。
出典:気象予報士のぶやんの学習帳「熊本県の気候データ」
   気象庁 平年値(1991〜2020年)/熊本地方気象台/
   気象庁 震度データベース/防災科研 J-SHIS 2024年版/
   当サイト58年独自集計(天気出現率)
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   2026年7月 取得

0310の指標を、1つずつ読む

ここからは10の指標を1つずつ取り上げて、熊本県がなぜその数字になるのかを気象予報士の視点で解説します。数字そのものは上の表とチャートに出ていますので、ここでは「その数字を生んでいる仕組み」と「数字だけ見ていると誤解すること」を中心に書きます。

01

気温 ── 全国7位、九州でいちばん「大陸的」な寒暖の振れ幅

結論:熊本の気温は「夏は九州一暑く、冬は九州一冷える」。盆地がつくる大きな振れ幅。
17.2 偏差値 57 全国 7位 / 47位中 九州 6位 / 8位中 平均気温ランキング →

年平均気温17.2℃は全国7位、偏差値57。数字は福岡(17.3℃)とほぼ同じですが、中身はまるで違います。熊本の特徴は平均ではなく振れ幅——最高気温と最低気温の開きが、九州でいちばん大きい県です。

熊本の代表観測点(熊本市)は、有明海の奥、山々に囲まれた熊本平野にあります。海の影響が届きにくい内陸で、冬の晴れた朝は放射冷却が強く効き、1月の平均最低気温は1.6℃。冬日(最低0℃未満)は年25.2日と九州で最も多く、朝は氷点下・昼は2桁——一日の中でも大きく振れます。

夏は逆に、内陸ゆえ気温が上がり切ります。8月の平均最高気温は33.3℃で九州トップ級、猛暑日(最高35℃以上)は年25.8日・全国12位。いっぽう夜は放射で熱が逃げるぶん、熱帯夜は29.1日・全国13位と海辺の長崎(38.3日)よりは楽です。「昼も夜も暑い」のではなく「昼が突出して暑い」——それが盆地の夏です。

夏と冬の「極値」熊本県の値 全国順位くわしく
猛暑日(最高35℃以上)25.8日 / 年12位 / 47位中 猛暑日ランキング →
熱帯夜(最低25℃以上)29.1日 / 年13位 / 47位中 熱帯夜ランキング →
冬日(最低0℃未満)25.2日 / 年・真冬日は0日21位 / 47位中 冬日・真冬日ランキング →

この3行が、年平均17.2℃という数字の中身です。夏の極値も冬の極値も、両方とも九州上位——暑さと寒さが打ち消し合って、平均だけが「福岡並み」に見えています。夏は日中の熱中症対策、冬は朝の氷点下と路面凍結対策。季節と時間帯で備えを切り替えるのが、この県の正解です。

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02

降水量 ── 全国9位、6月449mmは全国屈指の梅雨の集中

結論:主役は6〜7月の836mm。2020年の球磨川氾濫も、この2ヶ月に起きた。
2,007mm 偏差値 58 全国 9位 / 47位中 九州 4位 / 8位中 降水量ランキング →

年間降水量2,007mmは全国9位、偏差値58。月別では6月449mm・7月387mm——この2ヶ月だけで836mm、年間の4割以上が梅雨に降ります。6月の449mmという月量は全国でも屈指で、冬の57〜84mmとの差はじつに8倍。年間合計より、この極端な集中こそが熊本の雨の形です。

そして熊本には、2020年7月の豪雨という新しい記憶があります。梅雨前線に沿って線状降水帯が発生し続け、球磨川が氾濫、人吉盆地を中心に甚大な被害が出ました。県内の雨量差も大きく、阿蘇乙姫では年3,010mmと熊本市(2,007mm)の1.5倍。山地で受け止めた雨は白川・緑川・球磨川となって平野へ流れ下ります。川と暮らす県である以上、梅雨の2ヶ月は「自分の頭の上の雨」だけでなく「上流の雨」まで見てください。

もうひとつ、雨の量では見えない指標が雷です。熊本県の年間雷日数は26.6日で全国8位。強い日射で午後に積乱雲が湧く内陸型の典型で、夏の夕立は熊本の風物詩でもあります。屋外作業や電子機器の避雷を考えるなら、降水量の順位ではなく雷日数を見てください。

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03

降雪量 ── 平野は年間1cm、けれど阿蘇は別世界

結論:熊本市の平年値は1cm。ただし阿蘇と山地の冬の道路は、冬タイヤの世界。
1cm 偏差値 39 全国 36位 / 47位中 九州 5位 / 8位中 降雪量ランキング →

年間降雪量は1cm、全国36位。九州8県では5番目で、熊本市の平野部に限れば「雪はめったに積もらない県」です。ただしこの県には、標高差というもうひとつの軸があります。

寒気が強まると、阿蘇と九州山地には平野とは別の冬が現れます。標高500mを超える阿蘇の高原では雪と路面凍結が毎年の前提で、冬の峠道は冬タイヤ・チェーンの世界です。熊本市の1cmという平年値を、県全体に当てはめないでください。

平野部でも油断は禁物です。数年に一度の強い寒波では熊本市でも積雪し、2016年1月の寒波では九州一円で水道管の凍結破裂が相次ぎました。冬日が九州最多の年25.2日ある県です——雪は少なくても、凍結への備えは「九州の常識」より一段上で構えてください。降雪量の順位が下位の県ほど、雪への耐性は低い——この逆説は、雪の指標を読むときに必ず頭に置いてください。

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04

日照時間 ── 全国20位・九州2位、内陸の空はよく晴れる

結論:年1,996時間は九州2位。冬も晴れて、谷は梅雨の1回だけ。
1,996時間 偏差値 54 全国 20位 / 47位中 九州 2位 / 8位中 日照時間ランキング →

年間日照時間1,996時間は全国20位、九州・沖縄8県では宮崎に次ぐ2位です。福岡(1,889時間)より年100時間以上長く、「くもりがちな九州北部」のイメージとは一線を画します。

理由は冬にあります。冬型の気圧配置のとき、対馬海峡で生まれた雲の多くは九州北部の山地で雨や雪を落とし、山を越えて熊本平野に届くころには乾いた晴天に変わります。1月の日照は133時間——福岡や長崎(ともに104時間)より3割近く長く、「冬に晴れる九州」の代表が熊本です。

いちばん長いのは8月の206時間、最も短いのは梅雨の6月131時間。熊本の日照の谷は梅雨の1回だけで、秋も10月187時間・晴れ58%と安定しています。ただし冬の晴れは放射冷却とセットで、朝の冷え込みとの引き換えでもあります。次の指標で、その晴れ方の中身を見ます。

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05

天気出現率 ── 月別の晴れ・曇り・雨・雪

結論:10月の晴れ58%が年間1位。くもりは27位——「どんより」しない内陸の空。
45% 偏差値 54 全国 23位 / 47位中 九州 3位 / 8位中 晴れの出現率ランキング →

日照時間は「太陽が何時間出ていたか」の合計であって、「晴れの日が何日あったか」ではありません。旅行の日程を決めるときに知りたいのは、たいてい後者のほうです。そこで、その月にどの天気が何割の日に出たかを帯グラフにしました。帯の幅がそのまま出現率(%)です。

年間452527
1月42321710
2月4324259
3月4622312
4月462331
5月432729
6月292745
7月402237
8月511930
9月482429
10月582319
11月532720
12月4730185

帯の幅がそのまま出現率(%)。 晴  くもり  雨 

この形にすると、熊本の空の性格が見えます。冬も晴れの帯が42〜43%あり、雪の帯は1月10%・2月9%とわずか。10月の晴れ58%は年間1位で、秋の行楽はここが本命です。

6月は雨の帯が45%まで膨らみ、一年で最も雨の日が多くなります。湿った空気が九州山地にぶつかる熊本は、日数でも量でも「梅雨の県」です。この帯グラフは気象庁の平年値(30年)ではなく、1968年から2025年までの58年分の観測を独自集計した値です。年間の晴れ率45%・全国23位という1つの数字だけでは、この性質は読み取れません。

4つの天気それぞれで全国順位を出すと、熊本の性格が見えてきます。晴れは全国23位(45.4%)、くもりは27位(25.0%)、雨は16位(27.5%)、雪は28位(2.1%)。くもりが下位なのがポイントで、「晴れるか、降るか」がはっきりした空です。快晴日数は31.1日・全国18位。うすぐもりの福岡(くもり10位)、快晴の佐賀(7位)、海の長崎と並べると、九州北部4県の空はそれぞれ別の顔を持っています。

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06

湿度 ── 年平均70%、蒸し暑い夏と、朝霧・雲海の冬

結論:6月・7月は76%の蒸し暑さ。冬の晴れた朝は、平野の霧と阿蘇の雲海。
70% 偏差値 52 全国 17位 / 47位中 九州 4位 / 8位中 湿度ランキング →

年平均湿度70%は全国17位、偏差値52。福岡(68%・28位)より一段湿った側です。ただしこの指標も、年平均のままでは中身が見えません。

月別では6月・7月が76%、8月72%・9月71%。梅雨から夏は、気温33.3℃という九州トップ級の昼にこの湿度が重なります。体感の暑さは気温の数字以上で、内陸で風も弱い(⑧参照)ため熱がこもりやすい。屋外の作業や部活動は、気温だけでなく暑さ指数(WBGT)で判断してください。

冬は67〜71%。数字は高めですが、これは夜間の放射冷却で相対湿度が上がるためで、日中はよく乾きます。風の弱い晴れた朝は熊本平野に霧が出やすく、阿蘇では谷を埋める雲海になります。霧の朝の運転はライト点灯を。昼には晴れ上がる——冷え込み・霧・快晴のセットは、内陸盆地の冬の呼吸です。

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07

紫外線 ── 全国4位、緯度と晴れやすさの掛け算

結論:UV指数の年平均は全国4位。対策期間は4〜9月の半年間。
4.43UV指数 偏差値 59 全国 4位 / 47位中 九州 4位 / 8位中 紫外線ランキング →

UVインデックスの年平均は4.43で全国4位。沖縄・南九州に次ぐ強さで、北緯32度台という緯度に、日照九州2位という「晴れやすさ」が掛け算で効いています。うすぐもりの多い福岡(4.13・20位)との差は、緯度以上に空の抜けの差です。

月別で注目してほしいのは、5月にすでに5.6(「強い」の上位)へ達することです。気温はまだ24℃前後で過ごしやすいのに、紫外線は真夏に迫る水準。阿蘇や天草のレジャーが気持ちいい季節ほど、対策が抜けやすくなります。

ピークは8月の7.2。6月は梅雨の雲でいったん5.4に下がり、梅雨明けとともに跳ね上がる形です。9月も5.5残るため、実質的な対策期間は4月から9月までの半年間。雲があっても紫外線の6〜7割は地表に届くので、曇りの日を「大丈夫な日」と考えないでください。

「何月の何時が強いのか」は、月平均だけでは分かりません。下は晴天時のUVインデックスを月と時刻の両方で並べた表です。

晴天時UVインデックス早見表(月×時刻)

結論:7月の正午〜13時が最も強く9.2。 「非常に強い」に入るのは7月と8月の11〜14時だけですが、5月・6月の正午は7.5〜7.8で「強い」に達します。 気温がまだ過ごしやすい5月の昼にも、真夏に近い紫外線が降っていることが表から読み取れます。

九州北部〜中部(福岡県・佐賀県・長崎県・熊本県)の晴天時UVインデックス。行が月、列が時刻。
891011121314151617
1月0.00.41.11.92.42.41.81.10.40.0
2月0.20.71.72.73.43.52.81.80.80.2
3月0.41.32.74.04.84.73.82.51.20.4
4月0.92.23.95.46.26.04.93.31.70.6
5月1.53.15.06.77.57.25.94.02.20.9
6月1.63.35.27.07.87.66.44.52.61.1
7月1.83.76.08.19.29.17.75.53.21.5
8月1.43.35.67.68.78.67.14.92.71.1
9月0.92.44.25.96.76.45.03.21.50.4
10月0.61.63.04.24.84.43.21.80.70.1
11月0.20.91.92.73.12.82.01.00.30.0
12月0.10.51.21.92.32.21.60.80.20.0

弱い0〜2中程度3〜5強い6〜7非常に強い8〜10極端に強い11以上

色は気象庁・WHOのUVインデックス区分そのものです。枠で囲んだ数字はその月のピーク。 6時台・7時台と18時以降は、一年を通してUVインデックスが1未満のため列から省いています(対策不要の水準です)。 値は雲のない晴天時の推計で、曇りの日は6〜7割程度に下がります。晴天時の値は緯度でほぼ決まるため、熊本を含む九州北部〜中部ではほぼ共通です。

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08

風 ── 全国43位、九州でいちばん風の弱い盆地の空気

結論:平均風速は全国43位・九州最下位。ただし本当のリスクは平均値ではなく台風の暴風。
2.1m/s 偏差値 38 全国 43位 / 47位中 九州 8位 / 8位中 平均風速ランキング →

年平均風速2.1m/sは全国43位、偏差値38。九州8県で最も風の弱い県です。山々に囲まれた熊本平野には季節風が入りにくく、空気が滞留しやすい地形です。夏はこの「風のなさ」が暑さの体感をさらに押し上げ、冬は放射冷却と霧を助長します。この指標は代表地点の立地に最も左右されやすいので、順位だけを一人歩きさせないでください。

一方で熊本には、名前のついた局地風があります。阿蘇から平野の東縁へ吹き下ろす「まつぼり風」です。冬型の気圧配置で強まる冷たいおろし風で、局地的には平均値からは想像できない風が吹きます。天草や有明海沿岸も海風が通り、市街地の2.1m/sとは別の顔。「熊本県の風速」という1つの数字が代表できる範囲は、実はかなり狭いのです。

季節では梅雨から夏の2.3〜2.5m/sが比較的強く、11月・12月の1.7m/sが最も弱い。夏は海陸風と夕立の吹き出し、晩秋は移動性高気圧の下で風が止まります。そして年平均風速という指標には、台風の暴風はほとんど反映されません。熊本の風の本当のリスクは平均値の中ではなく、次の⑨にあります。

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09

台風 ── 接近は年3.8個で全国4位、有明海と八代海の高潮に注意

結論:接近は毎年3.8個。最大のリスクは、1999年台風18号が示した「湾奥の高潮」。
3.8個/年(接近) 偏差値 56 全国 4位 / 47位中 九州 4位 / 8位中 台風の接近数ランキング →

この表で台風の指標に使っているのは「上陸数」ではなく「接近数」です。先に理由を書きます。気象庁の「上陸」は台風の中心が北海道・本州・四国・九州の海岸線に達することを指し、沖縄県は定義上どれだけ台風が通っても上陸に数えられません。上陸数で47都道府県を並べると、日本で最も台風の影響を受ける沖縄が最下位に並ぶという逆転が起きます。また上陸は中心が最初に達した1県だけを数えるため、隣県が大きな被害を受けても数字に表れません。中心から300km以内に入った回数を数える「接近数」なら、47都道府県すべてを同じものさしで、しかも毎年の値として比べられます。

「上陸」とは、台風の中心が北海道・本州・四国・九州の海岸線に達することをいいます。九州では鹿児島県(45回)と長崎県(18回)が「受け止め役」で、熊本県への直接上陸はそれより少なめです。天草の外海と長崎県側が第一波を受け、熊本の中心部には勢力がいくらか落ちてから届くコースが多い——ただし、それは「安全」を意味しません。

接近で数えると、熊本も九州北部と同じ年3.8個です。中心から300km以内に入る「接近」で数えると、九州北部地方には年3.8個(気象庁平年値・1991〜2020年)。月別では7月0.8個・8月1.1個・9月1.1個で、この3ヶ月に年間の約8割が集中します。月別表の台風の列が夏にはっきり色づくのは、隣の地震の列との最大の違いです。地震は時期を選べませんが、台風は「来やすい時期」がわかっている。つまり備えを計画できる災害です。市町村別の詳しい接近回数は台風の接近数ランキングで確認できます。

警戒すべきは、湾奥の高潮です。1999年の台風18号は八代海を北上し、不知火町(現・宇城市)の沿岸で高潮により12人が犠牲になりました。有明海と八代海はどちらも遠浅で湾の奥がすぼまる、「高潮がたまりやすい地形」です。台風が九州の西を北上するコースでは南寄りの暴風が湾奥へ海水を吹き寄せ、満潮と重なると一気に危険になります。沿岸低地の方は、接近数4位という数字を「高潮の順位」として読んでください。

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10

地震 ── 過去の観測回数と、これからの確率

結論:7,975回のうち約3,000回は2016年4月。動いた断層と、まだ動いていない断層がある。
約74.5回/年 偏差値 57 全国 14位 / 47位中 九州 2位 / 8位中 地震観測回数ランキング →

九州8県では鹿児島に次ぐ2位、全国14位。この数字の中身は、月別表を見れば一目瞭然です。107年合計7,975回のうち約3,000回が、2016年4月に集中しています。言うまでもなく熊本地震——4月14日の前震と16日の本震(M7.3)で、益城町は観測史上初めて震度7を2度記録しました。回数の順位は「過去に大地震があった」ことの記録として読んでください。

九州8県の地震観測回数(震度1以上・回/年)

鹿児島県114.0
熊本県74.5
沖縄県69.0
長崎県36.7
宮崎県27.5
大分県24.7
福岡県15.7
佐賀県7.6

1919〜2026年の107年間の平均。バーの長さは鹿児島県を100%とした割合。出典:気象庁 震度データベース検索

「地震が少ない=安全」ではありません

この数字は過去に何回揺れたかであって、これから何回揺れるかではありません。2016年の前まで、熊本は「地震の少ない県」と見られていました——だからこそ、あの地震の教訓は重いのです。石川は2024年に、やはり「回数が多い県」ではないところで大きな被害が出ました。むしろ、回数が少ない県ほど耐震意識と備えが薄いという指摘があります。揺れ慣れていないぶん、家具の固定も備蓄も後回しになりやすいためです。過去の回数は防災の判断材料の半分でしかありません。

そこで、残り半分の「これからの確率」を並べます。地震調査研究推進本部(J-SHIS)が公表している、今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率です。

過去の実績

約74.5回/年

震度1以上(1919〜2026年)・全国14位。107年間の合計は7,975回。過去にどれだけ揺れたか

これからの確率

18.2%

今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率。熊本県庁位置・J-SHIS 2024年版(2026年7月取得)。これから揺れる可能性

足元の活断層

ほぼ0〜16%

日奈久断層帯(八代海区間)の30年以内の地震発生確率。M7.3程度・地震本部 長期評価。全国の主要活断層の中で発生確率が「高いグループ」

動いた断層と、動いていない断層。2016年に動いたのは布田川断層帯(布田川区間・M7.0程度)で、ひずみを解放したいまの30年確率は「ほぼ0%」です。一方、県南部へ延びる日奈久断層帯には、日奈久区間(M7.5程度・ほぼ0〜6%)と八代海区間(M7.3程度・ほぼ0〜16%)という、まだ動いていない区間が残っています。県庁位置の30年確率18.2%は九州で最も高い水準——熊本地震を経験したこの県は、耐震化と備えという答えをすでに知っているはずです。回数と確率、二つを並べて判断材料にしてください。

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04県内の主要都市を比べる

同じ熊本県でも、平野の熊本市と、標高約500mの阿蘇、盆地の人吉、海に開いた天草・牛深ではまるで別の県のように違います。とくに夏の猛暑日は、阿蘇の0日から熊本市の25.8日まで開きます。

熊本市県庁所在地

年平均気温
17.2℃
年間降水量
2,007mm
年間日照時間
1,996時間
猛暑日日数
25.8日

白川が貫く城下町。夏は猛暑日25.8日と九州屈指の暑さで、夜も冷めにくい。冬は氷点下の朝も。

阿蘇乙姫(阿蘇市)阿蘇カルデラの中

年平均気温
13.2℃
年間降水量
3,010mm
年間日照時間
1,697時間
猛暑日日数
0日

標高約500mのカルデラの中。夏の猛暑日はゼロ、冬は氷点下10℃前後まで下がる九州の高原気候。

人吉(人吉市)人吉盆地

年平均気温
15.8℃
年間降水量
2,535mm
年間日照時間
1,818時間
猛暑日日数
13.8日

山に囲まれた盆地の城下町。朝霧が深く、昼夜の寒暖差が大きい。2020年7月豪雨では球磨川が氾濫した。

牛深(天草市)天草の南端

年平均気温
18.2℃
年間降水量
2,110mm
年間日照時間
1,955時間
猛暑日日数
10.8日

天草下島の南端、海に開いた港町。年平均18.2℃は県内で最も暖かく、冬の霜も少ない海洋性気候。

05気象予報士の総括

10の指標を通して見ると、熊本県は「九州でいちばんメリハリの強い内陸型気候の県」だと言えます。夏の暑さは猛暑日25.8日で九州屈指、冬の冷え込みは冬日25.2日で九州最多、梅雨は6月だけで449mm、それでいて日照は九州2位。暑さも寒さも雨も晴れも、すべてが「強め」に出るこの並びは、「浅い有明海・八代海と、阿蘇・九州山地の壁が、海の穏やかな調節を弱めている」と読んだ瞬間に、一本の筋でつながります。

月別に分解すると、内陸性はさらにはっきりします。降水量は6月449mm・7月387mmと梅雨の2ヶ月に年間の4割が集中し、8月は平均最高33.3℃・平均最低24.8℃と夜まで暑く、1月の朝は平均1.6℃まで冷え込む。気温の中身は猛暑日25.8日(全国12位)と冬日25.2日(九州最多)。熊本の気候は振れ幅が大きいぶん、負荷が「梅雨の大雨」「夏の暑さ」「冬の冷え込み」の3つに分かれて現れます。このページで月別表と帯グラフを大きく取っているのは、そのためです。

そして9番目と10番目、台風と地震。台風接近は年3.8個で全国4位、浅く閉じた有明海・八代海では高潮が最大の弱点になります——1999年の台風18号で不知火の高潮が示したとおりです。地震の年74.5回という数字は、中身のほとんどが2016年4月の熊本地震です。布田川断層帯は動きましたが、日奈久断層帯の八代海区間(M7.3程度・ほぼ0〜16%)は「高いグループ」のまま残っている。順位の並びだけでは、この県は読めません

暑さと寒さは「振れ幅」で読み、雨は「梅雨の2ヶ月」で備え、地震は「まだ動いていない断層」まで見る——このページの結論はこの一行です。

06近くの県・気候が似た県と比べる

「熊本と福岡って何が違うの?」に答えるための入口です。詳細ページが未公開の県は、47都道府県データの一覧表で該当行を確認できます。

47都道府県データの一覧表で、複数の県を並べて比較する →

07関連ページ

出典・集計方法・データの限界
気温・降水量・日照時間・湿度・風速
気象庁の平年値(1991〜2020年)。県の代表値は熊本地方気象台の観測値、県内都市は各地の気象台・観測所の値です。
偏差値と全国順位
全国47都道府県の代表観測点の値から当サイトが算出しました。
紫外線(UV指数)
日本国内の実測地点が限られているため、気象庁の紫外線解析値(推定値)をもとにした値です。実測値ではありません。
天気出現率
気象庁の日別天気概況をもとに、日ごとの天気を晴れ・曇り・雨・雪の4区分に集計(1968〜2025年の58年分・当サイト独自集計)。
降雪量
気象庁の平年値(降雪の深さ合計)。
地震
気象庁「震度データベース検索」で震度1以上を観測した回数(1919年1月〜2026年、観測点数の増加による影響を含みます)。
30年確率・活断層
地震調査研究推進本部/防災科研(J-SHIS)の公表値。

1日のうちで天気が変わった日は代表的な天気に寄せているため、天気出現率は体感と数%のずれが出ることがあります。

降雪量と地震の偏差値は、値が一部の県に極端に偏るため、対数変換したうえで算出しています。

台風の列について。月別表の台風は熊本県単独ではなく、九州北部地方への接近数の平年値(気象庁・1991〜2020年)です。たとえば「7月 0.8」は「毎年7月に平均0.8個接近する」という意味です。

地震の列について。月別表の地震だけ色を付けていません。4月が突出しているのは「2016年の熊本地震と余震がその月に起きた」という107年分の歴史であって、季節性ではないからです。年間にならすと約74.5回(7,975回÷107年)です。

監修:のぶやん(気象予報士)/最終更新:2026年8月1日

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