奈良県の気候データ|10指標の全国順位・偏差値と月別データ(気象・台風・地震)

気象データベース47都道府県データ奈良県

奈良県の気候データ

猛暑日29.2日は全国6位、くもりの多さは全国2位。北の盆地と南の大峰・吉野、二つの奈良を持つ内陸県です。10の指標について、全国順位・偏差値・月別データをまとめました。

気象庁 平年値 1991〜2020年 奈良地方気象台 監修:気象予報士 最終更新 2026年8月2日

この県の要点

すごしやすい月

4月・5月・10月・11月

古都の秋——11月の晴れ51%は年間1位

すごしにくい月

7月・8月

猛暑日29.2日は全国6位。盆地の昼は京都級の暑さ

強み

内陸盆地の寒暖差

冬日31.4日と猛暑日29.2日。メリハリある四季

注意

盆地の猛暑/南部の大雨/奈良盆地東縁断層帯

1854年の伊賀上野地震と、2011年の紀伊半島大水害

気温

15.7

全国 27位

降水量

1,365mm

全国 33位

降雪量

5cm

全国 29位

日照時間

1,836時間

全国 33位

晴れの出現率

42.0%

全国 28位

湿度

68%

全国 28位

01月別データ ── いつ行くのがよいか

まずは結論から。12ヶ月を1枚にまとめました。旅行や引っ越しの時期選びなら、これだけで判断できます。

1月△ 冬晴れと冷え込み

8.7 / 0.8

朝0.8℃の冷え込み。若草山焼きは冬空の風物詩

2月△ 冷え込み続く・雪の日17%

9.9 / 1.0

雪の日17%・まだ冬のさなか。梅の便りは月末に

3月○ 良好

13.9 / 3.6

春本番へ。お水取りが終われば大和路に春が来る

4月◎ ベスト

19.8 / 8.7

昼は20℃前後。吉野の桜と晴れ45%の行楽期

5月◎ ベスト

24.9 / 13.9

晴れ42%・日照188時間。新緑の爽やかな月

6月△ 梅雨入り・184mm

28.1 / 18.4

梅雨入り。くもり35%のどんよりした月

7月✕ 梅雨末期と猛暑

31.7 / 23.0

梅雨末期の蒸し暑さ。盆地の昼は31.7℃まで

8月✕ 昼33.4℃・猛暑の頂点

33.4 / 24.1

昼33.4℃・猛暑の頂点。だが夜は盆地らしく涼む

9月△ 台風・秋の長雨

28.8 / 20.1

台風と秋雨で月159mm。南部の山は大雨に警戒

10月◎ ベスト

22.6 / 13.5

晴れ48%と高い空。正倉院展と行楽の季節

11月○ 秋晴れの紅葉月

17.1 / 7.3

晴れ51%は年間1位。紅葉の大和路に最高の空

12月○ 晴れ47%・冷えの師走

11.6 / 3.0

晴れ47%・冷え込み本番。冬の底へ一直線

気温は「最高 / 最低(℃)」の平年値。左の色は過ごしやすさ(緑=ベスト/橙=注意/赤=厳しい)。

0210指標のかたち

「暑いのか寒いのか」「雨が多いのか少ないのか」は、単体の数字を見てもピンときません。全国47都道府県の平均を偏差値50として、10指標を1枚のチャートにまとめました。外側に張り出しているほど「多い・強い・高い」、内側にへこんでいるほど「少ない・弱い・低い」です。紫外線と台風がやや外に出て、風がへこんだ、全体に丸い盆地の形をしています。

50=全国平均70 気温51降水量43降雪量45日照時間46晴れの出現率49湿度46紫外線54風速40台風51地震41

中央の太い十角形が偏差値50(=全国平均)、いちばん外の枠が偏差値70です。地震だけは値が一部の県に極端に偏るため、対数をとってから偏差値化しています。

正確な数値と順位、それぞれのランキングページへの入口は下の表にまとめました。「奈良県のことが知りたい」人はこのページで完結し、「他県と比べたい」人はランキングへ進めます。

奈良県の10指標。値・偏差値・全国順位・近畿内順位。
指標偏差値 全国順位近畿内順位 全国の中での位置ランキング
🌡️ 気温(年平均気温) 15.7℃ 51 27位/ 47位中 5位/ 6位中 平均気温ランキング →
🌧️ 降水量(年間降水量) 1,365mm 43 33位/ 47位中 4位/ 6位中 降水量ランキング →
⛄ 降雪量(年間降雪量(深さ合計)) 5cm 45 29位/ 47位中 3位/ 6位中 降雪量ランキング →
🌞 日照時間(年間日照時間) 1,836時間 46 33位/ 47位中 5位/ 6位中 日照時間ランキング →
🌤️ 晴れの出現率(晴れの日の割合(58年集計)) 42.0% 49 28位/ 47位中 4位/ 6位中 晴れの出現率ランキング →
💧 湿度(年平均湿度) 68% 46 28位/ 47位中 2位/ 6位中 湿度ランキング →
🧴 紫外線(UV指数の年平均(推定値)) 4.16 54 16位/ 47位中 3位/ 6位中 紫外線ランキング →
🍃 風速(年平均風速) 2.2m/s 40 39位/ 47位中 5位/ 6位中 平均風速ランキング →
🌀 台風(接近数(年平均)) 3.4個/年 51 14位/ 47位中 1位/ 6位中 台風の接近数ランキング →
🌏 地震(震度1以上の回数(年平均)) 16.1回/年 41 37位/ 47位中 4位/ 6位中 地震観測回数ランキング →
この数値を引用する・CSVで保存する
奈良県の年平均気温は15.7℃(27位)、年間降水量1,365mm(33位)、
年間日照時間1,836時間(33位)、晴れの出現率42.0%(28位)。
出典:気象予報士のぶやんの学習帳「奈良県の気候データ」
   気象庁 平年値(1991〜2020年)/奈良地方気象台/
   気象庁 震度データベース/防災科研 J-SHIS 2024年版/
   当サイト58年独自集計(天気出現率)
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   2026年7月 取得

0310の指標を、1つずつ読む

ここからは10の指標を1つずつ取り上げて、奈良県がなぜその数字になるのかを気象予報士の視点で解説します。数字そのものは上の表とチャートに出ていますので、ここでは「その数字を生んでいる仕組み」と「数字だけ見ていると誤解すること」を中心に書きます。

01

気温 ── 全国27位、猛暑日6位と冬日18位が同居する盆地

結論:奈良の気温は全国27位。だが猛暑日29.2日は全国6位——盆地の昼は別格。
15.7 偏差値 51 全国 27位 / 47位中 近畿 5位 / 6位中 平均気温ランキング →

年平均気温15.7℃は全国27位、偏差値51——ちょうど全国の真ん中です。しかし奈良の気温は、平均で読むと本質を外します。海を持たない内陸盆地は、昼と夜、夏と冬の振れ幅で暮らす土地。平均の裏に、猛暑日6位と冬日18位が隠れています。

冬は冬日(最低0℃未満)が年31.4日・全国18位——近畿で最も冷える県です。1月の平均最低気温0.8℃は、晴れた朝の放射冷却の産物。大和高原の針では氷点下の朝が当たり前で、若草山の山焼きは凍える夜空の行事です。

夏は8月の平均最高33.4℃、猛暑日は年29.2日で全国6位。京都と同じ「風の弱い盆地」の暑さです。救いは夜——熱帯夜は16.3日・全国29位と、海辺の大阪(41.5日)や神戸(46.8日)の半分以下。昼は酷暑、夜はほっとひと息が奈良の夏です。

夏と冬の「極値」奈良県の値 全国順位くわしく
猛暑日(最高35℃以上)29.2日 / 年6位 / 47位中 猛暑日ランキング →
熱帯夜(最低25℃以上)16.3日 / 年29位 / 47位中 熱帯夜ランキング →
冬日(最低0℃未満)31.4日 / 年・真冬日は0日18位 / 47位中 冬日・真冬日ランキング →

この3行が、年平均15.7℃という数字の中身です。猛暑日6位と冬日18位、熱帯夜29位——「振れ幅で読む」内陸盆地の見本です。夏の観光は朝夕へ、冬は放射冷却の朝の凍結に注意。平均27位を信じて服装を選ぶと、必ず後悔します。

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02

降水量 ── 盆地は33位でも、南部の山は日本屈指の多雨

結論:奈良市の年1,365mm。だが大台ヶ原の麓・上北山は2,909mm——2倍超の別世界。
1,365mm 偏差値 43 全国 33位 / 47位中 近畿 4位 / 6位中 降水量ランキング →

年間降水量1,365mmは全国33位。海のない盆地は雨も控えめで、ピークは梅雨の6月184mm、冬の1月はわずか52mmです。……ここまでは「奈良盆地」の話。この県の雨の本番は、南の山にあります

紀伊山地の南部は、日本屈指の多雨地帯です。上北山で年2,909mm、十津川の風屋で2,538mm——盆地の2倍を超えます。そして2011年(平成23年)の紀伊半島大水害では、台風12号の記録的大雨が十津川村などで深層崩壊を引き起こしました。「雨の少ない奈良」と「日本有数の多雨の奈良」は、同じ県の中にあります。

もうひとつ、雨の量では見えない指標が雷です。奈良県の年間雷日数は23.1日で全国13位と意外な上位。夏の盆地は熱雷の名所で、夕立は大和路の風物詩です。天気の急変は「山の奈良」からやってくる——南の空の黒い雲は早めに警戒を。

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03

降雪量 ── 盆地は年5cm、山の奈良は毎冬の雪化粧

結論:奈良市の平年値は5cm。金剛・大峰の山々は、冬ごとに白くなる。
5cm 偏差値 45 全国 29位 / 47位中 近畿 3位 / 6位中 降雪量ランキング →

年間降雪量は5cm、全国29位。奈良盆地の雪は年に数回うっすら積もる程度で、雪の日の出現率も1月11%・2月17%にとどまります。鹿と雪の奈良公園——絵になる朝は、実はかなりの貴重品です。

山に上がれば話は別です。大和高原や宇陀、吉野の山あいでは積雪と路面凍結が冬の日常で、大峰の山々は本格的な雪山になります。「盆地の感覚」で冬の山道に入らない——奈良の冬のドライブの鉄則です。

そして雪より頻度が高いのが放射冷却の凍結です。冬日31.4日の盆地では、雪が降らなくても橋の上や日陰が凍ります。「雪は少ないのに、路面は凍る」——この組み合わせこそ、内陸盆地の冬の落とし穴です。

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04

日照時間 ── 全国33位、くもり2位が削る盆地の日差し

結論:年1,836時間は全国33位。くもりの多さ全国2位が、日差しを少し削る。
1,836時間 偏差値 46 全国 33位 / 47位中 近畿 5位 / 6位中 日照時間ランキング →

年間日照時間1,836時間は全国33位、偏差値46。瀬戸内側の大阪(2,049時間)や神戸(2,084時間)と比べると、ひと回り控えめです。理由は盆地にたまる雲——次の指標で見る通り、奈良はくもりの出現率が全国2位の県なのです。

月別では8月の203時間が最長、梅雨の6月139時間が最短です。冬は118〜133時間と、日本海側ほど暗くはなく、瀬戸内側ほど明るくもない——「明と暗のちょうど中間」が奈良の冬の空です。

旅行の計画に使うなら、ベストは晴れ48%の10月と51%の11月。正倉院展と紅葉の季節は、空もいちばんの当たり時期です。春の桜(4月晴れ45%)も好条件。梅雨どき(6月晴れ28%)は、雨の似合う長谷寺のあじさいに切り替えるのが大和路の楽しみ方です。

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05

天気出現率 ── 月別の晴れ・曇り・雨・雪

結論:晴れのピークは11月の51%。そして、くもり率28.9%は全国2位。
42% 偏差値 49 全国 28位 / 47位中 近畿 4位 / 6位中 晴れの出現率ランキング →

日照時間は「太陽が何時間出ていたか」の合計であって、「晴れの日が何日あったか」ではありません。旅行の日程を決めるときに知りたいのは、たいてい後者のほうです。そこで、その月にどの天気が何割の日に出たかを帯グラフにしました。帯の幅がそのまま出現率(%)です。

年間422926
1月41341411
2月35301917
3月4125286
4月452430
5月422830
6月283537
7月363034
8月482526
9月392833
10月482626
11月512920
12月4732173

帯の幅がそのまま出現率(%)。 晴  くもり  雨 

この形にすると、奈良の空の性格が見えます。晴れの帯は秋の10月48%・11月51%が最も太く、梅雨の6月は28%まで細ります。雪の帯は1月11%・2月17%とわずか——かわりに目立つのが、一年を通して太い「くもり」の帯です。

実は奈良県のくもりの出現率28.9%は、京都に次ぐ全国2位です。盆地に湿気と雲がたまりやすい地形は、京都盆地とうり二つ。この帯グラフは気象庁の平年値(30年)ではなく、1968年から2025年までの58年分の観測を独自集計した値です。

4つの天気それぞれで全国順位を出すと、晴れは全国28位(42.0%)、くもりは2位(28.9%)、雨は20位(26.2%)、雪は21位(3.0%)。快晴日数は23.6日・全国30位。「派手に降らず、静かに曇る」——古都の空は、京都と同じ顔をしています。

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06

湿度 ── 年平均68%で全国28位、盆地の朝は霧の名所

結論:年平均68%は全国28位。放射冷却の朝、盆地は霧の底になる。
68% 偏差値 46 全国 28位 / 47位中 近畿 2位 / 6位中 湿度ランキング →

年平均湿度68%は全国28位、偏差値46——ほぼ全国平均です。海がないぶん夏の蒸気は控えめですが、盆地の地形が湿気を閉じ込めるため、極端には乾きません。

特徴は秋の湿度が年間ピークなこと(10月74%)。秋雨と放射冷却が重なるこの時期、盆地の朝は霧がよく出ます。若草山から見下ろす雲海のような朝霧は、湿度の統計が生む奈良の絶景です。

春は4月59%までカラリと乾き、行楽と洗濯の好機。いっぽう梅雨〜夏の71%前後は、風の弱い盆地では体感以上に蒸します。「数字より蒸す」盆地の夏——暑さ指数(WBGT)での判断を基本にしてください。

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07

紫外線 ── 全国16位、山の高さは体感以上の日差し

結論:UV指数の年平均は4.16で全国16位。標高の高い山地は上乗せに注意。
4.16UV指数 偏差値 54 全国 16位 / 47位中 近畿 3位 / 6位中 紫外線ランキング →

UVインデックスの年平均は4.16で全国16位。くもりが多いわりに上位なのは、緯度と内陸の空気の澄み方のためです。全国平均よりはっきり強い水準——「盆地だから安心」ではありません。

月別で注目してほしいのは、5月にすでに5.6(「強い」)へ達することです。気温はまだ快適でも、太陽の高さは真夏並み。大峰や大台ヶ原など標高の高い山では紫外線がさらに強まるので、春からの登山は本気の対策を。

ピークは8月の6.8。実質的な対策期間は5月から9月までです。雲があっても紫外線の6〜7割は地表に届くので、曇りの日を「大丈夫な日」と考えないでください。

「何月の何時が強いのか」は、月平均だけでは分かりません。下は晴天時のUVインデックスを月と時刻の両方で並べた表です。

晴天時UVインデックス早見表(月×時刻)

結論:7月の正午〜13時が最も強く9.2。 「非常に強い」に入るのは7月と8月の11〜14時だけですが、5月・6月の正午は7.5〜7.8で「強い」に達します。 気温がまだ過ごしやすい5月の昼にも、真夏に近い紫外線が降っていることが表から読み取れます。

九州の晴天時UVインデックス(九州北部〜中部の代表値)。行が月、列が時刻。
891011121314151617
1月0.00.41.11.92.42.41.81.10.40.0
2月0.20.71.72.73.43.52.81.80.80.2
3月0.41.32.74.04.84.73.82.51.20.4
4月0.92.23.95.46.26.04.93.31.70.6
5月1.53.15.06.77.57.25.94.02.20.9
6月1.63.35.27.07.87.66.44.52.61.1
7月1.83.76.08.19.29.17.75.53.21.5
8月1.43.35.67.68.78.67.14.92.71.1
9月0.92.44.25.96.76.45.03.21.50.4
10月0.61.63.04.24.84.43.21.80.70.1
11月0.20.91.92.73.12.82.01.00.30.0
12月0.10.51.21.92.32.21.60.80.20.0

弱い0〜2中程度3〜5強い6〜7非常に強い8〜10極端に強い11以上

色は気象庁・WHOのUVインデックス区分そのものです。枠で囲んだ数字はその月のピーク。 6時台・7時台と18時以降は、一年を通してUVインデックスが1未満のため列から省いています(対策不要の水準です)。 値は雲のない晴天時の推計で、曇りの日は6〜7割程度に下がります。晴天時の値は緯度でほぼ決まるため、この表は九州北部〜中部の代表値です。奈良など近畿地方では、この表より1割ほど弱めが目安です。それでも夏のピーク帯の強さは変わりません。

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08

風 ── 全国39位、山々に守られた「静かな盆地」

結論:平均風速2.2m/sは全国39位。風の弱さは、盆地暮らしの静けさ。
2.2m/s 偏差値 40 全国 39位 / 47位中 近畿 5位 / 6位中 平均風速ランキング →

年平均風速2.2m/sは全国39位、偏差値40——全国有数の風の弱い県です。周囲を山に囲まれた盆地は強風から守られ、月別でも1.7〜2.5m/sの狭い範囲におさまります。この指標は代表地点の立地に左右されやすいので、順位だけを一人歩きさせないでください。

風の弱さは、京都と同じく暑さと冷え込みの増幅装置でもあります。夏は熱がこもって猛暑日6位を支え、冬は冷気が沈んで冬日18位をつくる。奈良の気候の「振れ幅」の裏方は、この静かな風です。

例外は台風です。紀伊山地は台風の通り道にあたり、山あいでは強風と大雨が重なります。「風の弱い県」の風対策は、平均値ではなく台風の極値で考えてください。

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09

台風 ── 接近は年3.4個、内陸でも「山の雨」は別格

結論:接近は年3.4個。海なし県に高潮はないが、紀伊山地の大雨は日本屈指。
3.0個/年(接近) 偏差値 46 全国 33位 / 47位中 近畿 1位 / 6位中 台風の接近数ランキング →

この表で台風の指標に使っているのは「上陸数」ではなく「接近数」です。先に理由を書きます。気象庁の「上陸」は台風の中心が北海道・本州・四国・九州の海岸線に達することを指し、沖縄県は定義上どれだけ台風が通っても上陸に数えられません。上陸数で47都道府県を並べると、日本で最も台風の影響を受ける沖縄が最下位に並ぶという逆転が起きます。また上陸は中心が最初に達した1県だけを数えるため、隣県が大きな被害を受けても数字に表れません。中心から300km以内に入った回数を数える「接近数」なら、47都道府県すべてを同じものさしで、しかも毎年の値として比べられます。

「上陸」とは、台風の中心が北海道・本州・四国・九州の海岸線に達することをいいます。海に面していない奈良県には、定義上「上陸」がありません。接近数は年3.4個・全国14位——紀伊半島を北上する台風の、ちょうど通り道にあたります。

接近で数えると、奈良を含む近畿地方には年3.4個(気象庁平年値・1991〜2020年)。月別では9月の1.1個がピークで、8月・10月も各0.7個——夏の終わりから秋に重心があります。台風は「来やすい時期」がわかっている——つまり備えを計画できる災害です。市町村別の詳しい接近回数は台風の接近数ランキングで確認できます。

警戒すべきは紀伊山地の大雨です。台風の湿った風が山々にぶつかると雨量は平地の数倍に膨らみ、2011年の台風12号(紀伊半島大水害)では深層崩壊と河道閉塞が十津川流域を襲いました。海がなくても、台風は奈良の最大級の災害要因——「山の雨」で読むのが奈良の台風です。

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10

地震 ── 過去の観測回数と、これからの確率

結論:年16.1回は全国37位と静か。だが断層帯は、古都の東縁を走る。
約16.1回/年 偏差値 41 全国 37位 / 47位中 近畿 4位 / 6位中 地震観測回数ランキング →

全国37位、近畿6府県では4位と静かな実績です。107年間の合計は1,721回、年平均16.1回。月ごとの偏りも小さく、体感的には「地震の静かな県」——しかし歴史も想定も、静かではありません。

近畿6府県の地震観測回数(震度1以上・回/年)

和歌山県93.2
兵庫県33.2
京都府26.1
奈良県16.1
大阪府13.3
滋賀県11.9

1919〜2026年の107年間の平均。バーの長さは和歌山県を100%とした割合。出典:気象庁 震度データベース検索

「地震が少ない=安全」ではありません

この数字は過去に何回揺れたかであって、これから何回揺れるかではありません。2016年の前まで、熊本は「地震の少ない県」と見られていました——だからこそ、あの地震の教訓は重いのです。石川は2024年に、やはり「回数が多い県」ではないところで大きな被害が出ました。むしろ、回数が少ない県ほど耐震意識と備えが薄いという指摘があります。揺れ慣れていないぶん、家具の固定も備蓄も後回しになりやすいためです。過去の回数は防災の判断材料の半分でしかありません。

そこで、残り半分の「これからの確率」を並べます。地震調査研究推進本部(J-SHIS)が公表している、今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率です。

過去の実績

約16.1回/年

震度1以上(1919〜2026年)・全国37位。107年間の合計は1,721回。過去にどれだけ揺れたか

これからの確率

14.5%

今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率。奈良県庁位置・J-SHIS 2024年版(2026年7月取得)。これから揺れる可能性

足元の活断層

ほぼ0〜5%

奈良盆地東縁断層帯(M7.4程度)の30年以内の地震発生確率。地震本部 長期評価。1854年の伊賀上野地震の記憶も、この県の足元に

この県の主役は、盆地の東縁を南北に走る奈良盆地東縁断層帯。M7.4程度・30年確率ほぼ0〜5%と、活断層として高いグループです。1854年の伊賀上野地震では県内で280人が犠牲になり、1952年の吉野地震(M6.7)の記憶も残ります。そして南海トラフ(60〜90%程度以上)では県内全域が強く長く揺れる想定。木造の文化財が集まる古都にとって、地震は「確率より重さ」で備える災害です。

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04県内の主要都市を比べる

同じ奈良県でも、盆地の奈良市と、吉野口の五條、大台ヶ原の麓・上北山、大和高原の針では顔が違います。北の盆地と南の山岳——「奈良は縦に長い」が気候の合言葉です。

奈良(奈良市)県庁所在地

年平均気温
15.7℃
年間降水量
1,365mm
年間日照時間
1,836時間
猛暑日日数
29.2日

盆地の県都。猛暑日29.2日と冬日31.4日——昼夜も夏冬も、振れ幅で生きる古都。

五條(五條市)五條・吉野口の盆地

年平均気温
14.5℃
年間降水量
1,454mm
年間日照時間
1,813時間
猛暑日日数
21.7日

吉野川沿いの盆地の街。柿の里は猛暑日21.7日と暑く、冬の朝はしっかり冷える。

上北山(上北山村)大台ヶ原の麓・多雨の村

年平均気温
13.5℃
年間降水量
2,909mm
年間日照時間
1,808時間
猛暑日日数
14.3日

大台ヶ原の麓。雨2,909mmは奈良市の2倍超——日本屈指の多雨地帯の入口。

針(奈良市)大和高原・冷涼な高地

年平均気温
12.4℃
年間降水量
1,566mm
年間日照時間
1,783時間
猛暑日日数
3.0日

標高約500mの大和高原。年12.4℃と冷涼で、猛暑日はわずか3.0日の避暑地。

05気象予報士の総括

10の指標を通して見ると、奈良県は「振れ幅とギャップの内陸県」だと言えます。猛暑日6位なのに熱帯夜29位、くもり2位なのに雷13位、盆地の雨は33位なのに南部の山は日本屈指の多雨。平均値の奥に、正反対の顔が二つずつ隠れている県です。

月別に分解すると、ベストは秋です。晴れは10月48%・11月51%と年間ピークで、正倉院展・紅葉の季節と重なります。試練は7月・8月の猛暑と6月の梅雨、そして冬の放射冷却。雪は少ないのに路面は凍る——「盆地の冬」は数字より足元で警戒してください。

そして9番目と10番目、台風と地震。台風は2011年の紀伊半島大水害が示した「山の大雨」が最大のリスク。地震は回数37位と静かですが、奈良盆地東縁断層帯(ほぼ0〜5%)と南海トラフ(60〜90%程度以上)を抱えます。木造文化財の都だからこそ、備えは「重さ」で考える県です。

夏は盆地の猛暑を警戒し、冬は放射冷却の凍結に気を配り、台風は「山の雨」を疑い、地震は「奈良盆地東縁断層帯」の名前を覚えておく——このページの結論はこの一行です。

06近くの県・気候が似た県と比べる

「奈良と京都って何が違うの?」に答えるための入口です。詳細ページが未公開の県は、47都道府県データの一覧表で該当行を確認できます。

47都道府県データの一覧表で、複数の県を並べて比較する →

よくある質問(奈良県の気候)

Q. 奈良県の気候の特徴は?

A. 年平均気温15.7℃(全国27位)、年間降水量1,365mm(全国33位)、年間日照時間1,836時間(全国33位)です。全国と比べると「風が弱い」「地震の揺れが少ない」が際立つ気候です。

Q. 奈良県では雪は積もりますか?

A. 平地で積もるのは年に数回です。年間降雪量の平年値は5cm(全国29位)にとどまります。

Q. 奈良県に台風は多いですか?

A. 台風の接近数は年平均3.4個で全国14位です。全国ではやや多めのグループで、接近は8月〜9月に集中します。

Q. 奈良県は地震が多いですか?

A. 震度1以上の揺れは年平均16.1回(全国37位)です。県庁所在地が今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率は14.5%(全国26位)と評価されています。

Q. 奈良県で過ごしやすい季節はいつですか?

A. 気候データの上では4月・5月・10月・11月が過ごしやすい時期です。詳しくは本文の「月別の過ごしやすさカレンダー」をご覧ください。

07関連ページ

出典・集計方法・データの限界
気温・降水量・日照時間・湿度・風速
気象庁の平年値(1991〜2020年)。県の代表値は奈良地方気象台の観測値、県内都市は各地の気象台・観測所の値です。
偏差値と全国順位
全国47都道府県の代表観測点の値から当サイトが算出しました。
紫外線(UV指数)
日本国内の実測地点が限られているため、気象庁の紫外線解析値(推定値)をもとにした値です。実測値ではありません。
天気出現率
気象庁の日別天気概況をもとに、日ごとの天気を晴れ・曇り・雨・雪の4区分に集計(1968〜2025年の58年分・当サイト独自集計)。
降雪量
気象庁の平年値(降雪の深さ合計)。
地震
気象庁「震度データベース検索」で震度1以上を観測した回数(1919年1月〜2026年、観測点数の増加による影響を含みます)。
30年確率・活断層
地震調査研究推進本部/防災科研(J-SHIS)の公表値。

1日のうちで天気が変わった日は代表的な天気に寄せているため、天気出現率は体感と数%のずれが出ることがあります。

降雪量と地震の偏差値は、値が一部の県に極端に偏るため、対数変換したうえで算出しています。

台風の列について。月別表の台風は奈良県単独ではなく、近畿地方への接近数の平年値(気象庁・1991〜2020年)です。たとえば「7月 0.6」は「毎年7月に平均0.6個接近する」という意味です。

地震の列について。月別表の地震だけ色を付けていません。月ごとの差は比較的小さく、1854年の伊賀上野地震のような直下地震はあるものの、特定の月への大きな偏りは生じていません。年間にならすと約16.1回(1,721回÷107年)です。

監修:のぶやん(気象予報士)/最終更新:2026年8月2日

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